修学旅行編 その11、多忙
最近、グロ系を書いてないと思うこの頃・・・
高雅が出て行き、アリアは空と話していた。
ア「ねぇ、誰がクウちゃんを縛ったか覚えてない?」
空「分からない・・・昨日の夜・・・後ろから・・・薬を飲まされて・・・」
ア「そっか」
空「それで・・・気付いた時には・・・もう・・・」
ア「タンスの中にいたってことね」
空「何が何だか・・・分からなくて・・・暴れてたら・・・あの人が・・・」
ア「きっと、ログナの事だね。じゃあ、目を覚ましてからそれ程時間が経ってないの?」
空「うん・・・」
ア「怖かった?」
アリアが優しく頭を撫でながら問う。
すると、空が体をアリアに預けてきた。
ア「・・・ふふ、よしよし」
アリアは心を許してくれたことに嬉しく思い、さらに頭を撫でる。
空も落ち着いて少し目を擦っていた。
ア「眠っていいよ。私が見てるから」
空は無言で首を振り、否定を意味する。
しかし、その力弱い首の振り方は眠たいと主張していることと同じに思えた。
ア「大丈夫。ゆっくり休んで」
アリアがそう言うも、空は首を横に振る。
しかし、限界に達してきたのか、首をコクッと落とし始めた。
そんな姿をアリアはクスッと笑っていた。
ア「よしよし、良く眠り」
そう言って頭を優しく撫でると、流石に我慢が出来なくなったのか再び眠りについた。
その間に、アリアはたった今、得た情報を高雅に伝えようと意思会話を始めた。
ア(コウガ、クウちゃんの事だけど)
高(ん、何か分かったのか?)
ア(それが、昨日の夜に後ろから薬を飲まされたみたいで、相手の顔も見てない。それで、ログナが来る少し前に自分は目覚めたらしいよ)
高(ふぅん、成程。良い情報だった)
ア(え?)
高雅の言うことをいまいち理解できないアリア。
アリアのリアクションを聞いて高雅は溜息を零した。
高(お前、気付けよ)
そう言って、高雅はアリアとの意思会話を止めた。
ア「・・・何だったんだろう?」
高雅の事が理解できていないアリアであった。
一方、高雅達は順調に抗剤を飲ませていた。
走るギリギリの早歩きで進み、敵の攻撃は体に負担が掛からないように流れるように避ける。
あるいは、丁寧に投げ入れるなどと抗剤を一つも無駄にすることなく使っていた。
高「あらかた終わったな」
一息ついて周りを見渡すと抗剤を飲んだ瞬間に眠った黒淵の生徒や先生達で埋もれていた。
ロ「半分は静まったか?」
高「だろうな。そろそろ抗剤が無くなりそうだし、一旦、補給しに戻るか」
ロ「けどよ、この残りは後5分は保つぞ」
高「誰も二人で取りにいくとは言っていない。お前はこのまま残りの抗剤を飲ませ続けろ。俺が一人で取りに行ってくる。お前だと、俺より早歩きが遅いだろ」
ロ「なーる」
ログナは納得したかのように手を叩く。
高「それじゃ、残りは任せたぞ。なるべく多くの奴らに食わせろよ」
そう言って、高雅は走って地下へと戻って行った。
ログナは見送りせず、速やかに黒淵の人達を探し始めた。
ロ「さぁて、俺っちもいいとこ見せてやるぞーー」
やる気を十分に出し、いざ走り出すログナ。
ロ「・・・・・あっ」
やっと自分のバカな行動に気付いたログナであった。
恐る恐る抗剤を確認すると、粉々に砕け散って粉塵と化していた。
ロ「・・・ゴメン、コウガっち。俺っちもそっちに行きます。そして、土下座します」
自分に言い聞かせた後、ログナは高雅の後を追うように地下へと向かった。
?「あれ、ログナじゃねえか」
だが、いざ走ろうとした瞬間、いきなり声を掛けられて振り向くとそこにはAの姿があった。
ロ「おお、Aっちじゃん。何してたんだ?」
A「いやぁ、俺もモテモテで。女の子に戦いを挑まれてた」
ロ「戦い・・・まさか、夜の方の!?」
A「おえええええええええ、止めろ。想像するだけで吐き気がする」
ケリンに対して異常なまでに失礼だが、Aにとって幼女以外の体は嘔吐ものである。
昔はそこまで無かったのだが、ここ最近、かわいい幼女(A視点)を見つけてからロリコン魂が強くなり、普通の女性に対して吐くようになったのである。
ロ「お・・おいおい、どったの?」
A「いや・・・最近さ、俺の周りにかわいい幼女をよく見かけてな。極度にロリコンの道を進んだ訳だ」
ロ「へー」
大そう、関心が無い返事をする。
