クリスマスパーティ 前編
今、高雅達の世界ではクリスマスを迎えていた。
しかし、高雅はこれと言って予定は無く、ただ家で寝てるだけであった。
高「Zzz・・・」
フ「コウガ様、相変わらずです」
レ「まぁ、いつも通りでいいではないか」
ア「でも、今日はちょっと違うみたいだよ」
そう言って、アリアが差し出したのは一通の封筒。
中には一枚の手紙と6枚の招待状が入っていた。
アリアは高雅を揺すり起こし、手紙を渡した。
ア「コウガ、起きて。はい」
高「ん・・・・・・ガス代は払った・・・って、違うか」
寝ぼけながらも手紙に目を通す。
気になってフィーラやシリアも顔をのぞかせる。
高「えっと・・・『崎村家にいる皆さんへ―――』」
今日、17時から屋敷でクリスマスパーティを行います。
同封した招待状を持ってぜひ参加してください。
ただのパーティですので、プレゼントなどは要りません。
気軽にいらしてください。
蓮田君やログナ君もぜひ誘ってください。
姫花家一同より
高「今日って・・・唐突だな」
ア「でも、暇でしょ?」
高「暇じゃない。寝る用事がある」
ア「それは暇と言うんだよ」
フ「でも、全員分が無いです」
レ「確かに。レンタ殿とログナ殿の分を考えると四人分しかない」
明らかに不足していたのは分かっていた。
しかし、それは仕方のない事だというのも高雅は理解していた。
高「あっちはエクスとサミダレ、そしてシリアがいる事を知らない。いきなり家族が増えることなんて検討してないだろ」
エ「事実だな。あちらは僕らの事を知らない」
サ「それじゃ、私らは留守番じゃの」
シ「えぇ~、パーティ~行きたぁい」
潔く諦める二人と駄々をこねる一人。
高「じゃあ、俺の分やるから行って来い」
シ「ほんとぉ!?」
ア「それじゃダメ!!。意味が無いよ」
高「別に、俺に来いって言ってる訳じゃねえし、崎村家なら誰でもいいじゃねえか」
ア「崎村家の大黒柱的な存在のコウガがいないと」
高「関係ないって」
ロ「取りあえず、俺っち達のはもらっておくぞ」
高「どーぞどーぞ」
神出鬼没のログナが招待状を二枚取ってすぐに帰って行った。
もう、いきなり現れても普通に接していた。
ア「僅か一行で消えるとは・・・」
高「ふぁ~、んじゃ、俺は寝る」
サ「ちゃんと夕方に起きるのじゃぞ」
高「へーへー」
適当に流して高雅は自分の部屋へ向かう。
しかし、さり気なく起きる事を約束しているのはアリアだけが分かっていた。
飛んで夕方。
高雅達は蓮田達を率いて姫花家の門前にいた。
もちろん、シリアではなく高雅が来ている。
シリアは高雅が寝ている内にアリア達が何とか説得したのである。
高「あ~、最近、寝続けて体がダルイなぁ」
ア「全く、偶には運動ぐらいしたら?」
高「知らねーよ。とにかく行くぞ」
高雅はデカイ門を片手で開け館の入口へ歩いて行く。
そんな時、後ろからリムジンがやって来た。
高雅達を前にしてもスピードを落とすことなく、そのまま突っ込んでくる。
しかし、誰一人として避けようとはしなかった。
ア「危ないね」
高「危ないな」
フ「危ないです」
レ「危ないだろうな」
ロ「わー、こえー」
蓮「大丈夫だよ。止まってくれるよ」
危機感ゼロの六人はただ道の真ん中に立ってリムジンを見ていた。
ちなみに、蓮田以外は全員棒読みである。
すると、高雅がリムジンから見て皆の前に立った。
高「おら」
ガゴン!!
