最悪の贈り物編 その13、side高雅
ビルを垂直に駆けのぼり、高雅は途中でガラスを割って中に入った。
中はオフィスビルだったのか、大量の机やパソコンが置かれていた。
高「人がいないのに、無駄に創り込んでいるな」
のんびりと周りを見渡している内に、後ろからエンジン音が大きくなってくる。
高「のんびりできないな。取りあえず・・・」
そう言って、高雅は取りあえず、適当な机の下に隠れる。
それと同時に、S-04がガラスと壁を壊して入って来た。
S「ビビ・・・ネツタンチ ヲ ハジメ マス」
S-04が熱探知を始める。
部屋全体を見回し、ある所で首が止まった。
S「ヒト ノ オンド ト オモワレル バショ ヲ カクニン」
高「ありゃ?」
S「・・・シュツリョク サイダイ。3オク ド ノ クウカン ヲ ソウゾウ」
S-04は机の下に3億度の空間を一瞬で創りあげた。
ちなみに、S-04の最高出力は格段に上がっている。
3億度などは軽く出せるのだ。
そして、近くに遭った机、床は全て溶け、下の階へ繋がっていた。
S「ニゲタ ウゴキ ハ ナイ。ニンム カンリョウ」
高「あー、寒い~」
S「!?」
S-04が高雅の声に反応して振り返る。
しかし、S-04は辺りを見回しても高雅を認識できなかった。
高「いつまで熱探知してるんだよ、バーカ」
高雅はS-04の目の前にいた。
だが、高雅の体温は気温と全く同じの為、熱探知では探し出すことが出来ない。
先程の熱は高雅が創造した物である。
高「おらぁ!!」
高雅はS-04の頭目掛けて回し蹴りを喰らわした。
S-04はかなり硬く、頭は飛ばずにへこんだだけだった。
しかし、高雅の蹴りはケタ外れの威力でS-04は転がって外に吹き飛んだ。
もちろん、高雅自身は反動とかでダメージを受けていない。
高「しかし、強いな。威力だけでなく、虚無や消失とかで一撃必殺を狙ったのにな」
高雅は分かっていた。
S-04はまだ動ける。
そして、必ず戻って来ると。
高「味方だったら厨二で敵だったら嫌な言葉だな」
そう言っている内に、エンジン音が近くなっている。
S-04が来る前に、高雅は適当に武器を創造する。
とはいっても、創る物は既に決まっているのだが。
高「やっぱ、馴染んでいる双剣だろ」
高雅は二つの剣を装備する。
同時にS-04が再びビルに潜入し、そのまま高雅に向かって体当たりをくりだす。
高「単調だな」
高雅は軽く横に避け、そのまま斬る。
しかし、斬ったものは感触がなかった。
完成度の高い偽物だ。
高「やべっ!?」
高雅の隙は少し残っていた。
それを逃さずに本物のS-04が突進をした。
高雅は瞬時に盾を創るも、力が碌に入って無く、ルシフェルの力を得たS-04の突進で呆気なく砕けた。
高「つうっ!!」
高雅は何とか剣で受け止めるも、そのまま引きずられてしまう。
押し返そうにも、S-04は異常な力で全く歯が立たなかった。
高(ルシフェルの野郎、こんなにも力をあり余ってたのかよ)
高雅はなすがままに吹き飛ばされ、ガラスを突き破って外に出た。
しかし、S-04は止まることなく、隣のビル目掛けて突進を続ける。
そんな時だった。
高「あ」
A「お?」
Aもさっき高雅がいたビルに向かって飛んでいた。
しかし、Aの場合は高雅と違い、コイカの顔面を殴ってそのまま突き飛ばしていた。
そのまますれ違い、Aはビルの中へ入っていった。