A「ここまできたら引き返さねえ!!。ロリコン王に俺はなる!!」
ロ「よっ、男前!!」
Aのバカな宣告に適当に上げておくログナ。
そんなどうでもいいことを大声で言っていたため、周りには黒淵の人が集まりだした。
A「へっ、アグ○スの変わり身か。俺は、誰にも止められないぜ。日本だろうが世界だろうが相手になってやる!!」
ロ「じゃあ、コウガっちは」
A「・・・あー、あんまり相手したくないかも。強いし」
ロ「やっぱり」
次の瞬間、ログナとAは踏み込んで敵集に突っ込んだ。
もう見慣れたのか、ログナは黒淵の先生を全く怖がっていなかった。
二人は先程の話のお陰で変に緊張することなく、順調に倒していった。
上で騒動が起きている頃、高雅はアリア達がいる地下室へと到着した。
ア「あ、コウガ」
高「薬が切れたから取りに来た。んで、そこの奴に起きてもらう」
ア「でも・・・」
流石に眠っている空を起こすのは悪いと思い、ためらうアリア。
しかし、高雅は容赦なく肩を揺さぶって起こそうとする。
ア「ちょ、ダメだよ。寝かせてあげないと」
高「いいんだ。こいつには聞きたいこともある。おい、起きろ」
空「ふ・・・んん・・・」
空が目を覚まし、瞬きを繰り返す。
目を擦りつつも目の前の人物が敵ではない事を理解する。
空「あれ・・・ん・・・?」
高「目が覚めたか。早速で悪いがあの抗剤を作ってくれ」
空「あ・・・ゴメン・・・もう・・・材料が・・・」
高「そっか・・・じゃあ、質問をしたいがいいか?」
空「は・・はい・・」
高「あの抗剤の効き目はどのくらいだ?」
空「えっと・・・半日・・・ぐらい」
高「今の時間は既に夕刻か・・・なぁ、おかしくねえか」
ア「え?」
空「・・・・・・・」
高雅がアリアの方を向いて聞いてみるも、アリアは何の事か分かっていない。
高「お前、頭悪いな。どう考えても矛盾の可能性が高いだろ」
ア「え・・・」
空「・・・・・・・」
さっきから空が俯いており、何も言おうとはしなかった。
そこに、高雅が言葉を送った。
高「どうして俺が抗剤を作ってくれと言って時間も確認せずに作った?」
空「それは・・・その・・・」
高「管理者でもなく、顔見知りでもない俺が抗剤をのことを知っていて、何故躊躇なく抗剤を作った?」
空「えっと・・・その・・・」
高「そりゃ、既に半日経っていることに気付いていたのだろ」
空「・・・・・・・」
空の代わりに高雅が答えを言う。
高雅の言葉に全く否定を示さない空。
アリアも高雅の言葉に目を丸くし、空を心配そうに見ていた。
高「否定しないか。じゃあ、こんな窓もない場所で半日以上眠っていたのを知っていたんだな」
空「・・・・・・・」
高「まぁ、俺が怪しいと思うのはここまでだ。決定的な証拠もないし、ただの俺の考えだけだがな」
?「結構ぅ、いい線いってるわよぉ」
高・ア「!?」
振り向いた先には暗闇の中に人影があった。
高雅は注意深く目を凝らし、同時に殺気を読みとる。
ア「今の声、シリナちゃん!?」
高「違う。声だけじゃ分からないが、あいつは詩智安の方だ」
ア「シチア?」
聞かない言葉に首を傾げるアリア。
しかし、高雅はさらに警戒する。
詩「正解よぉ。良く分かったわねぇ」
そして、影から姿を現す詩智安。
見た目や声色は完璧に紫理奈と瓜二つで違いが全く分からない。
その為、アリアはまだ紫理奈だと思っていた。
高「まぁ、俺は少し特殊でね」
詩「そぉ。じゃぁ、すぐに当てたからいいこと教えてあげるぅ」
高「?」
詩「薬を飲んだのは何も黒淵だけとは限らないわよぉ」
高「それって・・・まさか!!」
詩「それじゃぁ、クゥちゃんを返してもらうわねぇ」
そう言った瞬間、詩智安の影が消え、いつの間にか空も消えていた。
ア「あ・・・あれ!?」
高「何者だ、あいつ」
ア「一体、何だったの?」
高雅達に危害を加える訳もなく、詩智安は突然現れたと思いきや空を連れて風のように去って行った。
高雅は詩智安の事を人間と見ることを疑い、アリアにとっては何が起きたかさっぱりだった。
高「この騒動、普通に考えると管理者が何かしてるな」
ア「そうだね。それに、さっきの意味は何だろう?」
高「・・・薬がどのようにして回っているか、俺達は知らない」
ア「そうだね・・・それで?」
