修学旅行編 その8、三人の行動
A side
Aは適当に三階を捜索していた。
ここは緑淵の生徒達が泊まっている部屋がある階である。
Aは普通の人はここに逃げ込んだと思い、取りあえず無事を確認しようとしていた。
思った通り、この辺りは黒淵の生徒が少なく、安全地帯だった。
A「じゃあ、まずは自分の部屋の同伴の奴を探してみるか」
Aは自分の部屋に向かい、取りあえず自分と同じ部屋の人を探した。
ノックをすると、中から怯えた声が聞こえてきた。
A「おーい、俺だー。Aだー」
B「合い言葉を言え!!」
A「・・・は?」
同伴のBにいきなり合い言葉を聞かれ、戸惑うA。
もちろんこんなことは事前に聞いていない。
A「・・・いや、合い言葉なんて知らん」
B「じゃあ、お前は黒淵の奴だ。帰れ!!」
A「いや、黒淵に俺と同じ声色がいる訳がない」
B「これは罠だ!!。俺達を陥れる為の罠だ!!」
A「シェバンニが・・・・・・・・いや、ネタをやっている場合じゃない。取りあえず、お前らはそこにいろよ」
B「うるさい!!。Aの偽物が!!」
A「へいへい・・・ここの所が高雅に似てしまったな」
そう思いつつAはこの場から離れた。
そして、少し歩いた所にまた黒淵の生徒が立っていた。
Aを見た途端に一目散に襲いかかって来た。
A「全く、主人公は大変だぜ」
その後、Aは全員を峰打ちで黙らせ、溜息を零した。
そして、また現れた一つの殺気に対して目を向ける。
A「はいはい、今度はどちら様で・・・」
ケ「また会った。今度、倒す」
であったのはケリンだった。
A「ま た お ま え か」
ケ「今度、倒す」
ケリンは問答無用でAに襲い掛かる。
前と同じように長剣と短剣を使ってAに迫る。
A「どうして、こうも俺とやりたいんだ?」
ケ「王、認めた。戦いたい」
A「oh・・・とまぁ、シャレはこれぐらいにしてっと」
Aは長剣は刀で、短剣は素手で受け止める。
A「王が誰かは知らないが、主人公に喧嘩売って勝てると思うなよ!!」
Aが足で攻撃しようとしたところ、ケリンは剣を放して距離を取った。
Aはすかさず活性で剣を溶かし、使えないようにする。
A「さあて、お前の武器は無くなったぞ。どうするつもりだ?」
ケ「こうする」
ケリンがAに向かって手をかざす。
Aは意味が分からず、ただジッとケリンを見ていたが突然、衝撃を感じた。
A「うぐっ!?」
腹を見えない強い力で押され、Aは吹き飛んだ。
いきなりの事でも空中で体制を立てなおし、着地する。
A(何だ?。素手を使わずに吹き飛ばした?)
Aは今、何が起きたのか分かっておらず、混乱していた。
そこに、タイトが気付いたのか答えではなくヒントを与えた。
タ「主よ、あれも力の一環である」
A「つまり・・・どういうことだってばよ?」
タ「自分で考えよ」
A「へいへい。まぁ、何か見えない弾を撃つような力だろ」
ケ「本気、出す。絶対、勝つ」
ケリンは十分な意気込みを見せ、今度は何も持たずに接近して来た。
Aもさっきの攻撃を警戒しつつ、接近した。
Aとケリンの戦いが始まった。
ログナside
ログナは下の階を散歩していた。
場所は1階の厨房であった。
ロ「やべぇ、肉うめぇ」
そこで騒ぎに紛れて勝手に食材を食べていた。
ロ「あり、この魚、何か目がやべぇな」
何でもバグバグ食べていたログナがその魚を取ってピタリと止まった。
手に取った魚の目は真っ赤になっており、白目の部分も真っ赤になっていた。
ロ「何でいかにもヤバそうな物が調理場においてあるんだ?」
普通ならこんな異常な魚を調理場に置くなどはしないはず。
それがここにあると言う事で怪しむのは当然である。
ロ「こんなの、人間が食ったらどうなるんだろ。あんな風に狂うのか?」
魚の尾を持てぷらぷらと揺らし、妙な事を考える。
しかし、のんびりしていると扉を開ける音が聞こえ、すぐに目を向ける。
そこには黒淵の生徒ではなく、先生がいた。
