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最悪の贈り物編 その11、7年の歳月

塔の屋上に出向いたアリア達。

そこには、既に他のセイクリッドの者達がそろっていた。

?「ちゃんと、全員いるな」

ア「これで全員?」

アリアがそう疑うのも無理はない。

セイクリッドの者達は既に知っている4人しかいない。

文夫や紗奈恵、勇人の姿はそこになかった。

?「そ。色々あってかなり減ったんだ」

ア「ねえ、文夫さん達はどうしたの?」

?「彼らは罰を与えている。この事件の関連する事が終わるまで監禁してる。まぁ、停学ってやつさ」

キ「ここは学校じゃありませんバーカ」

?「例えだよ、例え」

コ「そんなことより、早く作戦を決行させましょう」

?「分かった分かった」

コイカが男を急かすと突然アリアに近づいてきた。

ア「な・・何?」

不思議と恐怖がアリアを襲っていた。

そして、その恐怖は幻ではなかった。


ドクン!!


ア「う・・・」

アリアは急に大きな鼓動に襲われ、気を失った。

その瞬間、Aとレオが男に襲いかかった。

しかし、男は冷静にレオの腕を片手で止め、Aの剣筋を指二本で受け止めた。

?「待て、殺してない。仮死状態だ」

A「どういう訳かはっきりさせろ!!」

?「なーに、コウガ君をおびき寄せるためだ。一番大切な殺気を消せば、彼はきっとすぐに来る」

レ「そう言うことは先に言って欲しいものだ」

?「悪かったよ。きっと快く了承してくれないと思ってな」

キ「来ましたバーカ共!!」

キリカが叫んだ瞬間、暗雲が空を覆った。

そして、塔に次々と亀裂きれつが走った。

フ「く・・崩れるです!!」

コ「この亀裂は塔のじゃない。塔を覆っている虚無の亀裂よ」

?「どうやら、直接ここに来るみたいだ」

僅かな時間で塔を覆っていた虚無が砕け散った。

そして、目の前に黒い空間の歪みが現れた。

S「ビビ、ターゲット ノ チカラ ヲ カクニン。スウチカ シマス」

?「さあ、待望のご対面だ」

黒い空間からゆっくりと人影が揺れる。

そして、中から出てきたのは紛れもなく高雅だった。

高「・・・・・・・」

フ「こ・・コウガ様?」

サ「今までの面影が全くないのぉ」

A「これは高雅じゃねえ。高雅の皮を被った何かだ」

レ「ちから特有の色が見えぬ。全てが黒く染まっておる」

探し求めていた人物のあまりの変わりように四人は動揺していた。

すると、男が初めてアリア達と合った時と同じように手を振りながら近づいた。

?「やあ、初めましてコウガ君。俺が君が狙うチームの最高指揮官だ」

高「・・・・・・・初めまして、ナノトム」

ナ(ッ!?、何故俺の名を!?)

高「早速で悪いが、アリアをどうした?」

キ「恐れ多いぞバーカ!!」

高「あ?」

キリカの挑発に高雅は呆気なく乗った。

しかし、ナノトムはその状態を好ましくないと思っている。

ナ「まずい!!。逃げろ、キリカ!!」

ナノトムが叫んだ瞬間、高雅がキリカの真下に空間を開けた。

キ「甘いですバーカ」

キリカは横に飛んで簡単に避ける。

さらに、簡単な虚無の弾を高雅に向けて放つ。

高「あー、うぜー。こんなひょろひょろな女がここで二番目に強い奴かよ」

ナ「おっと、この試合はタイマンじゃないぞ」

ナノトムが隙をついて高雅に拳を突きだす。

しかし、高雅はそれを呼んでいたのか、振り向きもせずに片手で払った。

ナ「見切り済みか。だが!!」

高雅がカウンターの蹴りをナノトムは受け止めようとした。

高雅の手の内もナノトムは見切っていたのだ。

ナ「なっ!?」

しかし、当たる寸前で咄嗟に回避した。

それには訳があった。

ナ「なんて蹴りだ。当たれば全ての骨が微塵みじんになってしまう」

活性した脚力に破壊と波動を容赦なく含んだ蹴り。

虚無で打ち消そうにも、塔の虚無を破壊する高雅の力を考慮して、避けたのだ。

キ「最高指揮官様!?」

高「休むな!!」

高雅は一瞬でキリカの前に現れる。

しかし、反応できないキリカではない。

キリカは逆に前に現れたことを利用してそのまま攻撃に移る。

キ「甘い過ぎますバーカ!!」

キリカはどこからともなくバズーカを出し、零距離で高雅に放った。

バズーカから出たのは弾ではなく、超極太の白いレーザーだった。

かなりの範囲を一気に吹き飛ばすキリカの武器である。

それを零距離で撃たれた高雅は姿を消していた。

キ「・・・ちょろいですねバーカ」

高雅の殺気が完全に消え、勝利を確証していた。

だが、キリカは完全に隙だらけであった。


バギッ!!