高「お前、バカ過ぎる。少しは考えろよ。どうやって、黒淵以外に薬を回す方法を」
ア「えう・・・んー、ご飯に混ぜるのは?」
高「一番考えられるパターンだな。しかし、俺はこうして元気だぞ」
高雅は皆と一緒にご飯を食べてないだけで、食べた食材は全く同じである。
アリアの考えは一瞬にして打ち砕かれてしまった。
アリアが首を落として落ち込んでいる所に、高雅は鼻で笑う。
高「・・・だが、今日の朝は食べても、俺は昼を食べていない」
ア「え・・・じゃあ」
高「あくまで推測だ。もしかしたら感染するという事もある。しかし、当たっているとやばいな」
薬自体がどのくらいの時間で作用するのかは分からない。
飲んですぐなのか、それとも少し経った後なのか。
さらに、人から人へと感染するのかも分からないのである。
高「まだ狂った緑淵の奴らは見ていない。早めに探して対策を打たねえと」
ア「とにかく、まずは皆を探さないと。もしかしたらA君も暴れる可能性もあるし」
高「そうだな、ここを出るぞ。剣になれ」
高雅は地下室を出てログナがいる所へと向かった。
道中、黒淵の人が襲ってきたが、軽く流して突破した。
高「さて、ここにいるはずだが・・・」
一応、念入りに注意すべく、そろりと覗く。
だが、見渡す限り気を失っている黒淵の人ばかりでログナの姿は見えなかった。
高「おかしいな。襲われて避難したか?」
ア「・・・・ッ!?、こ・・コウガ!!」
高「どうした?」
ア「床に・・・血が!!」
高「なっ!?」
高雅は殺気ばかりで探していたため、視界に入るのは殆どスルーしていた。
しかし、アリアは目に見える情報だけで考えていたため、床にある血が不自然なことに気付いた。
高「ログナが血を出すような攻撃をする訳でもないし・・・だとすると」
高雅は嫌な予感がし、床に着いた血に近づく。
まだ新しいのか、固まってなく液体のままだった。
高「・・・新しいな。それに、人間の血ではない」
高雅は人差し指に血を付けて軽く観察した後、判明した。
高雅は既に天使や使い、楽園、セイクリッドなどの人達の血を戦いを通して見ており、一通り理解していた」
また、血で相手がどんな奴か分かるため、それぞれ分別が付くほど理解していた。
ア「じゃあ・・・」
高「ああ、ログナのだ」
アリアの血の気が引き、顔が青ざめる。
高雅は殺気を頼りにログナを探すも、見つかることはなかった。
高「見つからねえな」
ア「ログナ・・・死んでないよね?」
高「バカ言え。再生ができる奴が死ぬのは一撃必殺のみだ。なのに、ここに血があってログナが無ければ生きてる可能性は大だろ」
ア「そ・・そっか。そうだよね。じゃあ、ログナを探そう!!」
高「・・・お前、やることを増やし過ぎだ」
ア「え!?」
高「緑淵の奴らやAを探す、紫理奈を探す、ログナを探す、詩智安の目的を探る。多過ぎだろ」
流石に高雅もこの量は手に負えないと参っている。
ア「じゃあ・・・えっと・・・」
高「誰か、助けがあれば楽だけどな・・・」
とか思ってみればいきなり助けが現れる訳もなく、逆に敵さんがやって来た。
高雅は溜息を零しつつ、目の前の事を解決しようと決めたのであった。
敵を蹴ったり殴ったりで体に傷が残らないように配慮しながら戦っていた。
そんな時だった。
?「コウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
高「なっ!?」
巨大な声と共に何者かが真上から振って来る。
相手は日本刀に武器を持っており、今までとは違う雰囲気を発していた。
それで、相手がだれか気付き、高雅は全快の静寂で相手の斬撃を受け止めた。
高「A!!」
A「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
その正体はAだった。
Aはただひたすらに高雅に攻撃を加え続けた。
高「このっ、いい加減にしろ!!」
ア「コウガ、A君はきっと・・・!!」
アリアがAの様子から薬の所為だと思い込む。
その間に、Aは高雅の腹に蹴りを入れて吹き飛ばした。
高「うぐっ・・・・っつぅ」
高雅は腹を抑えつつ、着地した。
そして、その目は怒りに満ち溢れていた。
高「ここまでした以上、容赦はしねぇ!!。土下座しても許さねえからな!!」
殺気を全開にし、Aへ攻撃を始めた。