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修学旅行編 その5、遭難

一日分だけ遅れを取り戻すことができたぞ


やったね

ゲレンデを全速前進で上っている高雅。

猛吹雪の中でも低空飛行を続けてある場所へと向かっていた。

ア「コウガ、どこに向かってるの!?」

高「あのムカつく天使野郎の所だ」

ア「どうして?」

高「殺気が一つ消えたからだ。やな予感がやっと分かった」

ア「え、どういう・・・」

高「あの天使の殺気を読みとった時、シリアがどういう奴か分かっていなかったんだ」

ア「嘘!?」

高「あいつからシリアの情報を盗み感じた時、そこに素顔は無く、子供と口調と性別しかなかった」

ア「口調と子供と性別しか知らないの?」

高「ああ。冷静に判断すると、フィーラは楽園の者だからあいつは知っていた。サミダレを知らないとしても大人だから大丈夫。つまり、あいつは口調だけで探していることになる」

ア「それって・・・まさか!?。でも、探しているのは子供のはずじゃ・・・」

高「あいつから見れば、二十歳以下は全員子供だろ」

ア「・・・シリナちゃんが危ない!!」

高「手遅れになる前にどうにかする」

そう言って、全速力で山を駆け抜けた。






天「ふっ、まさか私が倒してしまうとは。まぁ、誰が倒しても関係ないか」

天使はシリアを殺したと思い、あまりの呆気なさに溜息を零した。

天「これが本当にルシフェルの子か。まぁ、いい。後は完全に消すだけだ」

天使は異界へと空間を開き、死体を投げ捨てようとする。

しかし、投げる直前で空間が閉じられてしまった。

天「気付かれたか」

そう言って天井を見上げると、高雅が重力に反して立っていた。

すると、一回転してから地面に着地する。

ちなみに、ここは洞窟内の為、雪は積もっていない。

高「よっと。ったく、こんな洞窟の奥深くにいるとか面倒なやつだな」

高雅は山を駆け抜け、洞窟を抜け、その最深部にまで辿り着いたのだ。

そこに、天使と殺されて紫理奈がいたのだ。

高「お前は引き籠りか?」

高雅が紫理奈の首を再生しながら冗談半分で問う。

しかし、天使がそれを許すほど甘くは無い。

だが、天使に邪魔をさせるほど高雅も甘くは無い。

天「貴様、止め・・・くっ!?」

高「動く訳ねえだろ。お前は既に静寂に飲みこまれてるよ」

天「くっ・・・・だが、こんなこともあろうかと!!」

天使がそう言うと、どことなく空間を引き裂いて誰かがやって来た。

天使には静寂が掛かってあるため、やって来た誰かが空間を開いたと高雅は理解する。

現れたのは腰に長剣と短剣を刺した使いだった。

天「彼女は私の使いだ。さぁ、ケリンよ。奴を足止めするのだ」

ケ「いや」

天「は!?」

いきなりの命令無視に驚く。

ケリンと呼ばれた使いは振り返って長剣を抜き、天使の首に突き付けた。

ケ「ふざける、ダメ。私、賛成。主人、反対。主人、王より、下」

片言しか喋らず、天使の命令を全く聞くつもりがない。

天「ふ・・ふざけてるのはお前だ!!。私の命令に従えないのか!?」

ケ「〈コクッ〉」

ケリンは無言でうなずく。

天「貴様・・・主人の言葉が聞けないとはいい度胸だ」

高「なぁ、茶番は終わりか?」

高雅は既に紫理奈を生き返らせ、抱えてこの場から去る準備をしていた。

ちなみに、紫理奈は生き返ってはいるが意識は取り戻していない状態である。

ケ「待って」

しかし、ケリンがすぐに高雅の首に長剣を突きつけて動きを止める。

高(・・・地味に狙いが上手いな)