ナ「ぐっ!!」

キ「ッ!?」

キリカが気付いた時には既にナノトムが盾となって高雅の蹴りを喰らっていた。

ナ「中々良い蹴りだ。だが、やっと捕まえる事が出来た」

キ「最高指揮官様!!」

ナ「キリカは離れろ」

キリカはそう言われると反論をせずにすぐに離れた。

高「・・・ふーん、俺の中のルシフェルの意思を取りたい訳か」

ナ(なっ、名だけでなく思考まで読まれただと!?)

高「だけどな、ルシフェルの意思なんてもう無いんだよ」

ナ「何!?」

高「これは全て俺の意思だ。何ものにも囚われていない俺の意思だ」

ナ「では、何故ルシフェルの力を使っている!?」

高「テメーらを完膚かんぷなきまでに潰すためだ!!」

高雅は掴まれていた足を思いっきり振り、ナノトムを振り払う。

そして、手から波動を撃ち、ナノトムを吹き飛ばした。

A「おりやあああああああああああ」

高「・・・面倒だな」

高雅は飛んで斬りかかるAの方を向き、波動を放った。

しかし、Aは空中にも関わらずにいきなり急降下して避けた。

そして、そのまま斬りに掛かった。

A「あまああああああああああああああああああい」

高「・・・なーる。下方向の力のベクトルを活性化させたか。考えたな」

A「人生、見える物だけが全てじゃなああああああああああい」

高「さっきから、うっせえ!!」

高雅はAの剣筋を指二本で止めた。

ちなみに、Aはナノトム達が戦っている間に真の契約をしている。

A「ちょ!?、何で溶けないんだ!?」

高「知るか。お前の活性が弱いんだろ」

A「これでも、全力全開全速前進だけど。てか、お前は誰だよ?」

高「お前の知ってる崎村高雅だ。まあ、お前らにとってはかなりの変わりようだが」

A「変わり過ぎだぜ。おもに殺気が」

高「かれこれ7年間はルシフェルの意思と戦ってたからな」

A「な・・・なな・・なななな!?」

突然の事実に困惑するA。

しかし、高雅は分かっていたリアクションをされて呆れ果てていた。

高「まあ、お陰で殺気で色々分かるようになったし」

A「どこまで極めた?」

高「殺気だけで相手の考えが分かり、殺気を消したり増幅させたり、それぞれの個人情報も多少は理解可能。殺気も一人ひとりが持つものだからな」

A「ワーオ、そいつはすげーや」

高「それより、どうして俺に斬りかかった?。まあ、言わずとも分かっているが」

A「もち、主人公決定戦第三戦、実力の部門」

高「帰れ」

高雅は刀ごとAを投げた。

投げた先はレオ達がおり、Aを受け止めてあげた。

コ「あいつ、あんなに喋っているのに隙一つ見当たらなかった。相当な強さね」

S「プシュー・・・」

コ「こいつも計算だけでオーバーヒートしてる・・・。全く、恐ろしい奴」

高「・・・なあ、お前」

コ「!?」

いつの間にか、高雅がコイカの後ろに立っていた。

それに気付いてなかったコイカはいきなりの事に驚いた。

コ(こいつ、いつの間に来たの!?)

高「プシューのあたり」

コ「人の考えを読まないで!!」

高「るっせぇ。どうせ死ぬ奴が出しゃばるな」

コ「ッ!?」

コイカは自然と身を構えた。

だが、いつの間にかまた高雅の姿は消えていた。

コ「え!?」

高「意識すればするほど、俺はとらえ辛いぞ」

高雅はさっきと同じように真後ろで声を掛けた。

しかし、コイカは全く気付いている様子はない。

キ「後ろですバーカ!!」

コ「!?」

キリカの声でようやく反応したコイカは既に遅かった。


ドグォッ!!


