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お買いもの

学校は冬休みを迎え、高雅は退屈で平和な日々を送っていた。

の、はずだった。

高「♪」

ベットに寝ながらゲームをしている。

しかし、その楽しい時間は一瞬にして無くなってしまった。

レ「コウガ殿おおおお!!、助けてくれええええ!!」

高「・・・・・・・・・」

ゲームをしている高雅の部屋にノックなしでいきなり掛け込んで来たのは獣状態のレオだった。

そして、その後ろからやって来たのはシリアだった。

普通の生活に戻っていても、相変わらずのタオル一枚姿だった。

シ「お~に~く~ぅ~」

レ「先程からあの状態なのだ。助けてくれ!!」

高「お前ら・・・・・」

レ「え?」

シ「ん?」

高「・・・・・死ね」

レ「な!?」

シ「ふぇ!?」

高雅の冷酷な声に体を震わせる二人。

そして、高雅はゲーム機を置き、何故かあった包丁を手にして二人に襲いかかった。

高「いっぺん、死にやがれえええええ」

レ・シ「うわああああああああああああ」

高雅の邪魔をした者には制裁が下されようとしていた。








高「と、言う訳で買い物に行け」

ア「全然意味が分からないし唐突すぎるよ。それに、私はあんまり離れられないよ」

高「大丈夫だ。場所は500メートル以内だし、金もやるから買い物に行け」

ア「だとしても、何を買うの?」

高「あいつの服だ」

そう言って、指を指す方にはレオと一緒に正座しているシリアがいた。

それを見たアリアは本当の理由を把握した。

ア(静かに寝たいんだ・・・・)

