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最悪の贈り物編 その15、感謝

A「どぅおおおおおおおおおおおおお」

高雅の指した方向を駆け続けるA。

高雅を置いて行き、完全に独走状態になっていた。

A「よし、あいつが○ラーを出し続けない限り勝てる!!」

とか何とか言いつつ走る事5分。

目の前に見えてきたのは禍禍しいオーラを放つ者。

傷だらけで力尽きている者。

禍禍しいオーラに対して双剣を構える者。

その三人がAの視界に入った。

A「・・・って、おい!?。何でお前が居ると!?」

高「は?。普通に空間が使えたからそれを使ったまで」

A「最初から使おうぜ・・・」

高「しゃーねーだろ。コイカ達の方に行く時は使えなかったんだよ」

A「俺の活性を返せ!!」

高「無理だ」

キッパリと言う高雅にAはムキになる。

そんな二人の間に突風が通り、意識を敵に向ける。

ル「お前らは何しに来たんだ?」

高「取りあえず、その体を本人に返して、お前は成仏しろ」

ル「実の親に酷い事を言うとは、さすが私の息子だ」

高「そんなことで流石を使うな。問答無用でさっさと成仏しろ」

ル「残念だがそれは出来ない。何百年と待ち、遂にやって来たこの機会を逃す訳にはいかない」

高「そうかい、だったら力尽くで止めようじゃねえか」

高雅は双剣を構え直し、殺気を解放する。

Aも刀を構えて同じように殺気を出す。

ル「遅い」

A「なっ!?」

Aが気付いた時には既に後ろを取られていた。

高「じゃあ、テメーはもっと遅い」

だが、高雅も負けずとルシフェルの後ろを取っていた。

ル「ほぉ、流石に一度負けてしまったことはある。こうも簡単に後ろを取られるとは」

高「さっきのロボは殺気が無くて読み取れなかったが、お前は有生物だから色々と分かるんだよ」

ル「そうか。やはり、このまま殺すのは惜しいな。どうだ、お前ら。私の仲間にならないか?」

高・A「断る」

その瞬間、Aは高く跳び上がった。

そして、高雅はルシフェルの背中目掛けて大きく斬りかかった。

しかし、斬ったのは残像であり、今度こそ、ルシフェルは高雅の後ろを取った。

A「仕込み済みだ!!」

後ろに回ったルシフェル目掛けて、Aが空中から刀を振り下ろしていた。

ルシフェルが一瞬Aに気を取られている内に高雅は振り返りざまに剣を振るう。

ルシフェルは後ろに跳んでやり過ごそうとするも、高雅はそれすらも読んでいた。

高「読み済みだ!!」

高雅は剣をそのまま投げたのだ。

投げた剣は後ろに跳んだルシフェルに沿って綺麗に跳んでゆく。

ル「ふん」

高「ちっ」

ルシフェルは剣を高雅に向けて弾き返した。

高(お互いに読み合いの試合だな、こりゃ)

