合宿編 その8、知らない人について行くと・・・
登山の最中、杉野は友達の夢(女子)と話しながら登っていた。
友「ねえ大丈夫、龍子?。あんた、さっきから息上がってるよ」
龍「大丈夫だよ、夢ちゃん・・・このくらいでへこたれたりしないから・・・」
夢「無理ならすぐにいいなよ」
龍「うん・・・」
A「うわああああああああ、助けてくれえええええええ」
突然、高雅が横を風のごとく過ぎ去り、その後ろを生徒Aが空を切るスピードで抜ける。
高「しつけえな。さっさと手を離せばいいじゃねえか」
A「だが断る!!」
高「なら、頑張れ」
高雅は忍者のように跳びながら山を登った。
A「ぎゃああああ。だが断るううううう」
夢「あいつもよく崎村にちょっかい掛けるな」
龍「何か・・・知っているような言い方だね・・・夢ちゃん」
夢「知ってるも何も、あいつとは同じ中学だったからね」
龍「そうだったんだ・・・」
夢「あいつはかっこいいけど、近づいたら女であろうと半殺しにする凶悪で優しさの欠片も無い奴だからね。あいつには近づかない方がいいよ」
龍「そんなことない!!」
夢「へ!?・・・」
この近くにいる全員がざわめく。
夢「ちょっと、声が大きいよ」
龍「はっ!!」
龍子は今気づいたようだ。
龍「え・・・あ・・・うう・・・」
龍子は皆の視線を浴び、俯いて赤面した。
男「おい、じろじろ見るなよ」
突如、謎の男が龍子をかばった。
龍「へ!?・・・」
男「さあ、行こう」
突然、龍子の手を取って歩き始めた。
龍「あっ・・・夢ちゃん」
龍子は夢に助けを求めるように呼んだ。
夢「いいじゃん、結構かっこいいし勇敢だし。友達になったら私を紹介してね」
龍「そんな・・・」
龍子は謎の男に連れて行かれた。
龍「待って・・・待ってよ」
龍子は謎の男に連れていかれたがそこは登山ルートではなく人気のない場所だった。
龍「離して!!」
龍子は男の手を振り切った。
男「ここまでくればいいな・・・杉野!!」
男は急に龍子の肩を掴んだ。
龍「きゃあ!?」
男「ずっと前から好きだった。付き合ってくれ!!」
龍「え!?」
男「なあ、答えてくれ!!」
龍子は突然のことだったが、自分の気持ちに素直に答えた。
龍「え・・・その・・・ごめんなさい」
男「そんな・・・」
龍「ごめんなさい。だから・・・元の場所に帰ろう?」
男「・・・・・・・・・だ・・・」
龍「え!?」
男「何故だ!?。俺はお前を守った!!。これからも守り続ける!!」
男の肩を握る手が強くなる。
龍「い・・・痛い・・・離して!!」
男「頼む!!、考え直してくれ!!。俺はこんなにもお前のことを思っているのだぞ」
龍(いや・・・誰か・・・助けて!!)
その願いを叶えてくれるかのようにある二人がやって来た。
?「ぅぁぁぁぁぁああああああああああああ」
男「な・・・なんだあれ!?」
雪だるまではなく泥だるまが転がってきていた。
そしてその後ろに・・・
高「おま・・・足滑らせてんじゃねえよったく!!」
高雅はその泥だるまの一定の距離を保ちながら高雅が追いかけていた。
いや、正確に言ったら高雅は引っ張られている。
おわかりの通り、転がっていたのは生徒Aだった。
しかも、転がっているにもかかわらず縄を離していない。
高「おいおい、そこの奴どけええええええ」
A「うわあああああああああああああああ」
男「うわっ、こっち来るなああああああああ」
ドガッ!!
男は泥だるまに巻き込まれた。
高「あちゃー、反射神経悪かったか・・・っておわ!?」
高雅はバランスを崩してしまった。
高「おわっととと・・・あれ!?、まだ人いたの?」
龍「崎村君!?」
高「杉野!?。とりあえず、今すぐどけええええええ」
龍「ええ!?」
ドガッ!!
