修学旅行編 その12、高雅 VS A
高雅とAの交戦は激しさを増していた。
高雅は静寂を、Aは活性を使い、互いに打ち消し合いながら剣を打ちつけていた。
それも、一瞬撃ちつけては一瞬で離れ、また一瞬で打ち付ける。
その分、音が甲高く鳴り響き、周りに黒淵の人が集まるも、全く割り込まない。
いや、割り込んだその時、殺されると狂ったとしても本能で悟っているのだ。
殆どが傍観していた。
A「ウオオオオオオオオオオオオオオオ」
高「うざってぇ!!」
お互い一歩も引かない戦い。
Aの豪快な攻撃に対し、高雅は確実な攻撃で出る。
だが、互いに対策されており、攻撃は全て剣に通るだけだった。
A「ウアアア!!。ウラアアアアアアア」
高「でりゃぁ!!」
そして、同時に本気の一撃を放ち、剣に当たる。
それだけで周りに膨大な風圧が起こり、ギャラリー達を吹き飛ばしていた。
高雅とAはすぐに離れず、互いに押し合って睨みあっていた。
高「ここまで強いとは思ってもいなかったぜ」
A「ウアアアア・・・・・」
高「タダの人間がこんなにまで強くなるなんて、今時にしてはふざけた世の中だな」
高雅は鼻で笑いつつ、さらに力を込める。
その反動で、高雅の後方にあった壁がへこんでいた。
A「ツウウウウウウウウウウウウウウウ」
高「まだまだ弱いんだよ!!」
耐えられなくなったAは吹き飛ばされ、後方の壁に叩きつけられた。
高雅はすかさず波動を撃って追撃するも、Aはすぐに動きだし、追撃は当たらなかった。
Aの速さはダメージを受けたとは思えない程早く、高雅は不意をつかれた。
A「ウオオオオオオオオオオオオオオ」
高「なっ・・・くっ!!」
すかさず防御するも、Aの活性した腕力は強く、簡単に吹き飛ばされてしまった。
高雅は後方の壁に叩きつけられるどころか、そのまま貫通した。
高「っの野郎!!」
高雅は背中の激痛に耐えながらも着地して粉塵に紛れて突進した。
A「ッ!?」
Aは高雅の動きを読めなかったのか、少し呆気を取られていた。
そして、自分がされたと同じように高雅はAを吹き飛ばした。
今度は一枚で終わらずに、何枚もの壁を突き破ってようやく停止した。
A「アグウウウ・・・」
高「くたばっていないだろ」
高雅は倒れているAの目の前に移動していた。
そして、片足を上げ、Aの頭に落とそうとした。
Aは紙一重で避けるも、高雅の踏みつけの威力は高く、鈍い音と共に粉塵が舞いあがった。
Aは粉塵が目に入ってしまい、目を閉じてしまった。
高雅は柄でAの顔面を殴り、怯んだ所を蹴り飛ばした。
Aはまた何枚もの壁を突き破り、元いた場所にまで戻されていた。
A「い・・・げほっ!!」
相当なダメージがAを襲い、血を吐き出してしまった。
A「つ・・・ゲホッ・・・うえっ・・ぶはぁ!!」
喉に詰まりかけた血を思いっきり吐き出す。
その最中、高雅がAの頭に足を乗せていた。
高「まだやるのか、おい?」
A「ず・・ずみ゛ま゛ぜん。許して下さい。無理です。負けました」
高「あっそ」
高雅は最後にAの頭を地面に叩きつけ、殺気を抑えた。
そして、無意味に大きく背伸びをした。
ア「・・・・・どういう・・・・こと?」
Aのいきなりの変わりように戸惑うアリア。
しかし、高雅は最初から分かっていたかのように話した。
高「こいつは別に狂ってない。殺気でも分かるし、何より最初に俺の名前を呼ぶ時点でおかしい」
ア「えええええええええええええええ」
アリアは心底驚いた。
すると、高雅はやれやれと首を振り、Aの方に首を向けた。
高「お前なぁ、よく考えろよ。それに、こんなことになっているならタイトが黙っていないだろ」
タ「そこまで見破られておったか」
高「んで、テメェは何でこんなことをしたんだ、おい」
A「説明します」
Aは頭を下げたまま高雅に説明し始めた。
高雅が地下室で空と話している頃。
実はAとログナは地下室へと向かっていた。
ダメになった抗剤を持っていても仕方なく、ログナは高雅の所へ行くことにしたのだ。
Aはただの付き添いである。
A「へぇ、そんな薬があったんだ」
ロ「まぁな。んでもって、その抗剤を取りに行っている訳だ」
道中、ログナはAに抗剤の事を教えていた。
ちなみに、自分が壊したと言う事は隠していた。
ロ「お、この扉の先だ」
ログナが扉に手を掛け、開けようとした瞬間・・・
ア「今の声、シリナちゃん!?」
ロ「おや?」
扉を少し開けた瞬間、アリアの声が聞こえ、ログナは停止した。
そして、半開きの扉から覗いて中の様子を窺った。
A「何だ?」
ロ「さぁ、何か言い合っているみたいだが」
中は薄暗く、良く確認できないが声は良く聞こえていた。
詩「そぉ。じゃぁ、すぐに当てたからいいこと教えてあげるぅ」
ロ「ん?」
A「何だ、いいことって?」