高(どうやら、あっちは押しているようだな)
Aの事を考えている内に、ビルに到達した。
そして、同じようにガラスを突き破り、部屋の壁に叩きつけられた。
高「あがぁ!!」
後ろの壁を活性したのか、相当の反動が高雅に帰って来た。
高「この、バカ力が。調子に乗るなよ!!」
高雅はそのまま虚無と静寂の入った蹴りを喰らわす。
だが、S-04はその力すら防いだ。
高「計画通り」
高雅は既にこうなる事を予想していた。
狙いはS-04の足下の床だ。
S-04を通して足下の床を虚無と静寂で脆くしたのだ。
床はS-04の重みに耐えきれずに崩れた。
S「!?」
いきなりだった為、S-04は高雅を放して着地の方に集中した。
S-04は下の階に着地し、すぐに上階を見上げる。
だが、そこには既に高雅の姿は無くなっていた。
高「遅えんだよ!!」
高雅はS-04の胴体を斬る。
だが、その鋼体はとてつもなく硬く、易々と斬れるものではなかった。
高「くそ、相当硬くなってるな」
S「スキアリ」
S-04は背中のハッチを開けると、中から大量のコードを出した。
それは意思があるかのように高雅目掛けて襲い掛かって来た。
高「おっと」
高雅は空間を使ってやり過ごし、コードを回避して行く。
だが、少し甘かった。
S-04も空間を使って来たのだ。
高「やべっ!!」
目の前に出されたコードに反応しきれず、高雅は拘束されてしまう。
拘束力はかなり強く、腕に力が入らずに双剣を落としてしまった。
高「このっ、放しやがれ」
S「ホウデン ジュンビ。セッテイ 3チョウ ボルト。ジュウデン カンリョウ マデ、アト 5ビョウ」
高「やばいって!!」
高雅は力を使って逃げようとするも、全く動けずにいる。
静寂を使っても治まらず、活性を使っても振り千切る事はできない。
破壊、消失・虚無を使っても、全く通用しない。
S「ホウデン ジュンビ カンリョウ。ホウデン ヲ カイシ シマス」
高「ちょ!?、タンマ!!」
高雅の言うことなど聞いてくれず、S-04が青白く光る。
だが、高雅は別の力を外から感じ取った。
高「ん、何だ!?。デカイ虚無がこっちに向かって・・・」
言い切る前に、その虚無はやって来た。
巨大な白いレーザーと化した虚無が突然外からやって来たのだ。
しかも、運よくS-04だけに辺り、高雅はコードから抜け出せた。
高「何と言う補正だ」
ふと、自分の幸運に恵まれた事を思いながら落とした双剣を拾う。
しかし、虚無のレーザーが晴れたが、S-04は全くの無傷だった。
高「あの虚無を喰らっても効かないか・・・」
S「ロックオン・・・ミサイル ハッシャ」
高「そんな間にも既に攻撃準備かよ」
S-04は腹のハッチを開き、中から数発のミサイルを飛ばした。
高雅は撃ち落とす事もなく、簡単に避ける。
だが、ミサイルはホーミング機能はなく、窓ガラスを突き破って外へ出ていった。
高(そうだ、外が硬ければ中は軟いはずだ。パターン的に)
高雅は勝手にそう思い込み、すかさずS-04に前進する。
そして、ハッチが閉まる寸前に剣を投げた。
剣はハッチの閉まるギリギリで中に入るも、途中で挟まってしまった。
高「十分だ」
すると、剣が黒と赤のグラデーションの光に包まれる。
融合力で出来る爆破の力だ。
それも、ルシフェルの力を使った最強の爆発である。
もちろん、高雅は手加減などする気はない。
つまり・・・
ドゥオォォォォン!!!!
