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元旦

今日の高雅は違った。

何と、休みに関わらずに早起きをしたのだ。

しかも、早朝の7時である。

高「・・・何か、バカにされた気がする」

そんなことはさて置き、高雅は顔を洗って支度をする。

もちろん、元旦に向かう場所と言えばしぼられる。

高「準備はいいか?」

高雅がリビングに顔を出すと、既に出掛ける用意をしている皆がいた。

ア「うん」

フ「ばっちりです」

レ「問題ない」

エ「いつでも」

サ「よいのじゃ」

シ「大丈夫ぅ」

それぞれ答え、立ちあがる。

高「んじゃ、さっさと行くぞ」

そして、高雅の後を追うように家を出た。








やって来たのは近くにある緑淵神社である。

緑淵神社は結構広く、屋台も出す程である。

元旦には、ほぼお祭り雰囲気になる場所なのだ。

もちろん、それだけあって人の数も尋常ではない。

フ「わぁ~、すごい人です」

高「はぐれるなよ。逸れたら探さないからな」

ア「とか、言っている内にシリアちゃんがいなくなってるよ」

高「・・・あいつは喧嘩売ってんのか」

着いた途端に迷子が出現。

幸先さいさきが悪い高雅は呆れながらも神社の敷地内へと入って行った。

特に目的もなく、ただぶらぶらと歩き、賽銭箱があれば投げ入れるの繰り返し。

しかし、シリアは全く見つからなかった。

高雅は適当にあった焼き鳥の屋台から焼き鳥一本買って食べていた。

高「あ~、シリア見つからねーな」

ア「探してるんだ、一応」

高「あくまで一応な」

レ「しかし、こうも人が多くては探すに探せぬ」

エ「二手に分かれるか?」

高「・・・・いや、いい奴を見つけた」

高雅の目線の先には出店の前で気を溢れさせながらおみくじと戦っている人がいた。

A「今年こそ~、今年こそは~、大吉を~」

タ「主よ早く引け。後が差し支えておる」

A「おりゃあああああああああああ」

勢い良く引き、そのまま紙を広げる。

その瞬間、Aは崩れ落ちていった。

A「NOOOOOOOOOOOOOOOO」

高「どうやら、大凶だな」

タ「ん、高雅か。来ていたのか?」

高「よ、タイト。お前の主人は新年に関わらず騒がしいな」

高雅が軽く手を上げて挨拶すると、Aが一瞬で起き上がった。

A「何だ、高雅か。何しに来たんだ?」

高「俺が神社にいたら悪いのか、おい。・・・まぁ、それより頼みたい事が」

A「ダメなんDA」

高「別にネタでやった訳じゃない。お前の力で人をさがしてくれ」

A「いやいや、人なんて無理だろ」

高「その人は身長はフィーラぐらいの大きさで女の子。しかし、人間ではない」

A「・・・・・・・ピーン」

Aの髪の毛がまっすぐに立ちあがった。

高雅が利用としたのはAのスキルである幼女レーダーだ。

高雅の思惑通り、Aのレーダーは一瞬で反応を示した。

A「あっち」

高「ご苦労。そして、俺を名前で呼んだ罰だ」

A「あぶっ!?」

高雅はAを一発殴ってからAの指差す方へと向かった。

フ「気の毒です」

ア「あははは・・・」

Aを横目に見ながら哀れみ、アリア達も高雅の後を追った。

Aの指を指した方向を歩き続けると、それらしき人物が目に入った。

高「おい、シリア」

シ「?・・・あっ、お兄ちゃぁん!!」

案の定、シリアは見つかった。

シリアは高雅を見つけた途端に駆け寄って来た。

手には綿飴を持っており、手で千切りながら食べていた。

シ「あむ・・探したよぉ」

高「こっちのセリフだ。てか、何だそれは?」

シ「綿飴ぇ」

高「どうして持っている?。金は無いはずだろ?」

シ「あのお姉ちゃんが買ってくれたのぉ」

シリアが指を指した方を見ると見慣れた人物がいた。

夢「あれ、崎村じゃん」

龍「あ・・・」

高「お前らか」

そこには夢と龍子が立っていた。

シリアはこの二人と行動を共にしていたのだ。

龍「あ・・あけまして・・・おめでとう・・・」

ア「おめでとう、リュウコ」

夢「あけおめ。てか、探してたお兄ちゃんってあんただったんだ」

高「探してたのはこっちだ」

