最悪の贈り物編 その2、出会い
Aが買い物に行っている間、高雅達は適当にトランプで遊んでいた。
ちなみに、内容は大富豪である。
高「なぁ、蓮田。ペーちゃんはその後どうなったんだ?」
蓮「よく一人で散歩に出かけてるよ。でも、ちゃんと人には見つかってないし、夜前にはちゃんと帰ってくるよ」
高「そうか、ならいいや。ほい、革命」
フ「あみゅみゅ!?、そこで革命です!?」
レ「くっ、これは手痛いな」
ア「ふふっ、そう来るかと思って・・・はい、革命返し♪」
高「なっ!?」
フ「おおっ、すごいです、アリア様」
ア「これでも、コウガの手の内は大分読めるようになったよ」
蓮「わーい、僕、上がり」
フ「ボクもです」
レ「我も上がりだ」
ア「・・・あれ、利用されちゃった」
アリアの革命がえしにより、次々と上がって行く。
高雅は思いもよらぬ展開に焦りを隠せなかった。
ア「ふふ。しかし、高雅にも負ける時が来たようだね」
高「・・・・ふっ、確かに、もう一番は無理だな。ただ、ビリにはならない」
ア「な・・何でよ?」
高「お前の手持ちはキングが3枚、エースが1枚だろ?」
ア「ッ!?」
見事、アリアの手持ちは当てられていた。
高雅は皆が捨てたカードを暗記し、残りのカードを計算しながら戦っていた。
ア「だ・・だけど、革命を狙ったって事は、高雅の手持ちは弱い物ばかりのはず!!」
高「俺は端から一番になる気はない。ただ、ビリにもなる気はない」
ちなみに、高雅の手持ちは3枚。
アリアはこれが何なのかは分かっていない。
ア「お・・脅しは効かないよ」
高「脅しかどうかはすぐ分かるさ」
ア「じゃあ、これで!!」
アリアが出したのはエースを一枚。
ア(さあ、どう来る!?)
アリアが高雅の動きをじっと待つ。
高雅は三枚の中から一枚だけを取り出す。
それはハートの2だった。
ア「ッ!?」
高「はい、流して、3を2枚」
ア「ガーン・・・」
アリアは高雅の策によって敗れてしまった。
高「簡単に脅し効いてるじゃん」
ア「うぐ・・・」
高雅の言葉に悔しがるアリア。
それを慰めてあげる蓮田だった。
そんな呑気に過ごしていた時間が急変した。
ピンポーン・・・ピンポーン・・・
突然、鳴りだすニ回のインターホン。
高「へいへい、今行きますよ~」
出ない訳にはいかないので、高雅が面倒くさそうに、玄関へ向かう。
そこにいたのは意外な人物だった。
龍「せぇ・・はぁ・・・こ・・高雅君!!」
高「え!?・・はぁ!?、龍子!?」
息を切らし、青ざめた龍子の姿があった。
高雅はAかと思っていたが、思いもよらぬ人物に声がひっくり返った。
高「何だ!?。何でお前が!?」
龍「すぅ・・はぁ・・・と・・とにかく・・A君が!!」
高「?」
龍「A君が・・・殺されそうなの!!」
高「ッ!?」
変わってAの場所は大惨事を巻き起こしていた。
A「はぁ・・はぁ・・はぁ・・」
決して幼女に〈ピーーー〉して紳士になっている訳ではない。
タイトは折られ、口から血を吐きだし、横腹からは血が溢れて必死に押さえていた。
それを見て笑っている少女がいた。
?「あははは、人間ってもろぉい」
Aの帰り血を浴びた少女の顔は悪魔の笑みに等しかった。
ただ笑っているだけなのに、自然と恐怖が空気全体を包み込んでいた。
A「くっそぉ・・・反則な強さだろぉ」
タ「ぐふっ・・・意識を保つので精一杯だ・・」
最早、A達に希望の光なんて物はない。
全て目の前の闇によって塞がれてしまう。
?「もう少し遊んでくれると思ったけどぉ、もう限界だねぇ」
A「主人公は・・・こんな絶望の時には何かがやって来るのだ!!」
?「・・・・・ホントだねぇ」
A「ゑ?」
すると、少女の後ろから空間を使って羽の生えた気高き白馬が現れた。
そう、ペガサスことペーちゃんである。
前足で地面を掻き、殺気をフルに出して少女を睨みつけていた。
その殺気は文夫達よりも凄まじい物である。
?「へぇー、あの時以来だねぇ、お馬さぁん」
少女はペガサスに向き合い、銃を向ける。
ペガサスは前足に体重を乗せ、後ろ足を上げるとそのまま思いっきり後ろに蹴った。
ドゴッ!!