あまりの爆音に少し音が鈍くなっていた。
当然、高雅がいたビルはバラバラに崩壊。
隣接したビルも当然のごとく崩壊。
辺りには巨大な地響きが広がった。
高「これだけ強ければ、流石に壊れるだろ」
そう言って、瓦礫から出てきた高雅は空間に守られていた。
取りあえず、瓦礫を踏んでちゃんとした足場に立つ。
高「うん、ロボの殺気は無いようだな。てか、元々あいつに殺気は無いか」
高雅は頭の後ろを掻きながら後ろを振り返る。
目の前には、Aが戦っているビルがそびえ立っている。
高「一応、邪魔はしないようにビルごと守ったが、あいつはどうやら意外に勝ちそうだな」
高雅の心遣いでAのいるビルだけは何も起こっていない。
だが、周りのビルは粉々に崩れ落ちている。
高「一つだけ建っているビルも何か不自然だな」
そう言って、ビルを見上げる。
すると、妙に不自然な点に気がついた。
高「そういや、どうして青空なんだ?」
空は程良いぐらいに雲が掛かっている。
だが、太陽の姿は何処にもない。
どうして青空なのかが不思議に思うのだ。
高「・・・妙な趣味をしてるな、ルシフェルも」
ふと、一本になった剣を見た。
高「いつもは、アリアが何か喋ってくれるのにな。あいつの声、ずっと聞いてないな」
物想いにふける高雅。
そんな高雅に黒い影がさしかかった。
S「ビビ・・ガーピー・・・・」
高「太陽が無いのに、何で影が出来るんだ?」
そんな事を思うと同時に、S-04が高雅の頭目掛けて拳を振るう。
高雅は瞬時にしゃがみ、S-04から離れながら振り返る。
S-04の体は黒焦げで動いているのが不思議なくらい壊れていた。
高「しぶといな」
S「ビビビビビ・・・コノ クウカン ゴト ジバク シマス」
高「ちょ!?、それはまずいって!!」
高雅が止めに懸かろうとするも、いつの間にかコードが足に絡まっていた。
高「くそっ!!」
徐々に進む空間の崩壊に焦る高雅。
そんな時、S-04の真上から光の反射が見えた。
高「だから、太陽が無いのに(ry」
その光は徐々に大きくなり、姿を現す。
高「あれ・・Aか!?」
そして、Aと思われる物が着地した瞬間、爆発が起きた。
高雅のように力で作った爆発とは違い、自然に発生したような感じだった。
A「ふぅ、やれば出来るもんだな・・・ってあれ?」
高「良くやった、流石主人公」
ポンとAの肩に手を置く高雅。
Aの足下には既に息を引き取ったコイカと機能停止したS-04姿があった。
A「おいおい、ビルが全部亡くなってるぜ」
高「無生物にその漢字を使うな。取りあえず、どうやら閉じ込められていた空間から抜け出せたようだ」
A「何、その敵を倒したら道が開くRPGの設定は?」
高「ルシフェルが招待してるんだ。大人しく従ってろ」
A「へいへい。所で、いつの間にビルが無くなってるんだ」
高「ここら辺に原爆が落ちたんだろ」
A「へいへい、どうせお前の仕業ですこと」
高「分かってるなら聞くな」
A「んで、次はどこに向かうんだ?」
高「この殺気が嘘じゃなければあっちに4キロだ」
高雅は指を指して道を教える。
するとAはすぐに足を活性させ、走りだした。
A「またレースな。次は負けねえぞ」
高「フライングとか卑怯を使って勝っても面白くねえだろうが」
高雅は走って行くAの前に空間を開き、ビルの壁の目の前に繋げた。
もちろん、Aは思いっきり壁にぶつかった。
そして、ヨロヨロと鼻をおさえながら高雅に近寄った。
A「おま、競技者を負傷させるなんてどんだけ悪質な妨害だよ」
高「また罠かも知れないだろ?。相手は殺気で読み取られるのを利用して罠に掛けたんだ。少しは用心しないとな」
A「主人公が恐れていて何が主人公だ!!」
高「主人公なんてどうだっていいんだ。今は敵の強大さを少しは身に染みてろ」
A「大丈夫だ。補正ぐらい掛かるって」
高「もういいや、こいつ。どうにでもなれ」
高雅が諦めた瞬間、Aは再び走りだした。
高雅はやれやれと首を振りつつ、後に続いた。
次はAの戦いを書きますので、話は進みません。