ナ「つぅ!!」

コ「さ・・最高指揮官様!?」

またナノトムが盾となり、コイカを守った。

だが、高雅の拳はナノトムの腹を貫き、血が滴り落ちていた。

高「弱い仲間を持つと大変だな」

ナ「ぐふっ・・・なあ、話しをしよう」

高「鼻塩塩?」

ナ「話をしようだ。先程、ルシフェルの意思と戦ったと言ったな?」

高「で?」

ナ「その話を詳しく聞きたい。意思とは言え、あのルシフェルを倒したのが本当かどうか」

高「ああ、あの七年掛かった戦いね。まあ、お陰でこんなに強くなったけど」

ナ「頼む、聞かせてくれ」

高「・・・まず死ね」

高雅が貫いた拳を動かし、腹をえぐってゆく。

ナ「がはっ!?」

高「俺はお前らを倒すためにルシフェルの意思を倒し、奴の力を吸収したんだ。そんな呑気な話が出来るか」

キ「最高指揮官様!!」

キリカがナノトムを助けに援護に向かう。

だが、高雅はキリカを睨みつけ、最大の殺気をぶつけた。

キ「い・・・あ・・・」

キリカはそのまま地面に倒れ、意識を失った。

ナ「ッ!!、キリカ!?」

高「お前も俺の大切な奴をこうやってもてあそんだ。分かってんのか?」

ナ「俺は君を救うためにわざとそうしたんだ。力をもてあそんでやった訳ではない」

高「救う?。バカジャネーノ?。仲間を殺そうとして救うなんてバカげてる」

ナ「君は上に立つものじゃないから分からないかもしれないが、君は将来、大量の罪を犯す」

高「もう犯してるだろ。俺は色んな奴らを殺して来た。すでに犯している」

ナ「だが、その千倍以上の罪を犯してしまう。それを黙って見過ごす訳にはいかないと思い、仕方なく殺そうとしたんだ」

高「それが俺だけならまだましも、他の奴らを巻き込むのは間違ってるだろ」

ナ「止むを得ないかったんだ。だが、今の君ならもう大丈夫だ。覚醒しても、なお意思を持っているのであれば」

高「結局、テメーらの行いは無駄に終わった訳か。だが、今さらそんなことを言って許せるt「お兄ちゃぁん!!」?」

突然、空気を読まずに割り込んできたのはシリアだった。

シリアは高雅の姿を確認すると一目散に駆けよった。

シ「やっと見つけたぁ」

高「・・・・・・・・・・誰?」

シ「ぶぅ、意地悪しないでよぉ」

高「知らないな。顔も知らな・・・・・!?」

シ「?、思い出したぁ?」

突然、高雅が何かに気付いたかのようにシリアを見た。

シリア自身は首を傾げていた。

高「この感じ・・・まさか!?」

シ「どうしたのぉ、お兄ちゃ・・・あぐ!?」

シリアは胸を押さえ、急に苦しみだした。

高雅にはこの光景がデジャブに思えた。

高「こいつ、しぶといな!!」

高雅はナノトムを突き飛ばした後、シリアの肩を掴んだ。

そして瞳を閉じ、シリアに力を流し込む。

シ「う・・ぐあぁ・・・」

高「こんの!!。止まらねえ!!」

シ「ぐ・・・うあああああああああ」

シリアからあの黒い塊、ルシフェルの意思が出た。

高雅は知っているあの塊だ。

ル「ふふふふ。驚いたか、高雅」

高「しぶといんだよ!!」

ル「しかし驚いた。いくら油断していたとはいえ、息子に負けるとは」

高「またぶっ潰してやる!!」

ル「当初の予定と狂ったがまあいい。結果オーライだ」

すると、ルシフェルの意思は高雅の脇を通り、目標へ向かってゆく。

その目標はナノトムだった。

ナ「くっ!?」

ル「貴様のマリアの力をもらおう」

コ「させないよ」

ナノトムの前にコイカが立ちふさがる。

ルシフェルに向かってクナイを放つも黒い塊は分散して避ける。

コ「あれじゃ、クナイが通用しないよ」

だが、呆気なく横を通られ、何もできずに終わった。

S-04に至ってはまだオーバーヒートから回復していなかった。

ル「残念だったな」

ナ「や・・止めろ!!」

ナノトムはかなりの傷を負い、抵抗が出来なかった。

高「好きにさせるか!!」

高雅はルシフェルに接近するも、どこからともなく吹く強風に足が運べなかった。

そして、ナノトムが完全にルシフェルに乗っ取られてしまった。

ル「くくく、これでマリアの力を手に入れたも同然だ」

高「くっそ!!」

ル「それでは、さらばだ。これで復讐が出来る」

ナノトムを乗っ取ったルシフェルは用が済んだ途端に空間を開き、この場から離れようとした。

何とか止めに掛かりたいが強風に襲われ、近づく事が出来なかった。

高「こんの、待ちやがれ!!」

ル「また会おう。その時には天界も現世も全て無くなっているが」

そう言い残し、ルシフェルは消えて行った。

残された者達は悔しさと絶望しか残っていなかった。

高「あの野郎、まだ生きてやがったか」

A「何か、とんでもな展開になって来たな。くぅ~、燃えるぜ」

レ「あれが伝説の惰天使ルシフェルか・・・意思とは言え、おぞましい威厳があったな」

フ「ルシフェル・・・まさか、本当に生きていたとはです・・・」

サ「一体、どうするのじゃ?」

高「・・・・放っておきたいが、そんなことしたら何か悪そうだし」

高雅達がこれからを考えている間にコイカ達は既に行動に移っていた。

いつの間にか、キリカの意識も戻っていた。

そして、どこかに空間を開いてその中へ入って行く。

高「どこに行く気だ?」

キ「決まってるですバーカ。最高指揮官様の所ですバーカ」

コ「最高指揮官様に従う者として助けに行くのは当然よ」

S「オーバーヒート カイフク。サイキドウ カンリョウ」

そう言って三人は空間へ入って行った。

シリアと同じように彼女らも殺気で居場所が分かるのだろう。

A「こっちも追うか?」

高「待て、アリアが起きてからだ。武器が無いと何か戦い辛い」

高雅はアリアを抱え、塔の中へ入って行った。

それに続いて他の皆も高雅の後ろをついて行った。

最初は高雅の事を疑っていたが、雰囲気が変わっても本物の高雅であることに気付いた皆は普通に慕っていた。

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