高「何だ、その顔?」

高雅の相変わらずな考えに、ついあきれ顔になる。

ア「ううん、何でも」

高「なら、さっさと行け。俺は寝る」

ア「こういう所は素直なんだから」

高「何か言ったか?」

ア「何でもないよ。じゃあ、行ってくるよ」

高「誰が一人で行けと言った?」

高雅は振り返って皆の顔を見る。

高「俺以外、全員で行くんだ」

ア「えっ?。わざわざそこまでしなくても。それに、シリアちゃんの姿じゃ注目を浴びちゃうよ」

高「いいから行ってこい!!」

もはや、自分の至福の時間を誰にも邪魔されたくないのだろう。

高雅の徹底した考えに最早反論は許されない。

ア「分かったよ。じゃあ、皆で行ってくるね」

高「のんびりして来い。後、服屋の場所は自分で探せ」

ア「ちょ!?・・・」

アリアが何かを言おうとした瞬間、高雅は自分の部屋へと逃げて行った。

そこまでして、一人の時間が恋しいのだろう。

ア「・・・仕方ない。行こっか?」

レ「しかし、本当にシリア殿を連れて行く気か?」

流石にレオは高雅の言う事だと言っても、反対だった。

結局、タオル一枚しかない少女を外に歩かせるのは不自然だ。

そして、変な目で見られるのはシリア自身ではなく、年上のアリア達なのだ。

ア「でも、コウガは本当に一人っきりになりたいみたいだよ」

エ「確かに、いつもに比べて聞く耳を持っていなかった」

サ「元々、持っているようには見えないがのぉ」

フ「きっと、コウガ様は疲れているです。こういうときは黙って従う方が身のためです」

ア「確かに・・・」

高雅が暴れ出したら誰も止めることは出来ないだろう。

何と言っても、あのルシフェルを倒したのだから、アリア達にとって天界一最強である。

そんな高雅の機嫌を損ねさせ続けると、いずれ火の粉は自分達に降りかかると予測していた。

ア「まぁ、人気ひとけの少ない所を通って行こう」

シ「買い物ぉ?」

シリアがゆっくりと立ち上がり、アリアに近づいた。

しかし、正座で足がしびれたのか歩くのに必死になっていた。

ア「うん。シリアちゃんの服を買ってあげるの」

シ「コウガお兄ちゃんは来るのぉ?」

ア「いや。コウガは眠たいから来ないって」

シ「えぇ~、つまんないよぉ・・・」

シリアは膨れて座り込んでしまった。

それを、アリアが脇の下を抱えて起き上がらせる。

ア「ほら、我が儘言うとコウガに嫌われるよ」

シ「うぅ~・・・・・・・あ」

レ「うっ!?。物凄い殺気が!?」

レオの殺気の感知は間違っていなかった。

シリアがレオに熱いまなざしを送っていたのだ。

それも、よだれを垂らしながら・・・

シ「じゅるる・・・おいでぇ」

レ「断固として断る!!」

シ「じゃぁ、こっちから行くねぇ!!」

レ「く・・来るなああああああああああああ」

レオが猛スピードで外へと逃げ出し、後に続いてシリアも出た。

ア「はぁ、この先が思いやられるよ」

サ「まぁ、退屈はしなさそうじゃな」

ア「他人事ひとごとにならないよ、きっと」

この先の出来事が不安でいっぱいのまま、アリア達の買い物が始まった。







奇跡的にアリアの不安な出来事は起きなかった。

レオも食べられずに済んだし、人とは未だに誰とも会っていない。

さらに、時間もそんなに掛からずに服屋を見つけてしまう、いいことづくしであった。

ア「さて、ここまでは人に会わなかったけど・・・」

奇跡はここまでである。

店に入るからには確実に店員と言う人がいる。

ア「・・・まぁ、仕方ないか。普通に入ろう」

アリアはあんまり隠れて行動するのも逆に怪しいと思い、諦めて普通に入ることにした。

自動ドアの前に立ち、自ずと扉が開かれる。

それと同時に営業スマイル全開の店員が声を掛ける。

店「いらっしゃいませ!!」

深々と頭を下げ、再びあげた時には唖然としていた。

もちろん、原因はシリアである。

ア「あの、この子の服を探しているのですが・・・」

店「え・・ああ!!、はい、分かりました」

ア(完全に引かれてるよ・・・)