詩「薬を飲んだのは何も黒淵だけとは限らないわよぉ」
A「薬・・・あの狂った症状の事か?」
ロ「そうみたいだな。それが、あっちの学校の奴らだけじゃないみたいだな」
A「へー・・・じゃあ、俺も薬を投薬されてる訳か?」
ロ「じゃね?、多分」
A「・・・・ふっふっふ、いいことを思いついた」
ロ「どったの?」
A「俺が狂ったことにして高雅と戦う、とういう訳だぁ。ふぅあ~っはっは」
Aがビシッと親指を立てながら誇らしげに言う。
そして、いみが分からない笑い声を上げた。
もちろん、中の人達に気付かれないように。
A「と、言う訳で、俺は狂った振りをする。お前はどっかに隠れてろ」
ロ「なして?」
A「高雅は相手の考えを読めるだろうが。だから、今、合流する訳にはいかねえだろ」
ロ「マジかよ、なーるほど。じゃあ、俺っちは適当にどっか行ってるぜ」
A「おうよ。俺が勝つシーンでもどっかで眺めておくのだな」
そう言って、Aとログナは別行動し、地下室から去って行った。
A「と、言う訳だぁ!!」
最後には何故か強気であったA。
高「ほぉ、実に下らないな」
高雅は眉をピクピク動かしながらも怒りを抑えていた。
さり気なく、アリアが静寂で高雅の怒りを抑えようとしていた。
高「しかし、ログナの血まで使っての演出することか?」
A「・・・・・は?」
Aは心底分からない顔をしていた。
それを妙に見た高雅がもう一度たずねた。
高「床に転がっていたログナの血は何だって聞いてんだよ」
A「え、血?。そんなことは知らんぞ」
高「・・・・・は?」
今度は高雅が心底分からない顔をしていた。
高「いや、普通に床にログナの血が転がっていただろ」
A「おいおい、そんな考えはしてないぜ。ただ、お前は隠れてろって言っただけだぜ」
高「どういう訳だ?」
?「こういう訳よぉ」
高・A「ッ!?」
第三者の声に過剰に反応する二人。
高「なっ!?」
A「いっ!?」
ア「嘘・・・・」
そして、見えた光景に目を丸くする高雅とA。
さらに信じられないと絶句するアリア。
それは、詩智安が血まみれのログナの髪を持って引きずっていたのだ。
詩智安の周りには紫理奈と空の姿もあった。
詩「ん、これぇ?。私達の話を聞いちゃったからお仕置きしただけよぉ」
ロ「が・・げほ・・・」
さらに蹴りを加え、血を吐かせる。
その光景を見かねたAが瞬時に仕掛けた。
高「止めろ!!」
高雅の声に従わず、Aはログナを助けようと立ち向かう。
詩「ふふ」
A「ッ!?、マジ!?」
しかし、詩智安は指一本でAの斬撃を受け止めたのだった。
峰打ちとは言え、活性を施したAの攻撃を普通の人間が受け止めたのだ。
詩「素晴らしい力だわぁ」
詩智安が指を弾くとそれだけでAは天井へ吹き飛ばされた。
A「いっっってぇ!?」
高「おいおい・・・マジかよ」
ア「A君!?」
詩「?、今ぁ、女の声がしたかしらぁ?」
詩智安がいないはずのアリアの声に反応する。
高「さぁな。取りあえず、今すぐログナを返せ。そして、この騒動を終わらせろ」
詩「それはダメよぉ。この騒動で私達の凄さを思い知らせるのよぉ」
高「知らん。てか、間違った凄さは凄くない。誰からも賞賛されない」
詩「そぉ?。力こそ最大の何とかって言うでしょぉ?」
高「防御な。別にむずかしい言葉でもないのに覚えてろ。そして、使いどころが全く違う」
グサグサとツッコミを入れながら一歩一歩詩智安に近づいていた。
詩「いいじゃなぁい。そんなことはどうでもぉ。今はお友達を助ける事が重要でしょぉ?」
高「じゃあ、返せ。今すぐ返せ。死にたくなければ返せ!!」
高雅は剣を突き付けながら殺気を放つ。
しかし、三人とも殺気を浴びても変わりようはなかった。
詩「物騒な物を持っているわねぇ」
高「生憎、こういう物を持ってないと生きられない生活をしててな」
詩「大変ねぇ。取りあえずぅ、あなたも戦うのかしらぁ?」
高「抵抗するなら仕方が無い」
詩「それじゃ、紫理奈とクゥちゃん、任せるわぁ」
紫「はぁい、お姉様ぁ」
空「はい・・・・」
紫理奈と空が一歩前に出て、詩智安はログナを置いて去って行った。
詩「二人に勝てたらその人は返すわぁ。そしてぇ、その後私に勝てたら騒動を止めてあげるわぁ」
高「その言葉、本当だろうな」
詩「えぇ」
詩智安はそれだけを言い残し、消えた。
そして、残った二人が高雅に挑む。
紫「ふふふ、私達のドーピング技術は天下一品よぉ。勝てるかしらぁ?」
空「ごめんなさい・・・・これも・・・詩智安さんの・・・ため・・」
高「悔いはないな。女、人間だからって容赦なしだからな」
A「とぉぉぉう!!。俺もいつまでも天井に張り付いていないぜ!!」
Aが下りて来て、高雅の隣に並ぶ。
こうして、2対2の幕が上がったのだ。