?「あぐっ!?」
後ろに思いっきり蹴った。
しかし、ペガサスの足の先が少女の背中を捕えていた。
空間を使った奇襲攻撃である。
少女はペーちゃんの目の前まで吹き飛ばされてしまった。
ぺーちゃんはさらに前足を上げて踏みつぶそうとした。
グシャッ!!
ぺーちゃんの足は少女の顔をもろに潰した。
A「うっわ~、グロイなぁ・・・って、こっち来た!?」
ぺーちゃんはツカツカと歩み寄り、頭を近づける。
Aは何なのか意味が分からず簡単に頭をぶつけられた。
ぺ(声が聞こえるでしょうか?)
A「あ・・はい」
ぺ(あなたとそちらの使いさんを再生させますから、刀を地面に置いてください)
A「え・・あ・・・お願いします」
Aは良く理解していないが、取りあえず言われた通りにする。
すると、ぺーちゃんが息を吹きかけた瞬間、タイトの折れた刃が再生し、Aの傷も完治した。
A「おお、ありがとう!!」
タ「か・・忝い」
ぺ(どういたしまして。それより、早くここを離れてください。彼女が再生する前に)
A「えっ!?、死んでないと!?」
ぺ(いえ、死んではいますが、すぐに復活します。完全に倒すにh「ねぇ?」ッ!?)
A「?・・あぐっ!?」
ペーちゃんはAを蹴り飛ばし、空間を使ってこの場から離れさせた。
そして、自分は高く飛び上がると、自分のいた場所に禍禍しいオーラを纏った槍が突き刺さっていた。
少女は地面に深く突き刺さった槍を意図も簡単に抜き、ペガサスを睨みつける。
?「今のぉ、痛かったよぉ」
ぺ(思ったより再生が早い。流石、この私を本気にさせただけはある)
少女は先程よりさらに殺気を強め、少女の周りの空間が微かに揺れていた。
?「お馬さぁん、少しはやるようだねぇ。あの時は全然本気を出してなかったけどぉ」
ぺ(・・・確かに、最初に戦った時は同士討ちだったが、その時以上の殺気を感じる。これは、私では難しいですね)
?「そろそろねぇ、あたしも怒っちゃうよぉ。お兄ちゃんが見つからなくてぇ、機嫌が悪いんだよぉ」
徐々に強くなってゆく少女の殺気。
そのたびに空気が揺れ、呼吸が苦しくなる。
ぺ(・・・上司さん、そろそろ限界です。これ以上、戦いようがありません)
ペーちゃんは目の前の絶望に包み込まれ、戦意がなくなってしまった。
?「そろそろぉ、いなくなっちゃってねぇ」
そう言って、少女はペガサスに狙いを定め、目にも止まらぬ速さで槍を投げた。
戦意を失ったペーちゃんに避けれるはずがない。
?「殺ったぁ!!」
少女は勝利を確信し喜びながら跳ねていた。
しかし、突然ぺーちゃんが急降下して少女の投げた槍を避けた。
?「あれぇ?」
ペガサスは地面にぶつかると思いきや、地面がトランポリンのように衝撃を吸収した。
しかし、反動は無く、地面はゆっくりと元の形に戻った。
その時、ペーちゃんの背中にいる人物を見て、少女は目を丸くした。
高「おい、ペーちゃん。ぼうっとするなよ」
それは高雅だった。
高雅は変換の力で地面をトランポリンのように変換したのだ。
さらに、落とす時にペーちゃんに負担が掛からないように消失の力で衝撃を無くしていた。
ぺ(え・・コウガさん!?。どうしてここに!?)
高「俺の今日の晩飯の食材が死にかけてるって聞いてすっ飛んで来たんだ」
ア「コウガ、その言い方だとカニバリズムにしか聞こえないよ」
ぺ(と・・とにかく、コウガさんはここに来てはいけません)
高「悪い。家にいるのは飽きたんだ。そろそろこっちから出向きたかったって言うのもある」
ア「文夫さん達の敵討ちもしたいしね」
高「それに、こんなに殺気を解放されてちゃ、周囲100メートル以内の一般人は死ぬぞ」
ぺ(しかし、コウガさんを彼女に会わせる訳には・・・)
高「もう遅いだろ」
そう言って双剣を構え、少女と向き合う。
少女は目を輝かせながら高雅を見つめていた。
?「お兄ちゃんだぁ・・・・やっと会えたんだぁ・・・」
少女はさっきまでの殺気を無くし、高雅に駆け寄った。
?「お兄ちゃぁぁぁぁん!!」
少女は高雅の胸へとダイビングをした。
しかし、高雅は受け止める気もなく、簡単に避けた。
ゴンッ!!
