合宿編 その7、知ったら損することもある
高雅はホテルの授業用の部屋の前にいた。
高「午後の授業は何だっけ?。まあ、教科書が無くても大体分かるけいいか」
そう言って高雅は扉に手を掛けて開けようとした瞬間・・・
ガララ!!
急に扉が勢いよく開いた。
A「来たな、崎村」
扉を開けた先にはAがドーンと待ち構えていた。
高「ん?・・・おわ!?」
突然、生徒Aが高雅を隠し持っていた縄でぐるぐる巻きにした。
高「何だよこれ!?。離せ!!」
A「逃がさねえぜ。午後の授業は一緒に受けてもらうぜ」
高「そのつもりで来たんだが」
A「へ!?」
二人の間に沈黙が流れた。
A「・・・ははは、そうだったのか。それにしても、何も用意してないじゃないか」
高「午後の授業がわからねえからな」
A「そうかい。午後の授業は山登りだぜ」
高「・・・・はぁ!?。んな、呑気に山登ってて勉強は大丈夫なのか?」
A「そうえば、崎村は知らなかったな。学校はもう直ったぞ。明日には帰って普通に授業をするから勉強合宿から普通の合宿に戻ったのさ」
高「学校直ったの!?。早ッ!!。カー○ィの○○○城には劣る早さだが早すぎだろ!?」
A「と、言うことで。さっさと行こうぜ」
高「やだ、山登りするぐらいなら寝る」
A「そう言うと思って縄を巻いてんだよ。さあ、強制連行だ」
高「ちくしょーーーー」
高雅は生徒Aに連れて行かれた。
一方、変わって蓮田達は・・・
蓮「あーるーこー、あーるーこー。わたーしはーげんきー♪」
蓮田がある有名な歌を歌いながら歩いていた。
すると、ふとアリアがログナに話しかけた。
ア「そう言えば、あなたはどうしてレンタ君の使いになったの?」
ロ「それはな・・・蓮田が一人で泣いていたからだ」
ア「じゃあ、誘拐の可能性もあるわけね」
ロ「こらあああ、人の話を最後まで聞け!!。蓮田の家族が亡くなったから泣いてたんだ!!」
ア「あ・・・そうだったの。なんか気まずい話ね」
ロ「そっちは何でだよ?。こっちも話したから教えてくれるのが筋だろ」
ア「私も同じようなものかな。コウガの身寄りが皆亡くなったからかな」
ロ「似たもん同志だな、俺ら」
ア「うん・・・」
空気が重くなったのを悟ってログナは話を180度変えた。
ロ「それよりさ、お前の契約の力はどんなんだ?。やっぱ髪の色からして静寂の力か?」
ア「へ!?、別に静寂の力なんて知らないけど、剣になったり翼になったり・・・」
ロ「それは皆ができる普通の力で契約の力じゃない。もしかして、真の契約で戦ったのか?」
ア「いや、私はただ変身で武器になったりして、後はコウガが戦ってくれたわ」
ロ「それ、マジ!?。そしたら、お前はかなりすげー契約者と契約したもんだぜ」
ア「そうなの!?。・・・あっ、でも虹の契約者って言われてたみたいだから結構すごいかも」
ロ「はぁ!?、お前、虹の力持ってんの!?」
ア「うん、すごいでしょ?」
アリアは自慢するように胸を張るが、ログナから帰ってきた答えは意外なものだった。
ロ「何言ってんの?。ヘボだよヘボ。完全に馬鹿れされてるぞ、それ」
ア「ええ!?」
ロ「あのな、虹の力って幼稚園児が使うもので俺達みたいな青年は一つの能力があるもんだぞ。まあ、例外もあるがな。んで、大体髪の色で力は決まるもんだ」
ア「そうだったんだ」
ロ「身近な例外はラビリンスだな。髪の色が赤いのは大体、活性の力のはずだがあいつは創造の力だったからな」
ア「へ~。あっ、よく思えば、学校なんてあんまり行ってなかったかも・・・」
ロ「はぁ~、あんたは契約者に助けられてんだな」
ログナはあまりにショボイことなのかため息をついた。
ロ「虹の力はまだろくに力を使えんガキがやるもんだ。お前、再生の力を使ったことがあるか?」
ア「うん、コウガが軽い怪我をした時に・・・」