店員は表情に出さないようにしているが、アリアは殺気で読み取っていた。

今まで強大な殺気を感じてきた所為か、ほんの少しだけ考えが分かるようになっていた。

とは言っても、この程度なら分かる人も結構いそうだが。

店「それじゃ、子供用の服はこちらになっております」

ア「はい。あっ、レオ君とエクスはついて来ちゃダメだから」

レ「何故だ?」

ア「そのぐらい、察してよ・・・」

アリアが呆れながら首を振る。

レオは分かっていないが、エクスの方は理解ていた。

エ「レオ君、僕らは暇つぶしでもしよう」

レ「わ・・分かった」

レオは理解できていないがエクスが無理やり引っ張ってこの場を離れた。

ア「さてと、のんびり決めようか」

シ「はぁい!!」

シリアがはしゃぎだし、店を駆け回った。

アリアはその光景に、はにかみながら店内を巡った。







アリア達の買い物は数時間にも及んだ。

そして、決まったのはワンピースだけだった。

シリアは同じようなワンピースを選び、結局ワンピースだけになった。

買ってすぐに着替え、ようやくシリアは服を着たのであった。

シ「えへへぇ・・・」

フ「嬉しそうです」

ア「そうだね」

その後店を出て、余ったお金でソフトクリームを買って近くの公園で休んでいた。

ちなみに、レオ達とは未だ合流していない。

サ「それにしても、二人はどこへ行ったのかのぉ?」

ア「そうだね。あんまり遠くに行ってないはずだと思うけど・・・」

ベンチに座りながら、周りを見渡す。

しかし、どこにもレオとエクスの姿は見当たらない。

ア「二人一緒にいると思うけどなぁ」

フ「まぁ、その内見つかるです」

ア「・・・そうだね。二人とも、子供じゃないし」

アリアは心配する事を止め、ソフトクリームを一口食べる。

ア「うん、おいしい」

フ「それで、この後はどうするです?」

ア「目的は達成しちゃったし、レオ君達と合流したら帰ろうか。家で静かにしてればコウガも怒らないよ」

フ「そうと決まれば、のんびりアイスを食べて待つです」

サ「そうじゃな」

ア「全く・・・まぁ、いっか」

三人は動かずに、相手から見つけてもらう作戦に出た。

つまり、見つかるまでは休憩である。

だが、それは悪い方で敵わなかった。

?「ふざけてんじゃねーぞ、ゴラァ!!」

ア「?」

離れた所で怒鳴り声が聞こえ、その方を見るとシリアが大人の人に怒られていた。

しかし、シリアもシリアで謝る意思は見受けられなかった。

気になったアリア達はシリアの所へ向かい、何があったかたずねた。

ア「すみません、どうしましたか?」

大「あんたが責任者か?」

ア「まぁ、一応・・・」

大「丁度いい、このガキがこの俺の服を汚しやがったんだ!!」

すその部分を持って服を伸ばして見せる。

そこには、シリアが食べていたと思われるソフトクリームがべっとり付いていた。

シ「違うよぉ!!。この人が勝手にあたしのアイスを取ってぇ、自分で付けたんだよぉ」

大「そんなことをする訳、ねえだろぉが!!」

シリアの言葉はバカバカしく、アリアは嘘だと思い込んでいた。

ア「そうだよシリアちゃん。謝った方がいいよ」

シ「違うよぉ!!。信じてよぉ!!」

大「ったく、こういう奴は警察に連れて行った方がいいだろう」

すると、問答無用でシリアの手を掴み、自分の車へと連行した。

シ「わわぁ、放してよぉ!!」

しかし、シリアも必死で抵抗するも、全く解放できない。

ア「ま・・待ってよ!!。いくらなんでもそれは・・・」

アリアは目の前に立ち塞がった。

だが、歩みを止めることはなかった。

大「うるせぇ!!。退け!!」

ア「きゃ!?」

シ「あ・・・きゃぅ!!」

大人はアリアを振り払い、シリアを後部座席へ投げ入れた。

そして、運転席に乗ろうとした瞬間、フロントにある人物が座っているのに気付いた。

?「子供相手に警察沙汰か・・・」

大「ぁあ!?」

ア「え!?」

アリアが驚くのも無理はない。

フロントに座っていたのは高雅だったのだ。

大「何だよお前!?。そこを退け!!」

高「アリア、こいつも買って来てくれ」

高雅は無視してアリアに紙切れを投げた。

それを、アリアは見事キャッチし、中身を確認する。

見る限り、晩飯の材料であった。

高「んじゃ、よろしく」

大「さっさと、退け!!」

高「・・・・・子供に無理やり罪を作り、無理やり警察に連行すると見せかけ、路地裏で無理やりいかがわしい事をする、か・・・典型的な犯罪ロリコンだな」

大「なっ!?」

高雅がそう口をした瞬間、近くに人影が映った。

そして、空高く登場した人物は綺麗に着地し、大人を睨みつけた。

A「許せんっ!!」

それは自称良いロリコン、Aである。

しかし、良いも悪いもないと思うのはこの場にいる全員が思っていた。

大「な・・・何だよ、お前達!?」

A「この世の幼女の味方、Aだ!!。さあ、覚悟しろ、幼女の敵め!!」

高「テメーが言うな、テメーが」

大「な・・・ふざけるな!!」

流石に子供の遊びに見えたのか、大人は付き合ってられず、運転席に乗り込んでエンジンを掛けた。

そして、アクセルを全開にするも、何故か進みはしなかった。

大「な・・何故だ!?」

高「車という物は後ろタイヤがちゃんとした地面に着いてないと走らない。常識だろ」

大「は!?」

意味が分からず、後ろを見るとAが少しだけ車を浮かせていた。

さらに、その隙にアリアが後部座席にいるシリアを救いだした。

高「無意識運転は止めましょう」

そう言った瞬間、Aは車を放して後ろタイヤが地面につく。

唖然としていた大人は無意識の内にアクセルを踏みっぱなしだった為、急加速で発進し、ふらついて電柱にぶつかった。

A「よーし、帰るか」

Aは任務を達し、どこかへと消えていった。

この為だけに来たというのは寂しいことである。

高雅も、死んでないと殺気で確認すると自分の家へ歩き出した。

ア「こ・・コウガ・・・」

高「勘違いするな。俺はお前に追加の注文をしに来ただけだ」

そう言い切り、それ以上会話をしようとはしなかった。

しかし、アリアは高雅の気持ちがしっかりと理解していた。

ア(そんなことなら、意思会話すればいいのに。ほんと、素直じゃないね)

フ「コウガ様、相変わらずです」

レ「アリア殿!!」

後ろから声がし、振り返るとレオの姿があった。

もちろん、エクスと一緒だ。

レ「何か大きな音がしたが、無事か!?」

ア「うん、大丈夫。後、追加で買って来いと言われたから、今度はスーパーに行くよ」

レ「なっ!?・・・またか・・・」

ア「大丈夫。今度は一緒にいいよ」

レ「それは良かった。また探し出すのは大変だ」

ア「それじゃ、行こっか」

シ「はぁい!!」

今度はスーパーを目指して6人は歩き始めた。

隠れるような事はせずに堂々と歩いて行った。

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