龍「きゃあ!!」
高「わりい、杉野。後でちゃんと謝るから」
高雅は龍子とぶつかり、そのまま体勢を立て直し、泥だるまを追いかけていく。
龍「・・・助かった?・・・」
しかし、龍子はまだ最悪が残っていた。
龍「・・・ここ・・・どこ?・・・」
わけのわからない獣道を通ってきたせいで道はよく覚えられず、挙句の果てに一人ぼっちという展開。
龍「とりあえず、来たと思う道を戻れば皆に会えるよね・・・」
龍子は自信ゼロで来た道を戻ろうとした。
高「ふぅ~、ひどい目あったっぜ。ったく、お陰でふもとまで降りちまったな」
高雅はやっと止まった泥だるまの前で土をはたき落していた。
すると、泥だるまから頭が一つ出てきた。
男「おいこら!!。何をしてくれる!!」
高「ああ、悪い。このアホが休憩中に足を滑らせたもんだから」
男「せっかく、告白していたのに~~」
高「へぇー、杉野に告白してたんだ。大体、登山中に告白するとはまた変な展開だな」
男「うるせ―、やっとの思いで告白したというのによ」
高「そりゃ、悪いな。後はその団子に埋もれてるやつにでも当たっとけ。んじゃな」
男「待てやゴラ!!」
男の怒り声に高雅もそれ相当の声で返す。
高「ああ!?、人間ごときが俺に偉そうにするんじゃねえよ!!」
そう言いながら拳を構える。
男「ひっ!!」
高「・・・・・・・ダメだ、こいつ。殴る価値が無い」
高雅はへっぴり腰になった男を見て殴るのを止め、無視してどっか行った。
A「ぷはあ、ここは・・・どこだ?」
もうひとつの頭が出てきた。
そして、それを見た男が黒いオーラを出していた。
男「覚悟しろよ、この虫野郎!!!!!!」
A「はあ!?、急に何!?」
男「くらえ!!!!!、滅びのバー○トスト○ーム!!!!」
A「どこから、んな青い目の龍を出してんだ!?。大体、前者のセリフとちgぎゃあああああああああああ」
生徒Aのライフポイントは0になった。
飛んで、夕方。
登山していた生徒達はふもとに戻っていた。
先「皆ちゃんといますかー?」
先生が点呼を取る。
B「生徒Aが灰になっていて、崎村がいませーん」
先「その二人はもういいわ」
B「おいおい、それは先生失格だろ・・・」
夢「先生!!、大変です!!。龍子がいません!!」
先「なんですって!?」
C「あっちのクラスでは謎の男がいないらしいぜ」
先「困りましたわね。こうなったら皆は部屋に帰って、私達で探してきます」
先生は他の先生を集めて再び山に入った。
一方、高雅はと言うと・・・
高「アリア達は一体どこだ?」
アリア達を探すために山をさ迷っていた。
ふと空を見た。空は茜色に焼けていた。そして、あることに気づいた。
高「・・・あっ、わざわざ探さなくても、意思会話でわかりやすい場所を教えて、そこで待ち合わせればよかったな。俺ってバカだな」
高雅は頭を掻きながらアリアに連絡した。
高(おーい、アリア。聞こえるか?)
ア(コウガ!?、一体どこにいるのよ!?。いくら山を探してもいないし)
高(まだ山の中。今からホテルに帰るから屋上で待ち合わせな)
ア(わかったわ。私達も山から下りてそこに行くわ。ちゃんといてよ)
場所と目的だけを伝え、アリアとの連絡を終えた。
高「これでよしっと。んじゃ、下りるか」
高雅は山を下り始めた。
龍「ここ・・・どこ?・・・」
龍子はあれからずっとさ迷い続けていた。
だが、来た道に戻る所かふもとにも辿りつかなかった。
龍「おかしい、ちゃんと下りているはずなのに・・・」
ザザザッ
龍「!?」
突然、近くの草むらが揺れ始めた。
龍「誰!?・・・」
龍子は怯えながらも草の方に声をかけた。
?「その声は・・・杉野!?」
草むらから人が出てきた。
龍「あ・・・」
男「探したよ。さあ、一緒に山を下りよう」
龍「う・・・うん・・・」
出てきたのはさっきの謎の男だった。
龍子は人に会える喜びを感じながらも、どこか不安を感じていた。
男「僕が来たからにはもう大丈夫だから」
すると、また草むらが揺れた。
男「誰だ!!」
かっこよく言う男だが出てきたのは・・・
熊「グルルル・・・」
熊だった。
男「ぎゃああああああああああああ・・・〈バタッ〉」
男はさっきの威勢とは裏腹に恐怖で気絶した。
龍「ちょっと・・・しっかりして・・・」
熊「グアアア」
龍「はっ!?」
熊は龍子に飛びかかってきた。
龍「う・・・」
龍子は目をつぶって顔を防いだ。
バゴッ!!
龍「うぐ・・・」
熊のパンチが思いっきりヒットし、ぶっ飛ばされて木にぶつかる。
龍「い・・・痛い・・・」
龍子はあまりの痛さに立ち上がることができなかった。
熊「グルルル」
龍「私・・・死ぬのかな・・・」
さらに、龍子の意識が消え始めていた。
龍子が最後に見た光景は熊が徐々に接近している光景だった。