そんなことを思いつつもケリンを睨みつける。

ケ「私、あなた、戦いたい。手合わせ、したい。戦いたい」

余程戦いたいのか、同じ事をニ回も言って強調させる。

高「おい、お前は俺と戦わないんじゃないのか?」

ケ「主人、どうでもいい。私、意思」

天「なっ!?」

高「名無しキャラ乙」

ケ「とにかく、私、戦う。戦いたい」

高「悪いが、俺は好戦的じゃないんだ。そこで黙って寝てろ」

そう言って、高雅は強力な殺気をケリンにぶつける。

ケ「ッ!?」

ケリンは目を丸くして驚く。

一瞬で高雅が恐ろしい相手だと言う事が分からされたのだ。

ケリンを通して天使は気絶していた。

しかし、ケリンは震えているだけで気絶まではしなかった。

高「気絶しないとは、少しはやるようだな。しかし、戦えるか?」

ケ「・・・・・・・〈ガッ!!〉」

ケリンは自分の震えている手を思いっきり殴った。

すると、ケリンの恐怖により硬直は解けていた。

ケ「戦える」

高「訂正、かなりやるようだな」

ケ「負けない」

ケリンは踏み込んで高雅との間合いを詰める。

そのままの勢いで、長剣でなぎ払う。

それを高雅は片手で紫理奈を抱えつつ、片手で剣を持って斬撃を受け止める。

高「悪いが俺と戦う前に、まずはAにでも勝てるようにならないとな」

ケ「A?」

高「そ、俺と同い年の殺気を感じる事のない人間だ。そいつに勝つまで、俺との勝負はお預けだ」

ケ「・・・やだ」

ケリンは否定して短剣を抜き、高雅の首を狙う。

狙いは完璧で当たれば即死は逃れられない。

しかし、そんな正直な攻撃を高雅が見破れない訳がない。

高「狙いは完璧だ。だがワンパターンじゃ、いつまでも三流だな」

高雅は体を逸らし、紫理奈を一瞬手放した。

紫理奈が落ちるまでに、ケリンの腹を一発殴り、さらに蹴り飛ばした。

その間、僅か0.5秒。

そして、高雅はさっきと同じように紫理奈を抱え、ケリンは壁に叩きつけられて倒れていた。

ケ「うぐ・・・」

高「さーて、帰るか」

高雅は天使とケリンをそのままにして洞窟を出て行った。








外に出ると相変わらずの猛吹雪によって視界が真っ白になっていた。

高「天気、回復しないな」

ア「そうだね。急に悪くはなったけど、良くはならないね」

高「全く。天気は気紛れだな」

ア「それにしても、コウガ。どうしてあの時A君の名前をだしたの?」

高「戦うことに執念深い奴は戦いたい奴に言われた通りにするのがセオリーだと思ったから」

ア「だからって、A君の名前をだしたの?」

高「面白半分で」

ア「あ・・あははは・・」

おしゃべりをしつつも、人が集まっている殺気を辿ってホテルへと向かう。

高「・・・あれ、殺気が近づいて来る」

ア「え?」

こんな猛吹雪の中、高雅の方へと殺気が一つ近づいて来ていた。

高雅は集中して誰の殺気かを読みとる。

高「・・・はぁ」

誰か分かった瞬間、高雅は溜息を零した。

そして、足下の雪が溶け、その人物はやって来た。

A「おっす。やっと見つけた」

やって来たのはAだった。

ただ、高雅は雪の上に立っているが、Aは頭以外雪に埋もれていた。

しかし、活性の力を利用して全て溶かして来たのだ。

高「お前、何やってんだ?」

A「いやー、お前がホテルにいなかったから探しに来たんだ。主人公が仲間を心配するのは当然だろ?」

高「言ってろ」

A「まぁ、それは置いといて、抱えている女性は誰だ?。まさか、そこの洞窟でキャッキャウフフを!?」

高「黒淵高校の奴だ。遭難していた。それだけだ」

あえてAのツッコミをスルーし、嘘の事を教える。

だが、Aは首を傾げていた。

A「じゃあ、何で戦った形跡があるんだ?」

高「・・・・・・・」

高雅は無言で何も答えなかったが、内心は相当驚いていた。

確かに、高雅は戦ってはいたが、形跡は見るだけでは分からない。

感覚だけで高雅の所に辿り着き、厚着をしている人を女性と見分け、さらに戦っていたと言う事を理解している。

高(どれもこれも殺気を読みとれば分かる事。こいつ、まさか・・・)

