合宿編 その6、自然大好きっ子
高雅は日当たりのいい草原で戦いの疲れを癒していた。
高「それにしても、杉野は何で俺に付きまとうんだろう?」
ア「どうして?」
高「だって、あいつが不良に絡まれた時に俺が怖い人間だってわからせたのにな」
ア「でも、結局はいいじゃない。初めての友達でしょ」
高「正確には、身寄りを失ってからの初めてだ」
ア「そうでした」
高「んなことより、あいつは信じたんだろうか」
ア「何を?」
高「お前と俺の関係だ」
ア「信じたんじゃない。目の前で変身したりしたんだし」
高「変な誤解だけはやめてほしいな」
ア「変な誤解って?」
高「俺が人間じゃないとか、超人とかさ」
ア「超人はあってるんじゃないの・・・ってあれ!?」
ふと見たら高雅は既に眠っていた。
ア「ほんと、のび○君並みの早さね。私も少し寝ようかな」
そう言ってアリアも座ったまま眠り始めた
高「Zzz・・・」
ア「・・・すやすや・・・」
二人は気持ちよさそうに眠っている。
それを妨害するかのように助けを求める叫び声が聞こえた。
?「助けてーーーーー!!」
ア「・・ん?・・・あっ!!」
ふと目を開けて、前に向けるとそこには、少年が猪に追われていた。全長2メートルの巨大な猪だ。
ア「起きて!!コウガ!!。大変よ!!」
高「ふにゃ・・・飯の時間か?・・・」
ア「寝ボケないで!!。あの子を助けるよ!!」
高「あの子・・・なっ!!」
高雅は前を見て、すぐに状況を掴んだ。
高「草原に猪なんて、しかもデカッ!!。とりあえず行くぞ、アリア」
ア「いつでもいいよ」
高雅はアリアを翼に変え、少年のもとへ飛んだ。
距離は150メートルぐらい。
しかし、今のスピードでは間に合わない。
高「スピード上がらねえのか!?。間に合わねえぞ」
ア「これが全速力よ」
?「うわあああああああ」
ドンッ!!
最悪通りのシナリオになってしまった。
少年は空中に突き飛ばされ、地面に強くうった。
高「ちくしょー、間に合わなかったか」
ア「あの猪、また突進するつもりよ」
猪はまだ懲りてないのかUターンし再び少年へ突進した。
高「これ以上はさせねえ」
高雅は少年と猪の間に着地した。
高「人間を裁くのは、テメーの仕事じゃねえ」
高雅はアリアを金棒に変え、構えた。
そして、距離が無くなった瞬間・・・
バギッ!!
思いっきりぶん殴った。猪は巨大な体格にも関わらず5メートルは吹っ飛んだ。
高「ナイス、ホームランだな」
ア「そんなことより、あの子は?」
高「おっと、そうだったな」
高雅はすぐさま少年のもとへ駆け寄った。
高「おい、大丈夫か!?。しっかりしろ」
返事がない。ただのしかb「それ以上書いたらこの小説を破壊するぞ」・・・自重します。
ア「まだ、心臓は動いているよ」
アリアが少年の胸に手を置き、心臓の状況を確かめた。
高雅も、軽く抱えて頭の後ろなどを確認する。
高「頭とかは打ってないっぽいな。とりあえず、介抱しよう」
ア「あら、人間にしては積極的な行動だね」
高「ガキならまだちゃんとした人間になれるからな」
ア「ふーん・・・あっ、コウガ。この子の手の甲を見て」
高「ん・・・これは・・・」
その少年の手の甲には不思議な紋章のようなものが描かれていた。
それは紛れもなく契約の印だった。
高「これって、契約者ってことだよな?」
ア「うん。じゃあ、この子に使いがいるってことになるね」
高「一体、天国と地獄のどっちだろうな?」
ア「そんなこと、わからない・・・はっ!?、コウガ!!。後ろ!!」
突然、アリアが高雅に注意を促すが、高雅は理解できず・・・
ドガッ!!