実はこの後、Aをぶん投げて追撃をしようとしたが、投げる軌道に剣を弾き返されてしまった。

Aが弾いてくれると思いたいが、ミスれば確実に死ぬ。

それに、投げると言っても、マッハを超える為、事前に教えてもAでは反応できないだろう。

その事を踏まえ、高雅は追撃を止めたのだ。

高雅は剣を避けて、スルーする。

A「どした?。投げるんじゃなかったのか?」

高「あのまま投げれば、お前の脳天に剣が刺さるから止めた」

ちなみに、高雅は殺気を操って相手に自分の考えをも伝える事ができるのである。

だから、Aは最初から高雅の後ろに跳ぶ気だったのだ。

ル「では、攻守交代だ」

ルシフェルがそう言うと同時に、Aの腹に波動が撃ち込まれた。

A「ごふっ!?」

高「なっ!?」

ル「ふふっ」

ルシフェルは高雅を無視してAに追撃を仕掛けようとする。

それを黙って見る高雅ではない。

すかさず、Aの前に立ちはだかって援護する。

ル「だから、遅い」

高「何っ!?」

高雅はルシフェルの行動が分かったとしても止める事が出来なかった。

分かっていても、その力の差で止める事が出来なかったのだ。

そのままルシフェルはAを空に蹴り飛ばしてさらに追撃を続ける。

高「待ちやがれ」

高雅も慌ててAとルシフェルを追うも、速さの違いが歴然とあった。

ルシフェルはAをさらに蹴りあげ、どんどん上へと飛ばしてゆく。

最後にルシフェルはAの上に回り込み、追ってくる高雅目掛けてAを一気に突き落とした。

高「なっ、うぁ!?」

Aを受け止めるも落下は止まらない。

結局、高雅は止まる事が出来ず、Aと一緒に地面に叩きつけられた。

かなりの衝撃が二人を遅い、動けない状態の時に、ルシフェルが二人の所に降りて来た。

ル「残念だ、お前らを殺すのは惜しいが仕方ないな」

そう言って、ルシフェルは高雅とAの肩を軽く叩いた。

その瞬間、高雅とAに突然胸の苦しみが襲った。

A「うっ!?」

高「て・・テメ・・・」

ル「お前が欲しかったマリアの力さ」

ルシフェルは高雅とAにマリアの力を掛けたのだ。

それで、二人の命を摘み取ったのだ。

ル「永遠に眠れ、未熟な息子よ」

高「く・・・そ・・・・・・・・・・おぼ・・え・・・て・・ろ・・」

A「あ・・花畑・・・見えない・・・・・」

二人の心臓は停止した。

ル「くくくく・・・はははははは!!」

完全に邪魔がいなくなり、抑えていた笑いが今になって込み上げてきた。

ルシフェルの笑い声が辺りに響き渡り、木霊が返ってくる。

ル「これで天界も現世も私の物だ。まずは全ての有生物に私の偉大さを知らしめてやる。そして、天界を滅ぼし、私の空間を広めるのだ」

ルシフェルは気が済むまで笑い続けた。

勝利した者の至福の時を味わいながら。







?「・・・て・・・・よ・・」

高「・・・・・ん・・・・あ・・?」

?「きて・・・起きてよ、高雅」

高「んあ・・・くぅぅぅぅぅ」

誰かに起こされ、大きく背伸びする高雅。

ふと、自分の状況を思い出した。

高「・・・・あ、俺死んだ」

漠然と自分の事を思い出す。

そして、天国か地獄にいると思って周りを見渡すも、そこは両方とも違った。

辺りには空に浮かぶ島々があり、高雅もその一部に乗っていたのだ。

だが、一つ一つの島は小さく、半径10メートルの真っ平らな床だった。

?「驚かないのね」

高「お前・・・あれ?」

傍に誰かが居り、顔を見ようとするも黒いもやが掛かって見る事が出来なかった。

しかし、見覚えのある蒼いロングの髪であった。

?「高雅、お願い。ルシフェルを倒して」

高「いや、死人に頼むのはおかしいだろ。生きてるレオや義父さん達に頼んでくれ」

?「ダメだよ。高雅じゃないと誰も勝てないよ」

高「てか、お前誰だよ?。何で俺の名前を知ってんだよ?」

?「それは・・・ゴメン、教えられない・・・」

高「意味が分からねえよ、ったく」

高雅は不貞腐れて再び横になる。

?「ちょ・・ちょっと」

高「いくらなんでも根拠が無過ぎる」

?「それは私だから?。アリアちゃんだったらいいの?」

高「な・・何でそこでアリアを出す。大体、何でアリアを知っている?」

?「くすっ、動揺してる」

高「動揺なんてするかよ、あんな奴に・・・」

?「あんな奴ってこんな顔?」

高「そーそー、そんな・・って、アリア!?」

ふと見上げるとアリアの顔があったことに驚いた。

だが、さっきまで話していた女性とは別人である。

高「おまっ!?、何でここに!?」

?「私が連れてきたのよ」

ア「そう言う事だから」

高「納得できるか!!。テメェ、いい加減に名乗りやがれ!!」

?「だから、教えられないのよ。それより、アリアちゃん」

ア「はい?」

女性がアリアを呼んで耳打ちする。

だが、高雅にとっとそれは無意味だった。

高「おい、アリアを使って頼んでも無駄だぞ」

?「あら、分かっちゃうんだ」

高「殺気を読み取るまでもなく分かるわ!!」

ア「殺気を読み取る?」

高雅の言葉の意味をアリアは理解していなかった。

アリアは高雅が7年もの戦いをしていた事は知らされていないからだ。

高「てか、お前らって並んでみると双子のようだな。髪の色も声も喋り方も似てる」

ア・?「そうかな?」

二人同時に首を傾げる。

仕草まで同じだと、さすがの高雅も呆れていた。

?「まぁ、それもそうかもね。アリアちゃんは色々な所が私と似てるもの」

ア「そうなの?」

?「うん。特に、好きになる人なんて全くの同じよ」

ア「ええ!?」

唐突なセリフが飛び出し、慌てるアリア。

その様子に高雅は首を傾げていた。

高「何だ?、好きな人か天使とかいるのか?」

ア「え!?・・・うん、一応///」

高「ほー・・・てか、そんな話はどうでもいい!!」

ア「良くないよ!!」

高「は?」

ア「えぁ・・いや、その・・・」

?「そろそろいいかな、二人とも」

二人のやり取りを見て、取りあえず口を挟んだ。

?「とにかく高雅、それとアリア。あなた達は今から生き返らせるから、ルシフェルの野望をくい止めて」

高「生き返るていっても、マリアの力で死んでいる俺達をどうやって・・・」

?「いいから、私に任せて。いくらなんでも本人より勝ることはないから」

高「本人?」

?「それじゃ、早く行った行った」

女性は高雅とアリアの背中を押し、島から突き落とした。

高「ちょ!?」

ア「え!?」

?「行ってらっしゃい。結婚祝いはその時に出来なさそうだから、今のうちにお祝いで私の力を完全に使えるようにしてあげる」

高「お前、何言って・・・」

ア「きゃあああああああああああああ」

高雅とアリアは落下して行き、元いた場所から見えなくなっていた。

?「お願いね、高雅。私はもう消えるから・・・声・・・もう聞けないよ」

そう呟いた途端、周りの島々が突然崩れ始めた。

この空間は女性が一人で全て創っていたのだ。

それが限界に達し、崩壊を始めたのだ。

?「私、最後まで最低の母親だったね。高雅を幸せにできたかな?」

徐々に光の粒となり、体が消えてゆく。

力が入らなくなったのか、その場で腰をおろして手で顔をおさえた。

そして、手の隙間から涙が零れ落ちてきた。

?「ぐす・・・私なんか・・・子供を産む資格なんて最初から・・・ッ!?」

泣き崩れても自分の体の消滅は進む。

自分の顔を隠すための手が先に消えてしまった。

その時、地面にある字が彫られていた。

?「・・・・・・・えぐ・・・バカな・・・息子よ・・・ったく・・」

最後に女性はその字を見て微笑んだ。


“ありがとう、さん”


そして、女性、マリアは完全に消えた。

しかし、その最後は彼女にとって悔いはなかっただろう。

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