ロ「何だ、大人か。なら、平気か」
そう言って緊張を解き、再び肉を食べ始めた。
先生達はログナの方に近づいて来る。
ロ「ん、食いたいか?」
そう言って、ログナは骨付き肉を向ける。
その瞬間、先生達は目が変わったように跳びかかった。
ロ「うおぉ!?」
驚いたログナは肉を遠くに放り投げた。
先生達はすぐに肉に目が行き、一斉にしゃぶりつく。
ロ「うぉ、こえぇ」
肉が一瞬で骨だけになり、先生達はログナに目を向ける。
ロ「え、何、人肉・・いや、天肉を食べる気?」
ログナの想像通り、先生達はログナに飛び掛かって来た。
ロ「やっぱりいいいいいいいいいいいいい」
ログナは急いで厨房を出て逃げる。
普通に勝てるはずだが、目の前で無惨に食われた肉を見て少し怯えていた。
しかし、後ろから先生達が追って来る。
ロ「うおおおお、助けてくれええええええええええええ」
いきなりの出来事で自分が人間より強い事を忘れ、必死に逃げていた。
ログナの下克上が勝手に始まっていた。
高雅side
高「さぁて、止められない今、どうするかな~」
てっきり、紫理奈を使えばすぐにおさまると思っていた騒動も治まらず、高雅は途方に暮れていた。
さらに、敵は殺気を使っても動けなくなるだけで気絶まではしなかった。
高「あっちも俺の殺気に慣れてるせいか、そこまで効かなくなったし、どうしたもんだか」
ア「そうだねぇ」
紫「どうしましょぉ?」
適当な部屋に籠って作戦を考える三人。
そんな中、高雅とアリアは意思会話で紫理奈に聞こえないように会話していた。
ア(ねぇ、何でさっき私を使って蹴散らさなかったの?)
高(あのな、普通、人が剣に変わるなんてこの世ではありえないんだよ。だから、あいつがいる限り、お前は人間状態でいろ)
ア(そっか。うん、分かった)
アリアを分からせた所で高雅は再びこれからについて考え始めた。
すると、高雅は紫理奈のある言葉を思い出した。
高「なぁ?。さっき、くぅちゃんとか言ってたよな?」
紫「?、クゥちゃんがどうしたのぉ?」
高「そいつが何かあったから、お前の言うことを聞かなかった訳だよな」
紫「そうよぉ。私含め、管理三人が一人でも掛けると黒淵どころか、世界がどうにかなっちゃうのよぉ」
ア「せ・・世界!?」
あまりの規模の大きさにアリアが目を丸くして驚く。
高雅は特に大きな反応を示さず、別にといった感じである。
高「お前らは一体、どういう学校・・・いや、組織なんだよ」
紫「そうねぇ、あなたには教えてもいいけどぉ・・・」
高「けど、何だよ?」
紫「警察に言わないでねぇ」
高「・・・とんでもないと自白してるもんだろ、それ」
紫「そうかしらぁ?」
逆に自爆してるだろと呆れる高雅。
紫理奈自身は特に意識はしていないみたいだが。
紫「じゃぁ、言っちゃおうかしらねぇ」
ア「結局、言ってくれるんだ」
紫「実はねぇ、私達は薬の開発をしているのよぉ」
高「うわぁ~、何か読めてきた」
決して、殺気を使っている訳ではない。
ただ、純粋にそう思っただけである。
紫「薬と言ってもねぇ、普通の薬じゃないのよぉ」
高「お前らの生徒を見ればそれぐらいは分かる」
紫「そうねぇ。あれは副作用だから。本当は純粋なドーピングよぉ」
高「純粋って、おま・・・」
ア「ドーピングって何?」
一人だけ分かってないのがいるが話は進む。
紫「色々研究しているのだけどぉ、どうしても副作用で狂っちゃうのよぉ。そこで、抗剤を作る天才のクゥちゃんに副作用を抑える薬を作ってもらってたのよぉ」
高「何で抗剤は作れるのに目的の薬はできないんだよ・・・」
紫「さぁ?。何でも、クゥちゃんは『打ち消すのは簡単、難しいのは生み出すこと』って言ってたわよぉ」
ア「そのクゥちゃんって人、凄いね」
紫「でもぉ、クゥちゃんがちゃんと抗剤と投入してないから、今みたいな騒動が起きてしまったのよぉ。でも、真面目なクゥちゃんが抗剤を投入しないなんてぇ・・・」
