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最悪の贈り物編 その4、本気

シリアを投げ飛ばした後、シリアが落ちて来る気配はなく、ただ待つのもなんだから高雅は爆睡していた。

自分の立場は理解してはいるが、完全に囚われの身がやる行動ではない。

シ「・・・・・・・・ぃぃぃぃぃぃぁぁぁぁぁぁあああああああああん」

そんな時、シリアが遂に落ちてきた。

どれだけ高い所から落ちてきたのか、シリアの落下速度は100キロを超えている。

しかも、両手を広げながら高雅の真上に落ちて来ている。

シリアは抱きつこうとしているのだが、このままいけば、高雅の骨の保障はない。

高「Zzz・・・・ん・・」

シ「ふぇ?」


ドゴーン!!!


高雅の寝がえりによって、シリアは地面に勢い良くぶつかって地下深くへ潜っていった。

ちなみに、高雅は本当に眠っているのだ。

間近くで大きな音が出たにも関わらず、高雅は目を覚まさない。

シ「うう・・・あうぅ・・もぉ」

シリアがふわふわと土塗つちまみれな体を浮かせて戻って来た。

膨れっ面になりながら高雅を睨みつけるも、すぐに表情は和らいだ。

シ「・・・やっとぉ・・・一緒だねぇ」

シリアは高雅の背中にくっ付きながら横になった。

シ「お兄ちゃんの背中だぁ・・・暖かぁい」

余程疲れていたのか、安心しきったシリアはすぐに眠りについた。

その寝顔はとても幸せに満ちていた。








何もない世界。

ただ白い空間。

地平線すら区別つかない空間。

そこに一人の少女が泣いていた。

?「ひっく・・ぐす・・・」

響きもしない鳴き声。

誰も聞こえはしないかすれゆく声。

一人にされた少女は泣き続けた。

?「・・・ひっく・・おとうさぁん・・・えぐ・・」

?「何で泣いてるの?」

?「ふぇ?」

どこからとなく少年が現れ、少女に話しかけた。

?「・・ひぐ・・・だぁれぇ?」

?「僕?、ずっとここに住んでる者だよ。君は誰?」

し「・・・あたしぃ・・しりあぁ。あなたのおなまえはぁ?」

こ「えっと・・・こうがだよ」


こうして二人は出会った。

この何もない封印された場所で。

年を取る事もなく、二人はずっと一緒に過ごした。

笑う時も泣く時も寝る時も歩く時も喜ぶ時も・・・

次第に少女は願うようになった。


ずっと・・・このままでいられるように、と・・・


し「えへへぇ・・・こうがおにいちゃぁん♪」

こ「はいはい、よしよし」

少女はいつものように少年に甘え、頭を撫でてもらっていた。

少女も少年もお互いに飽きることはなく、これだけは欠かさずおこなっていた。

し「おにちゃんのてぇ、いっつもやさしいねぇ」

こ「どこが優しいのか分からないよ」

し「~♪」

少女はただ満足げに、はにかむだけだった。

少年も自然と笑ってしまい、ただただ頭を撫でてやった。

そんな幸せな時間も永遠ではなかった。

こ「・・・!?、うわぁ!?」

し「へっ!?」

突然、少年が撫でるのを止めたかと思えば、宙に浮かされていた。

後ろには白いローブをきた者がいた。

し「お・・・おにいちゃぁん!?」

少女はどういう事か分からず、白いローブの者は振り返ると空間を捻じ曲げてどこかへ行こうとする。

少女は必死になって止めようとするも、表情を変えることもなく蹴り飛ばした。

そして、白いローブの者は少年を連れていなくなった。

し「そんなぁ・・・おにいちゃぁん・・・」

また一人という振り出しに戻された。

少女は絶望し、涙すら流せなかった。









高「・・・・・・・・・リアルな夢だったな」

目が覚めた高雅は寝たまま背伸びをしながら夢の内容を思い出す。

高「?」

ふと背中に温もりを感じ、首をひねって後ろを見ると、シリアがくっ付いて眠っていた。

規則正しい寝息で幸せそうに眠っているのを見て、起こすのに罪悪感を感じていた。

高「・・・・二度寝するか」

高雅は特にやることが無いのでまた眠ろうとした。

シ「むにゃ・・おにぃ・・・ちゃぁん・・・」

高「寝言かよ。鬱陶しくて眠れね」

シ「んにゅ・・・・ずっと・・一緒ぉ・・・・」

シリアは無意識に高雅の体に腕を回した。

高雅は別に退ける事もなく、そのまま眠ろうとした。

高(こいつ・・・何がしたいんだろうな・・・)

自分を覚醒させるとか言っていたが、特に何もしてこない。

実は何かされているのではないかと思うが、自分の身に何も感じない。

高(・・・・まぁ、いいや。寝よ)