Aは殺気を読みとれるようになったのかと思ってしまう。

A「んー、何となくだけど戦ったような感じだよな。なぁ、合ってるか?」

高「・・・正解だ。よく分かったな」

A「だから、何となくだって」

高雅は理解した。

本人は分かっていないが無意識に殺気を感じ取っているのだと。

高「何となくって・・・・ッ!?」

A「パスパス」

高雅は後ろからの殺気を感じ取った。

それと同時にAは紫理奈をこっちに投げるように仕向けた。

高雅は紫理奈をAに投げ、振り返る。

Aは軽々と紫理奈を受け止めて、警戒態勢に入る。

ケ「追いついた」

殺気の犯人はケリンだった。

早くも気絶から意識を取り戻したのだ。

ケ「まだ、終わってない。戦う」

A「おいおい、エンカウントじゃね?。俺、今ならやる気あるぜ」

高「Aは黙って帰れ」

ケ「A?。あなた、A」

高「あ・・・」

ついケリンの前でAという言葉を出してしまった。

ケリンの視線がAの方へ変わる。

ケ「あなた、王、認めた、人間。戦いたい」

高「パスパス」

今度は高雅は紫理奈をこっちに投げるように仕向ける。

Aは迷わず投げ、刀を構える。

その瞬間、ケリンはAに向かって飛びかかった。

A「おっと。女性なのに力強いこと。高雅、先に帰ってろ。こいつは俺が何とかする」

高「おいおい、大丈夫か?」

A「はっはっは。俺が負けるとでも?。俺は主人公。絶対に死なん!!」

高「フラグ立てすぎだろ。まぁ、お望み通りに任せる。帰ったら名前で呼んだ事で倒すから」

高雅はケリンをAに頼み、高雅は山を下りようとした。

だが、少し下りた所で事件が起こった。

A「いくぜ!!。新必殺技、バーニングバースト!!」

痛い叫び声と嫌な技名で振り返る。

そこには、活性で作った超高温の斬撃を飛ばすAの姿があった。

高「アホか!!」

ア「やる気があるって、あの技を試したかったんだ」

高「そんな呑気なこと言ってる場合じゃねえ!!」

高雅が最も恐れていたのことが起きてしまった。

山の雪が一気に崩れ、雪崩が発生したのだ。

ケ「ッ!?」

A「甘かったな。これが俺の狙いだ」

高「かっこつけてる場合か!!。お前はどうする気だ!!」

A「安心しろ。主人公だから死にはしない」

Aもそれなりに考えがあるようだ。

どうみても、バカな考えだが。

そうしている内にも猛吹雪によって大量に積もった雪が一気に崩れた。

それはかなりの規模の雪崩だった。

Aは自分しか考えておらず、碌に周りを見ていなかったのだ。

ケ「くっ・・・撤退」

ケリンは空間を開いてこの場から離れた。

ア「コウガ、私達も空間で逃げないと」

高「ダメだ。真の契約が間にあわねえ!!」

ア「じゃあ、活性で」

高「それはダメだ」

ア「何で!?・・・ひ・・きゃあああああああああああ」

高「うわあああああああ」

A「あばばばばばばばばばばばばば」

高雅の理由も聞けずに、高雅達は雪崩に呑みこまれた。







雪崩が収まり、猛吹雪も次第に弱まり、雪山に平穏を取り戻した頃。


ズボッ!!


そこに一つの手がえた。

さらにもう一つの手が生え、次第に一人の人影が生まれた。

その姿は高雅だった。

高「・・・・・・・・・」

しかし、高雅の腕にはアリアのブレスレットや紫理奈の姿が無かった。

雪崩の時にはぐれてしまったのだ。

今の高雅は薄着でアリアがいなければ凍え死んでもおかしくない。

高雅は雪の中から脱出はできたものの、既に体力が無くなっていた。

高「・・・・・・・・」

意識があるだけでもおかしい状態だが、高雅はその場に立ち尽くした後、何もできずに倒れてしまった。

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