ロ「精々、なおせて軽い切り傷ぐらいだ。虹は万能な代わりにあまりにも力が低いからな」
ア「そうだったの!?」
ロ「契約の力も真の契約も知らないでよく勝てたもんだな・・・」
ア「そんな、哀れな人を見るような目で見ないで・・・」
アリアは自分が恥ずかしくなり、半泣き状態だ。
ロ「はいはい、泣かない泣かない。教えてやるから」
ア「うう・・・」
ロ「まずは、契約の力だな。まあ簡単に言えば、自分の力を契約者と合わせることだな。んでもって力倍増ってわけ」
ア「う~ん。それで、真の契約は?」
ロ「ようは、ある条件を満たすと使いが完全体になることだ。条件はその使い一人ひとり違うけどな。そして、その時だけ天の規制が無くなるってわけ」
ア「あっ・・・そう言えば、あの時は怒って気づかなかったけどラビリンスは契約者を殺しても自分は生きていた」
ロ「そんなとこだな。わかったら早く自分の力を目覚めさせるんだな」
ア「うん・・・これから戦うって言うのにコウガばっかりに任せられないもん」
ロ「おっ、かっこいいこと言うなぁ。そのいきで頑張れよ」
蓮「僕空気なんだけど・・・もう着いたよ」
二人は蓮田に言われて気付き、ふと目の前を見ると巨大なクレーターの前にいた。
ロ「あははは、わるかったよ蓮田。んで、あれが言っていた穴か。んじゃ、早速いくか、蓮田」
蓮「うん、いいよ」
ログナはクレーターのど真ん中の空中に、蓮田はその下に着いた。
そして・・・
ロ「こんな穴なんてちょちょいのちょいだぜ」
ログナの手に光が集まり、その光をクレーターの真ん中に落とした。
落ちた先の蓮田がその光を受け取った。
蓮「全てを無きことに、全てを元のままに」
その瞬間、蓮田が光り輝いた。
光に包まれた蓮田が空中へ浮いた。
そして、クレーターが綺麗に元の状態に戻っていく。
ア「すごい、これが契約の力なの」
ロ「まあな、契約者と使いが力を合わせて出来ることだ」
ア「あれ、いつの間に戻っていたの?」
ロ「ついさっき。まあ、すぐに迎えに行くけど」
そう言って、ログナは光り輝いている蓮田の下へ飛んだ。
ア「いつか、力が使える日が来るかな・・・」
ロ「ただいま~」
ア「はや!?」
ログナは蓮田を抱え、戻ってきていた。
ア「あれ、レンタ君はどうしたの?」
ロ「力を使うと体に負担が掛かるのか寝ちまうんだよな」
蓮「・・・くー・・・」
蓮田は気持ちよさそうに眠っていた。
ロ「さあ、もうお終いだ。どうせラビリンスが消えたから暇だしコウガっちの所へ行こうぜ」
ア「うん。じゃあ、今連絡するね」
ロ「おいおい、どうやってするんだ?」
ア「私とコウガはどこにいても会話が可能な意思会話ができるの。ちょっと待ってて」
ロ「へー、便利なものだな」
アリアは高雅へ意思会話を始めた。
ア(コウガ、聞こえる?)
高(・・・ん、アリアか。どうした?)
ア(こっちはもう終わったからそっちに行こうかなって思ったわけ)
高(姿を出さなかったらいいけど、今はホテルじゃないぞ)
ア(どこにいるの?)
高(山の中だ。んじゃ)
高雅は学校の皆と山登り中。
しかし、その光景は例えるなら凶悪な犯罪者を多数の警官が連れていくような光景だ。
高「なあ、この縄をほどいてくれよ」
A「ダメだ。どうせ逃げられるからな」
高「ちぇえ」
A「ほどいてほしかったら俺と友達になってくれ」
高「こんなことするような奴を友達になんてするかよ」
A「お前がなんと言おうが俺はあきらめねえからな」
高「知るか。もうのんびり歩くのも飽きたし、さっさと登るぞ」
A「はあ!?・・・・ってうわああああ!?」
高雅はダッシュで山を登り始めた。
生徒Aを引きずりながら。
A「ぎゃあああ。いてえ、いてえって。やめろおおおおお」
高「俺のささやかな逆襲だ」
そう言って高雅は生徒Aを引きずりながら山を駆け登った。