夢「ふ~ん。んで、あんたって妹とかいたっけ?」

高「あいつは遠い遠いそのまた遠い親戚だ」

龍「そ・・・そうなんだ・・・」

夢「しっかし、子供はちゃんと手を繋いで見張ってないと。こんな人だかりなんだから」

高「見張るもなにも、到着した時からいなくなってたんだ」

シ「だってぇ、美味しそうな匂いがしたんだもぉん」

高「お前な・・・」

シリアの呆れた理由を聞いて、高雅は一気に脱力した。

高「もういい、おみくじでも引いて帰る」

夢「あんた、相変わらずね」

龍「それじゃ・・・私達も・・・一緒に・・」

夢「はっ!?、崎村と同行!?。無理無理、死ぬって」

夢は高雅が誰かと一緒にいるのは危ないと思っているらしい。

しかし、今の高雅は人嫌いでは無くなっている。

高「別に、お前らが何もしなければついて来てもいいけど」

夢「はっ!?。崎村が許した!?。あり得ない・・・」

夢が高雅の変わりようを信じられず、茫然ぼうぜんと立ちつくしていた。

それを見た龍子が夢の肩を叩いて目を覚まさせる。

龍「夢ちゃん、行こ?」

夢「え・・・あ・・うん」

龍子に押されつつも、夢は高雅達が向かった場所へと行った。

高「さーて、今年の運勢は・・・・」

高雅は適当に紙を一枚引く。

それに続いて皆も紙を引いて行った。

フ「えっと・・・やった、大吉です!!」

レ「うむ、末吉か」

エ「僕は中吉だ」

サ「小吉じゃ。つまらないのぉ」

シ「吉だったよぉ」

高「へー、凶はいなかったかぁ・・・あ」

高雅が確認した時、真っ先に目に入った文字は大きく書かれた凶だった。

高「ありゃ、凶かよ・・・まぁ、大凶よりはましだな」

自分の運気を見た後は適当に健康運を確認する。

そこには・・・


健康運:大丈夫だ、問題ない。


高「・・・・・・・」

次に恋愛運を見た。


恋愛運:はよ気付け、アホ。


高「・・・・・・・」

さらに勉強運。


勉強運:なんとかなるっしょ♪


高「・・・・・・・イラッ」

凶であって凶じゃないことを書かれていた。

高雅は何故か腹が立ち、おみくじの紙をビリビリに引き裂いた。

それを心配そうに見ていた龍子が恐る恐る話しかけた。

龍「ど・・どうしたの・・・高雅君・・?」

高「何でもない・・・・ただ、腹が立っただけだ」

龍「そ・・そう・・・」

何でもないのは一目瞭然だが、下手に追求するのは危険な事を龍子は知っている。

龍子は次にアリアの方を確認した。

龍「アリアは・・・どうだった・・?」

ア「え・・あぁ、何か最悪だよ」

アリアの紙に書かれていたのは大凶だった。

勉強運も健康運も何もかも悪い事ばかり書かれていた。

ア「でも・・これだけは唯一の救いかな?」

ただ、一つだけ不思議な事を書かれていた。

それは恋愛運だった。

龍子が確認するとそこにはこう書かれていた。


恋愛運:苦難の先に成熟あり


龍「成熟・・・あり・・・」

ア「うん。でも、あくまでおみくじだし、それに苦難が無いと成熟しない訳だよ」

龍「そ・・そうだね」

ア「・・・それで、この紙ってどうするの?。持って帰ってもいいの?」

龍「あ・・・こうやって・・・木に結んで・・・」

龍子がお手本で先におみくじの紙を木に結んだ。

それに続いてアリアや見ていたフィーラ達も結び始める。

ア「これで・・・よしっと」

高「それじゃ、帰るか」

夢「あんた、早すぎる」

高「何事も迅速に寝なくては」

夢「結局それかーい!!」

高「当然だ。それじゃ、俺達は帰るぜ」

龍「うん・・・・バイバイ・・」

龍子が手を振って高雅と別れた。

ア「それじゃ、バイバイ」

シ「綿飴ありがとぉ」

アリア達も龍子達に手を振って高雅に続いて別れた。

アリア達と別れた後、夢は龍子に話しかけてきた。

夢「ねぇ、あんたはどうだった?」

龍「だ・・・大吉・・・だよ・・夢ちゃんは・・?」

夢「あ・・・うん・・・まぁ・・「大凶・・・・」はい」

龍子に当てられ、落ち込む夢。

その後、龍子は夢の機嫌を取るのに必死に頑張ったのであった。

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