最悪の贈り物編 その18、高雅VSルシフェル(3)
高雅は素早く動き回り、ルシフェルを翻弄する作戦に出た。
殺気を消し、敵に読み取られないようにしながらだ。
しかし、ルシフェルは高雅の後ろをついて行く。
ル「どうした?。遅いな」
高「この野郎」
本気になったルシフェルに速さで敵う事は出来なかった。
ならばと思い、振り向いてルシフェルの首に剣を振りかざした。
だが、既にルシフェルの姿はなかった。
ル「所詮、お前もその程度だっただけだ」
高「ッ!?」
高雅が気付いた時には、既にルシフェルはゆっくりと剣を振っていた。
その剣は高雅の両肩をことなく斬った。
そして、遅れて来る痛みと落ちる両腕に高雅は悲痛な叫びをあげた。
高「うあああああああああああ!?」
ア「こ・・コウガ!!」
アリアも何が起きたか分からなかった。
気がつけば、自分は高雅の両腕と一緒に地面に落とされたのだ。
それでも、アリアはすぐに高雅の両腕と溢れた血を再生し、傷跡は無く元通りに治した。
ル「どうだ?。痛いだろ?」
ルシフェルの声が聞こえる。
しかし、本体がいる訳ではなく声だけが聞こえるのだ。
高「ちっ、油断した・・・」
ル「本当は首を切り落としてもよかったが、それでは面白くないからな」
高「悪趣味な奴だな」
ル「ふふっ、それでは、次は両足を落とそう。もちろん、腿からだ」
ルシフェルは次に攻撃する場所をわざと宣告する。
完全に高雅を挑発しているのだ。
ル「さあ、活性でも何でもして、足を防御するんだな」
高「調子に乗りやがって・・・」
ル「これが私の実力だ。お前では絶対に辿り着かない力だ」
そう言って、ルシフェルの声は途絶えた。
嘗められた高雅は無性に腹が立っていた。
高「くそが。俺を買い被りやがって・・・」
ア「落ち着こう、コウガ。感情に身を任せたら負けちゃうよ」
高「んな事、言われんでも分かってる!!」
ア「分かってないよ!!。私は殺気が良く分からないけど、気持ちは分かるんだよ!!」
高「んな綺麗ごと、哀れとしか言いようがないな」
ア「ムカッ!!」
高「気持ちが分かるなら、相手の行動も少なからず読めるってことだ。読めてないなら、気持ちなんて分かってないんだよ」
ア「あーそうですよ!!。ホントは分かってないよ!!」
アリアは怒り、人間の姿になって高雅の前に立った。
しかし、怒っているのに顔は涙ぐんでいた。
高「!?」
ア「だって・・・コウガに取って、7年も離れてたんだよ・・・どれだけ変わったとか分からないよ・・・」
高「な・・泣くなよ」
ア「私だって、コウガの気持ちが知りたいんだよ!!。でも、コウガは素直じゃないから分かり難いよ!!」
高「わ・・・悪かったって。言い過ぎたよ・・・」
ア「そ♪」
高「テメッ!!、嘘泣きしやがったな!!」
ア「騙される方が悪いんだよ♪」
かわいらしく舌を出すアリアに怒りの沸点が達した。
高「おい、100発殴らせろ」
ア「いやいや、死んじゃうよ」
高「いいから殴らせろおおおおおお!!」
完全に主旨が変わってしまっている現在。
そんな中でもルシフェルは行動を開始していた。
高雅がアリアに接近しようとした瞬間、上半身が倒れ出した。
そして、倒れ間際に見た足はいつの間にか切断されていた。
高「うがあああ!?」
ア「嘘ッ!?、いつの間に!?」
ル「遊んでいると見せかけて、それなりに作戦でも考えていたのか?」
不意にルシフェルが姿を現した。
ルシフェルの双剣には高雅を斬っている事を証明するかのように血が滴り落ちていた。
高雅は自分で足を再生して立ち上がり、アリアは双剣にして構える。
高「はん、作戦なんて無い。俺達はいつものようにやるだけだ」
ル「そうか。では、掛かって来い」
ルシフェルは構えを見せる訳もなく、ただ立っているだけだ。
それでも、高雅に取って隙のない構えだと見てとれる。
高「じゃあ、遠慮なく!!」
高雅は動き出した。
変に様子見をする訳もなく、真っ向から立ち向かった。
だが、高雅の剣筋に合わせてルシフェルは受け止める。
ル「もう終わりか?」
高「まだまだあ!!」
高雅は剣を打ちつけると同時にマリアの力で命を取ろうとした。
しかし、相手も同じようにして簡単に打ち消される。
ル「お前には失望した。本気の私に傷一つ付けられないとは」
高「黙れ!!」
高雅はムキになって大きく振ってしまった。
それがあだとなり、ルシフェルは柄で高雅の腹を思いっきり殴った。
高「ぐはっ!?」
ルシフェルの攻撃は吹き飛ばせる攻撃ではなく、その場で怯ませる攻撃だ。