リムジンの暴走を片足で止めた。
リムジンはかなりへこみ、受け止めた高雅は全くの無傷である。
すると、変形したリムジンの中からある人物が出てきた。
伊「貴様ら・・・この伊刈家の車になんて事を・・・」
高「・・・誰?」
ア「ん~、見たことないって顔じゃないけど」
中から現れたのは誕生日パーティ以来の伊刈である。
しかし、記憶は消してある為、高雅達の事は初見である。
そんな時、さらにもう一台、リムジンやって来た。
それは高雅達を避けて、高雅の真横で一時停止する。
そして、窓が開かれると知っている人物が現れた。
凛「あら、いらっしゃったのですね」
高「半ば無理やりだったけど」
ア「けど、来たってことは意思があったってことだよ」
高「・・・んで、お前は何で外にいたのだ」
凛「彼女をお迎えに参られてましたの」
高「ん?」
凛の後ろには控え目に座っている人物が見えた。
龍「こんばんは・・・」
高「龍子か。てか、何で龍子はお迎え付きなんだよ」
凛「まぁ、姫花家の礼儀ですわ」
高「俺に礼儀はねーのかよ。てか、完全に贔屓だろ、これ」
凛「ま・・まぁ、取りあえず、先に待っているわ」
そう言って、凛は窓を閉めて車を走らせた。
高「・・・・ったく」
ア「ま、早く行こっか」
伊「待て!!」
高雅達はあえて無視して屋敷へと歩き出した。
名前が知らなくても、かまうだけ疲れるのは知っていた。
警「そこの者。不審な車に乗って何をしている?」
伊「おい、私は伊刈家のものだぞ!!。ここに招待状が・・・って無い!?」
警「では、不法侵入として連行だ」
伊「待て、話せば分かる!!」
警「いいから来い!!」
伊刈は警察に連行され、パーティには参加できなかった。
そんな隙に高雅達は玄関前までやって来ていた。
すると、使用人が前に現れ、道を塞ぐ。
高「ほら、六人分だ」
高雅はすかさず招待状を見せると使用人達は念入りに調べる。
30秒後にやっと使用人が玄関の扉を開けてくれた。
高「念入りだな」
ア「ところで、コウガ。その招待状はどうするの?」
実は一瞬のうち伊刈から招待状を盗んでいたのだ。
高「ん~、どうするかね~」
そう言って招待状を見る。
すると、狙ったかのように一瞬強い風が吹き荒れた。
高「あっ」
そんな時、高雅の持っていた招待状が空へ舞い上がった。
高「・・・ま、いいか」
わざわざ取るのも面倒なので高雅は無視して屋敷へと入った。
入ってすぐに使用人がずらりと並んでいた。
使「ようこそ、いらっしゃいませ!!」
ア「丁寧な歓迎だね」
フ「ちょっとビックリです」
高「何かコンビニみたいだな」
使「それでは、時間まで控室の方で待機していてください。案内します」
高「それはどうも」
高雅達は使用人に案内され、控室の方へと向かった。
何度も曲がりながらやっとの事で辿りついた。
使「それでは、こちらでお待ちください。お時間になりましたらこちらからお呼びします」
高「ご苦労さま」
高雅は部屋に入り、イスに腰を掛ける。
他の者もそれぞれソファやイスに腰を掛けた。
フ「ちょっぴり疲れたです」
ロ「それにしても、あのひき逃げしようとした奴は誰なんだ?」
高「さぁ?。記憶の片隅にもない」
ア「あははは、あっちは確かに無いけど・・・」
レ「我は全く知らないが・・・」
蓮「僕も知らない」
高「世の中には知っていいことと知らなくていい事がある」
ア「なーんか、使いどころが違うような・・・」
のんびりと会話をしているとノックが鳴った。
香「蓮君いるの?」
蓮「あっ、かりんちゃんだ!!」
香凛の声が聞こえた瞬間、蓮田が嬉しそうに扉を開けた。
香「えへへ、待てなくて来ちゃったの。時間まで散歩しようなの」
蓮「うん、いいよ」
蓮田と香凛は手を繋いで部屋を出て行った。
ア「仲がいいね」
フ「ラブラブです」
ロ「きぃいいいいいいいいいいい、羨ましぃいいいいいいい」
高「そこ、ハンカチを噛むな」
ログナが涙を流しながらハンカチを噛んでいた。
高「ふぁ、寝るか」
レ「コウガ殿、時間はそれ程ないぞ」
高「・・・Zzz」
ア「一分一秒も大切に使うね」
フ「これがコウガ様のクオリティです」
結局、高雅は時間ぎりぎりまで眠り、アリア達は適当に過ごした。
空を舞う一枚の紙。
A「お、札か!?・・・何だこれ?」
その紙は偶然通りかかっていたAの手に舞い降りた。
A「招待状・・・姫花家・・・あ、あの高雅にテストで挑む奴か」
Aは内容を理解し、場所を確認する。
丁度、購買部組と隣町にお出かけしていたので、場所は近かった。
A「ん~、主人公の血が騒ぐ・・・行かなければ」
こうして、一枚の紙は一人の青年を誘った。
これが吉となるか凶となるのかは続きで。