結局、深く追求する訳もなく、ただ眠たいので寝た。









一方、セイクリッドの者から逃げているアリア達は逃げていた。

ア「そのまんま過ぎないかなぁ?」

レ「アリア殿、足を止める暇などないぞ」

ア「だけど、私達はどこに向かってるの?」

フ「どこかです!!」

ア「そんなこと言われても・・・」

アリアは苦笑いして頬を引っ掻いた。

すると、Aも立ち止り、突然振り返る。

ア「?、どうしたの、A君?」

A「なぁ、あの人?達ってさぁ、結構強いんだよな」

ア「まぁ、私達よりも強いね」

A「じゃあ、逃げても無駄じゃね?」

ア「・・・・・・・・・・」

エ「確かに、それもそうだな」

サ「ならば真っ向勝負をするつもりか、お主は?」

A「それもありじゃね?」

ア「ちょっ!?、いくらなんでも危険すぎるよ!!」

A「いや、俺はマジだぜ。本気ほんきと書いて本気マジだぜ」

Aは肩を回しながらやる気を見せる。

ア「それでもダメ!!。敵の強さは未知数だよ!!」

A「などと言っている内に未知数が接近中」

ア「えっ!?」

Aが振り向き、空を見たげると風を斬り裂きながらペーちゃんが接近していた。

ペーちゃんはアリア達と少し離れた所に着地し、睨みつける。

蓮「ぺーちゃんだ!!」

ロ「おおー、ほんとだー」

蓮田とログナが気付いて手を振るも、何の変化も現さない。

A「どうやら、殺気はこっちにぶつけてるみたいだ」

ア「まさか・・・」

ペーちゃんは前足を大きく上げて鳴き、地面に思いっきり叩きつけた。

それだけで大地震が発生し、アリア達の場所に地割れが起きた。

蓮「うわぁ!?」

ロ「蓮田!?」

A「とおぅ!!」

ログナは蓮田を抱えて飛行し、他の者は驚く様子もなく飛び上がった。

Aだけは高く飛び上がってタイトを剣に変え、ペーちゃんに切りかかろうとしていた。

A「一刀両断!!」

ペーちゃんは軽く後ろに跳ね、Aの攻撃を避ける。

Aはすかさず前に踏み込み、連続で斬りかかる。

ア「待って、A君!!。その馬は仲間だよ!!」

A「いや、あからさまに攻撃して来ただろ。それに、あの白いローブどもと同じ殺気だ」

ア「じゃあ・・・ペーちゃんがセイクリッドの者って言うの!?」

A「確率は2000%だ」

ア「じゃあ、ペーちゃんは私を・・・」

A「安心しろ、こいつは俺がぶっ殺す。前に蹴られて樹海に送られた恨みを晴らしてやる」

ア「よく帰って来れたね」

A「こまけぇこたぁどぅでもいいんだよ!!。それより、今度は本気で相手になってやる」

そう言うと、Aは刀の先端をペーちゃんに向け、力を込め始める。

そして、一度深呼吸をしてから叫んだ。

A「卍・か・・・じゃなくて、真の契約、発動!!」

何を言おうとしたのか知らない事にしておき、Aは真の契約を発動した。

Aの立っていた地面が粉々に割れ、それが砂塵となってAを隠す。

あまりの突風にアリア達は目を隠した。

ア「ま・・真の契約!?。A君も発動出来たの!?」

レ「しかし、あれは自分の何かを捧げなければならない。物によってはA殿は死ぬぞ」

レオの言葉に、無性に心配してしまうアリア。

砂塵がおさまった時、Aは赤い刀身の刀を握っていた。

A「この前は手加減してたが、今回の俺は本気マジだぜ

Aはニヤリと余裕の笑みを見せ、刀のみねを肩に乗せる。

その瞬間、Aの服が着火した。

A「おあちゃあああああああ!?。忘れてたああああああああ!!」

Aは慌てて火を消すも、既に肩が露出していた。

非常にかっこ悪い所を見せてしまった。

ア「A君、真の契約って・・A君は何を捧げてるの!?」

アリアが単刀直入に言う。

後ろでは蓮田は意味が分からず、首をかしげていた。

A「俺の捧げる物は記憶だ。もちろん、全部じゃない。一回使うたびに1年分の記憶を捧げてる」

ア「そんな・・・いつの記憶が無くなったの!?」

A「う~ん・・・はっきり言って、何も無くなってないんだよなぁ、これが」

エ「成程。元々忘れてしまった記憶を消されたのだろう。きっと、2歳の頃とかさ」

A「まぁ、そんな所じゃね?」

自分の記憶を適当に考えているAの姿を見て、特に問題は無いだろうと判断したアリア。

A「とにかく、こいつは俺に任せて、お前らは先に逃げてろって」

ア「でも・・・」

A「狙われてるアリアがいたら邪魔になるだろ。って、高雅なら言うかもな」

ア「ッ!?」

高雅という言葉に胸を打たれる。

高雅の事を考えた瞬間、自分のやるべきことを思いついた。

それは、争っていないで早く高雅を助ける事だ。

ア「・・・分かった。A君に任せるよ」

A「おう!!」

サ「後で追いつくのじゃぞ」

アリア達はペーちゃんをAに任せ、再び逃げ始めた。

しかし、蓮田とログナだけは足を動かさなかった。

ア「?、レンタ君?」

蓮「僕も残るよ」

フ「何を言ってるです!?。回復しかできないのに、残っても足手まといです!!」

蓮「でも、ペーちゃんは僕が面倒を見てるんだ!!。だから、ちゃんと話しあってみたいんだよ!!」

ア「でも・・・」

A「いいさ。回復役がいるなら、こっちも無茶が出来るもんだぜ」

ロ「んじゃ、俺っち達はエイっちにでも加勢するさ」

ア「・・・・じゃあ、任せるよ。絶対、後で追いついてよ!!」

アリア達はA達を置いて逃げて行った。

A「・・・あのセリフ、死亡フラグだろ」

ロ「まっ、蓮田がフラグブレイカーにでもなってくれるさ」

蓮「?、何の話?」

蓮田が尋ねるも、Aとログナは笑ってごまかすだけだった。

A「・・・まぁ、取りあえず、あの待ってくれているペガサスを倒すか」

Aは隠していた殺気を放ち、目付きを変える。

それにつられて蓮田とログナも本気になった。

A「今こそ、裏で修行していた成果を出す時だな」

ロ「俺っち達はぺーちゃんに近づいて話してみる。その隙を作ってくれないか?」

A「任せろ!!」

Aは活性の力で瞬間で移動した。

そして、ペーちゃんとAとの戦いが始まった。

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