高雅は重い一撃で身動きが取れなくなっていた。
ア「させない!!」
アリアが必死に虚無のシールドを張る。
しかし、今のルシフェルに取っては無意味だった。
ルシフェルは虚無のシールドを割り、多量の切り傷を負わせた。
トドメに回し蹴りを喰らわせ、吹き飛ばした。
高「ぐふぅあ!!」
ア「コウガ!!」
アリアがすぐに高雅を再生させようとする。
しかし、ルシフェルがアリアを掴んでそれを許さなかった。
ア「きゃあ!?」
ル「やめろ。苦しめるだけだ」
ア「放してよ!!」
ル「それはそうとお前、私と共に来ないか?」
ア「え!?、ちょ!?」
突然、ルシフェルがアリアの顎を掴んで顔を寄せる。
いきなりの事にアリアは驚いていた。
ル「私の使いとなれ。そうすれば、破壊した後の世界は譲ろう」
ア「ふざけないで!!」
ル「いつまでもあんな弱者といるのは辛いだろ。私の使いになれば、全てが手中n〈ドゴッ!!〉ぐっ!?」
突然、顔面をぶん殴られ、思いっきり吹き飛ばされた。
殴ったのはいつの間にか接近した高雅だった。
高「ぜぇ・・・はぁ・・ふざけんな・・」
ル「ッ!?、今、何をした!?」
ルシフェルは何が起きたのか分からなかった。
アリアと話している最中でも、高雅には常に気を回して気を付けていたのだ。
しかし、気がつけば高雅に殴られ、吹き飛ばされていた。
高「何、口説いてんだよ・・・この野郎・・」
ル「何!?」
高「だから・・・」
高雅は息を大きく吸い込み、思いっきり喋った。
高「俺のアリアに何口説いてんだって言ってんだよ!!!!」
ア「っ!?」
ル「・・・くくく、それがどうした?」
高「アリア!!、こんな奴、ついて行くなよ!!」
ア「わ・・わかった///」
高雅は自分で言っていることを分かっているのか知らない。
ただ、口走って言ったのか、それとも本当に思って言ったのか。
高「こうなったら、賭けだ!!」
ア「な・・何をするの?」
高「何が起きるか分からない融合力を使うんだ。それも、マリアとルシフェルの力をな」
ア「できるの!?」
ル「無理だ」
高雅の代わりにルシフェルが答えた。
ル「お前も分かっているのだろう。その力は普通の力とは違う。お前の装飾が証明しただろう」
高「そうだな。選別の飾りでも防げなかったな。だから、面白いんだろ」
ル「ふっ、察しが悪いな。そんな融合力、私が試さないと思ったのか」
ア「じゃ・・じゃあ!!」
ル「無理だ。どんなに細工を施しても反発しあい、消える」
高「それはお前が下手くそだからだろ」
高雅はルシフェルが無理だとしても、融合力を続けた。
しかし、ルシフェルの言った通りに打ち消し合って上手くできなかった。
ル「無駄な事を・・・」
高「・・・・・・・・・・・」
ル「しかし、私が時間を譲ると思ったか?」
ルシフェルが瞬間移動して高雅の目の前に現れた。
そして、今度は首目掛けて斬りかかった。
ア「させない!!」
それをアリアが腕を剣に変えて受け止めた。
ル「弱者が出しゃばるな!!」
ア「くっ・・あっ!!」
ルシフェルの力にアリアは簡単に吹き飛ばされた。
ル「終わりだ!!」
そして、再び高雅の首に剣を振るう。
ア「コウガ、避けて!!」
高「・・・・・・・・・・へっ」
高雅は瞬時に後ろへ下がって攻撃を回避した。
ル「無駄だ」
ルシフェルはもう一つの剣で突きを繰り出す。
しかし、高雅は指二本で受け止めた。
ル「何!?」
高「おー、こいつは面白いな!!」
ル「お前、まさか!?」
高「ご明察。おらぁ!!」
高雅はルシフェルの腹目掛けてパンチを繰り出す。
ル「くっ」
ルシフェルは咄嗟に防ごうと剣を構える。
しかし、高雅のパンチは想像を遥かに凌駕していた。
その威力は剣を伝わり、ルシフェルを伝わってさらにルシフェルの後ろの山に伝わり、巨大なクレーターが出来上がっていた。
もちろん、ルシフェルのダメージも半端なものではない。
ル「が・・・あ・・・」
吹き飛びはしなかったものの、あまりの威力に声すら上げられない。
その間に高雅は反動をものともせずにアリアの方に近づき、手を掴んで起こしてあげた。
高「何が出来ないだ?。出来ちまったぜ」
ア「い・・一体・・・どういう力なの!?」
高「さぁな。ただ、無性に体が軽くなった感じかな」
ル「お・・お前・・・どうやって・・・」
高「・・・母さんのお陰だな、きっと」
ル「!?」
高「まあ、俺も本気になった事だし・・・」
高雅はアリアを双剣に変え、ルシフェルに向けて殺気を解放する。
高「互いに本気をぶつけあおうぜ!!」