ア「・・・その子の身に何かあったのかもしれない」
高「それが妥当か考え過ぎかのどっちかだな」
紫「どうしましょぉ」
再び考えだす三人。
しかし、これと言って案がない。
そのクゥちゃんを探すとしても、どこにいるのか全く分からないため、紫理奈を連れて無暗に動くのは危険である。
それを思い、高雅はこの案を言わなかった。
ア「じゃあ、クゥちゃんをさがしn「アホ!!」むぐっ!?」
今、高雅が消した案をアリアがさらりと言おうとした。
それを防ぐべく、高雅は手をアリアの口の中に突っ込んだ。
高「俺とお前だけならまだましも、村井がいることを考えろよ」
ア「むぐ・・んぐぐ・・んむぅぅう・・・」
何かを訴えたいのだろうけど、手が口の中にあり喋ることができない。
紫「あらぁ、私の事は気にしなくてもいいのよぉ」
高「目の前で殺されて気にしない訳が無い。色々と狂うから止めてくれ」
紫「そぉ。じゃあ、どうするのぉ」
高「こうなったら、完全に安全な場所を探すしかない。そこで紫理奈を置いて、俺達でそのくぅとやらを探す」
紫「ん~、しょうがないわねぇ」
高「誰の所為だと思ってんだ、テメェ」
紫理奈の態度に次第と怒りを覚える高雅。
アリアの口から乱暴に手を引っこ抜き、近くに置いてあったタオルで手を吹いた。
しかし、そんな怒りも扉を叩き破る音によってかき消された。
高「全く、またお前らか」
つまらないと思い、殺気をぶつけて動きを止め、その内に部屋を飛び出して逃げた。
逃げながら、アリアは高雅に質問をした。
ア「ねぇ、ドーピングって何?」
高「昔のAが1秒で今のAになる事だ」
ア「とても分かりやすいね」
そんなやり取りをしつつ、黒淵の生徒をまいて行く。
しかし、紫理奈の足下に突然穴が出来上がった。
紫「きゃぁ?」
高「なっ!?」
高雅は見た瞬間にその穴が空間で作られたいたのが分かった。
ア「きっとあの天使だよ!!。戻って来たんだ!!」
高「あの野郎・・・アリア、今のうちに剣になれ」
高雅はアリアを双剣に変え、空間の後を追った。
その先は玄関前のホールであの天使が紫理奈を殺そうとしていた。
天「何だ、また邪魔するか」
高「まぁ、目の前で人殺しをされて黙ってる訳にもいかないのでな」
天「貴様、何故そこまでしてルシフェルの子を庇う?」
高「俺もルシフェルの子だし、そもそもそいつは人違いだ」
天「残念だが、特徴が一致している。嘘は吐けんぞ」
高「はぁ」
天使は完全に紫理奈をシリアと勘違いし、大人しく引こうとしない。
勘違いに呆れ、高雅は溜息を零した。
高「全く、王の命令は絶対だろ?」
天「貴様、都合のいい時だけ王を名乗るな!!」
天使が激怒し、高雅に剣を向ける。
その瞬間、高雅は一瞬で紫理奈を助け出し、距離を置いた。
天「しまっ!?」
高「油断大敵だな。取りあえず、紫理奈。お前はこの部屋にでも籠ってろ」
紫「・・・あなたぁ、何者ですかぁ?」
高「知らなくていい。黙って入ってろ」
高雅は無理やり紫理奈を近くの部屋に入れ、扉をロックした。
もちろん、周りには空間すら繋げられないように虚無の力を張ってある。
高「さぁて、罪のない人を殺そうとした罪はでかいぞ」
天「貴様、これ程の人を狂気に陥れて、なお罪でないと言えるのか」
高「あー、それはー・・・」
天使が考えているのとは別の方法で狂気に陥れている事に変わりはない。
そう思った高雅はちょびっと罪悪感に襲われていた。
高「・・・まぁ、お前が裁く事じゃないから。だから大人しく帰れ」
天「貴様が裁くと甘くなる。私が裁くべきだ」
高「悪いが天と地の法律は全く異なる。ので、お前は力づくでも帰ってもらう」
高雅が殺気を出しながら戦闘態勢に入る。
それに応じて天使も剣を構える。
高「手加減をしてやるほど、俺は甘くはない」
ア「あれ、何か棒読みな感じが・・・」
高「気にしたら負けだ」
アリアの言葉を流し、高雅の勝負は始まった。