?「あうぅ・・・」
少女は頭を塀にぶつけ、軽い脳震盪を起こしていた。
そして、頭を抱えつつ涙目になりながらも高雅の方に首を向ける。
?「も・・・もぉう・・お兄ちゃんの照れ屋ぁ」
高「照れてもないし、お前の兄でもない」
?「ふぇ?。でもお父さんは、あたしはお兄ちゃんの使いになるために生まれたんだって言ってたよ」
高「知らねえよ。大体、そのお父さんに会わせろ。直接、話をつけてやる」
?「お父さんは500年前に死んだよぉ」
高「じゃあ、何で今になって俺を探してるんだよ?」
?「今からじゃないよぉ。ずっと前だよぉ。お兄ちゃんがいなくなってからだよぉ」
高「悪いがお前と一度も会った覚えはない。人違いだろ」
?「そんなことないもん!!。ずっとあたしの頭を撫で撫でしてくれてたもん!!」
突然、少女がムキになって声を上げる。
それでも高雅は表情一つ変えない所為か、少女は徐々に涙を流し始めた。
?「撫で撫で・・・してくれてたもぉん・・・ぐすっ」
高「知らない物は知らねえんだ。泣いても無駄だ。お前は大罪を犯している。それはもう、泣いて許される物じゃない」
ア「どんな理由であれ、関係のない方を殺しちゃうのは良くないよ」
高雅は冷たく当たり、アリアは優しく言いながらも正論を言う。
すると、少女の殺気が徐々に溢れだした。
?「・・・・お兄ちゃんを元に戻す・・・」
高「は?」
?「お兄ちゃんを優しかったあの頃に戻す!!」
高「ッ!?」
突然爆発する少女の殺気。
高雅は殺気だけで吹き飛ばされてしまった。
しかし、冷静に着地して少女に向き合う。
高「いきなり怖くなったな」
ぺ(コウガさん、これ以上は危険です。私が時間を稼ぎますから、早く逃げてください)
ペーちゃんが近づいて警告する。
しかし、高雅は逃げるつもりなど毛頭ない。
高「てか、あいつの事をよく教えろ。もう関係者だから極秘もねえだろ」
ぺ(・・・分かりました。必要最低限だけを教えます。ですが、情報だけを送りますので、整理はコウガさん自身がしてください)
高「それってどういう・・くっ!?」
突然訪れる激しい頭痛。
さらに、ペーちゃんは高雅を蹴り飛ばして空間でどこかへ移動させた。
ペーちゃんは一人で少女に立ち向かっていった。
高雅がついた場所は自分の家だった。
高「いってぇ・・・あの野郎、蹴り飛ばすのは酷いだろ・・・」
ア「すぐに戻る?。こっちだって空間が使えるから」
高「当たり前だ!!」
高雅はすぐさま空間を開けようとした。
しかし、開く場所はさっきの場所ではなく、真っ暗で何もない所だった。
高「?、あれ?」
ア「ここ、どこ?」
?「あたしの家だよぉ」
高「なっ!?」
突然、少女の顔がひょっこりと現れたと思いきや、高雅の手を掴んで引き寄せた。
高雅は瞬時に抵抗したが、その異常な力に引き寄せられる。
ア「コウガ!!」
アリアはいてもたってもいられず、人間になって反対側から高雅を引っ張ろうとする。
しかし、高雅に触れた瞬間、静電気の様な何かがアリアを襲った。
ア「きゃっ!?」
高「アリア!?」
?「今だぁ」
少女は絶好のチャンスと、最後の一踏ん張りで高雅を思いっきり引っ張った。
高「うわぁ!?」
高雅は少女と一緒に謎の空間に取り込まれ、消えていった。
ア「こ・・コウガ!?」
いなくなった高雅の場所には空しい空間だけがあった。
再びあの空間を開こうとするも、あの空間は二度と開けなくなっていた。
ア「嘘・・・コウガが・・・攫われた・・・」
信じがたい事実にアリアは脱力し、その場に腰を落とした。