高「いっつ・・・」
不意に後頭部を殴られた。
高「だ・・・誰だ・・・」
高雅は後ろを見た。
そこには、金髪の男が立っていた。
?「ほう、まだ意識があるとは中々頑丈だな」
高「く・・・そ・・・」
高雅は痛みに耐えきれなくなったのか、目を閉じて気絶した。
ア「コウガ!!、しっかりして!!」
?「貴様ら、わが契約者に何をした?」
ア「あなたがこの子の使いね。私達はこの子を助けたまでよ」
?「その証拠はどこにあるって言うのか?」
ア「あれを見てよ」
アリアは指を指した。
その方向には猪がのびて倒れていた。
ア「あなたの契約者が猪に追われていたのよ。最悪にも突き飛ばされてしまったけど・・・」
?「本当か?」
ア「本当よ。それで、私達はこの子を助けたのよ」
?「・・・何ーーーーーーーーー!!??」
ア「へ!?」
?「すまない、悪いことをした。この通り!!」
謎の使いはさっきまでの態度とは打って変わってアリアに土下座した。
ア「え・・・あ、わかってくれたならいいです」
アリアはなぜか敬語を使ってしまった。
?「おお、蓮田を助けてくれて、かつ俺っちの悪行を許してくれるとは」
ア「それより、この二人をどうにかしようよ」
?「それなら、ちょちょいのちょいだ。ほーーーら」
すると、謎の使いは手を大きく振った。
その瞬間・・・
高「んん・・・あれ、俺って何で寝てたんだ?」
高雅は目が覚めた。
ア「コウガ!?、頭大丈夫!?」
高「なんかめっちゃ腹立つな、その言葉」
ア「そういう意味じゃなくて、怪我の方よ」
高「ああ、後頭部か・・・ってあれ、全然痛くない」
?「当然だ。俺っちの治療パワーは天下一品だ」
高「ああ!!、この野郎、よくも不意打ちしてくれたな!!」
?「まったまった、ちょっとまてって」
ア「待ってコウガ。この使いは結構いい使いよ」
?「そうだぜ。お前を治療してやったんだぜ」
高「俺を気絶させたのもお前だよな」
?「悪い!!。この通り!!」
謎の使いはまた土下座をした。
高「お前、名前は何だ」
ロ「俺っちの名前はログナ。よろしくな」
ログナが手を伸ばして握手を求めるが、その前に少年が意識を取り戻し始めた。
蓮「う・・・うーん・・・」
ロ「おーー、蓮田。大丈夫か!?」
蓮「あ・・・ログナ、大変だよ」
ロ「何だよ、また自然破壊の奴か?」
蓮「うん。こーーーんなに大きい穴があるんだよ」
蓮田は腕を大きく広げながら表現した。
ロ「それは、早く直さないとな」
高「もしかして、クレーターのことか?」
蓮「わっ!!、お兄ちゃん、誰!?」
蓮田は見知らぬ人間が怖いのか、咄嗟にログナの後ろに隠れた。
高「驚かせてわりいな。俺は崎村高雅。君と同じ契約した者だ」
そう言いながら高雅は自分の手の甲を見せた。
蓮「ああ!!、僕とちょっと違う」
ア「私はアリア。この人の使いよ」
蓮「お姉ちゃんがこのお兄ちゃんの使い?。かわいいね、お姉ちゃん」
ア「ふふ、ありがと」
蓮「あっ、僕の名前は斎藤蓮田だよ」
ロ「よーし、自己紹介が済んだ所で。蓮田、その穴へ案内してくれ」
蓮「うん。こうが兄ちゃん達も来る?」
高「いや、俺達はいい」
ア「えー、せっかくだから見に行こうよ」
高「じゃあ、お前一人で行け。もうすぐ午後になるようだし、さすがに午後の授業は参加しないと欠課が増えるからな」
ロ「なんだ、あんたは学生だったのか?」
高「ああ。昨日、徹夜で地獄の使いと戦ったからちょっと寝てただけだ」
その言葉を聞いた瞬間、ログナは震えた声で高雅に聞いてきた。
ロ「あ・・・あんた、もしかしてラビリンスとかいう奴を倒したのか!?」
高「まあな、力に溺れるザコだったけど」
ロ「すげーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
ログナの声はエコーがかかるほどの叫びだった。
高「うるさいな。落ち着けよ」
ロ「ありがとう、あんたのお陰でここの自然は破壊されないぜ」
高「お前ら、自然保護隊みたいなもんか?」
ロ「まあな。ラビリンスが壊しまくるから俺らが直していたんだ」
ア「ところで、あなたは天国と地獄のどっちの使いなの?」
ロ「おう、俺っちは天国の方だぜ」
蓮「ねえねえ、早く行こうよ」
蓮田が急かすようにログナの袖を引っ張る。
ロ「そうだった。じゃあな、コウガっち」
高「ムカつく呼び名だな。アリアはどうするのか、行くのか?」
ア「授業は私にとってつまらないし、行ってみる。ホテルからそう遠くないし、ログナの力がどんなものか詳しく知りたいし」
高「わかった。じゃあ、また後でな」
高雅はホテルへ行き、蓮田達はクレーターの所へ向かった。