文化祭 一日目 前編
ふと気がつくと、この小説が連載し出して1周年となりました。
だからと言って、何かする気もありません。
ただ、1周年ですねってだけです。
高「悲しーなー」
サクッと飛んで文化祭当日。
アリアは高雅と別行動し、校門の前でレオ達が来るのを待っていた。
ア「おっそいな~。もう、始まってるのにぃ」
本人は平然としているが、一般の人の目を引いている。
それも、男子ばかりの。
フ「お~い、アリアさ・・・じゃなかった、アリア姉様~~~~」
そこにフィーラが手を振りながらアリアに駆け寄る。
その後ろからレオやエクス達もやって来る。
ちなみに、様らか姉様に訂正させたのは高雅によるものだった。
高「今時、様とか殿とか言う奴はいないから、別の敬意で現してくれ。あと、女に対して君付けも少しおかしいから、なるべく変えてくれ」
と、言う事で、様から姉様になったのである。
高雅は微妙に引っ掛かったが、まぁ良しと言うことにしておいた。
他の皆も呼び捨てにしたりと変更していた。
レ「待たせたな、アリアど・・ではない、アリアよ」
ア「全く、遅いよ」
エ「悪かった。ちょっとフィーラちゃんが支度に戸惑ってね」
サ「まぁ、結果的に間にあったようじゃし、良しとしておこうではないか」
ア「全然間にあってないよ!!。もう始まってるよ!!」
五人で色々会話しているだけだが、自然と人の目を引く。
その様子を見かねたフィーラがふと本音を零す。
フ「ほんと、コウガ兄様が言ってた通りです」
レ「仕方ない。人間という者の性だろう」
ア「まぁ、最初から気にしてたら今日は楽しめないよ」
エ「そうだな。今日は楽しむために来たんだ。楽しまなければ意味が無い」
サ「しかし、今、天獣の姿になったら、どんな反応を示すか興味があるのぉ」
ア「そんなことしたら、コウガに殺されるよ。きっと」
そんなこんな話しながらアリア達は学校へと入った。
変わって、高雅のクラス。
A「うし、午前は俺達、羊のターンだ」
高「羊じゃなくて執事だ。王道なボケは止めれ」
A「さぁ、俺のイケメンフェイスを輝かせる瞬間だぜ」
高「聞いてねえし・・・」
高雅はもうどうでもいいと溜息を零した。
ちなみに、高雅のクラスは午前が執事で午後がメイドという仕組みである。
料理は執事の時は女子が、メイドの時は男子が数人ずつ交代でやる仕組みである。
夢「さぁ、開店ですWA。張り切っていきま~~~~~『しょい!!』」
最後の部分だけ、皆(高雅は除く)で声を揃えてる。
高「元気だな。執事喫茶なんて、今時来ねえと思うけど・・・・」
そんな愚痴を零しながら、高雅達の執事喫茶は開店した。
1時間後・・・
A「・・・どうしてこうなった?」
高雅とAが裏で会話していた。
高雅はさぞかし、どうでも良さそうに答えた。
高「当然の結果だ」
結局、来た客は10人程度。
A「な・・何が足りなかったんだ?」
高「今時、執事喫茶なんてアホすぎるし、何より需要が全然ないだろ」
B「お~い、サボらないで客に料理を運んでくれよ」
A「あ・・ああ」
Aは料理を運ぶため、裏から出て行った。
高雅は適当にイスに座り、だらしなく背もたれに寄りかかった。
高「後1時間半で執事喫茶が終わるな。結局、あいつらは来なかったな」
などと、期待していた事を適当に零す。
高「き・・期待とかしてねえし!!」
龍「・・・高雅君?」
高「りゅ・・龍子!?。居たのかよ?」
龍「うん・・・それより・・・入口に・・・誰もいない・・・」
高「おいおい、誰か待機してろよ。ったく、しゃーねぇな」
高雅は重い体を立ち上がらせ、入口の前へ向かい、待機する。
すると、間もなく入口の窓に人影が映った。
高(だりぃ。しかし、一応客だし真面目にやるか)
高雅はスーツを軽く直し姿勢を正す。
ガララッ
扉が開き、誰か確認する。
高「・・・お帰りなさいませ、お譲様、旦那様」
一瞬だけ戸惑った。
だが、平然と成して見せた。
ア「あれ、意外と普通・・・〈ゾクリッ!!〉ひっ!?」
高「では、ご案内します。どうぞこちらへ」
高雅は営業スマイル全開でもてなす。
それと同時に放つ絶大な殺気。
アリア達は冷や汗を吹き出し、固まっていた。
高「どうされました?。どうぞこちらへ」
高雅はあくまで平然にふるまう。
フ「あ・・アリア様、ボク達に明日はあるです?」
ア「ごめん。それ、答えられない・・・」
エ「と・・とにかく、立ち尽くす訳にもいかない。他の客の迷惑になるぞ」
ア「そ・・・そうだね」
アリア達は凍りついた体を無理やり動かし、高雅について行った。
高「こちらでございます。メニューが決まり次第、お呼びください」
高雅は一礼してから裏へと向かう。
アリア達は恐る恐る座り、震えている体を落ち着かせる。
ア「はぁー、怖かった~」
フ「何だか寿命が数十年減ったです」
エ「まさか、あれ程怒るとは。コウガ君は本気で僕らを殺しかねない」
サ「え・・・縁起でもないのぉ」
高「まぁ、死を覚悟して来たんだろ?」
ア「うわぁ!?」
高雅がお盆に水を乗せ、いつも間にか側に立っていた。
全然気付かなかったアリアは思いっきり驚いていた。
高「予想していた通りのリアクションだな」
ア「あは・・あははは・・」
フ「すみません、ボク、プリン!!」
サ「私もそれを頂くかのぉ」
高「はい、プリン二つ」
レ「コーヒーという物を頼む」
エ「僕もそれで」
高「コーヒー二つ」
ア「え・・あれ!?」
アリアを置いて行き、注文をするフィーラ達。
さっきの怯えは何だったとアリアは思い、また焦る。
高「ご注文は以上ですか?」
ア「あ・・えっと・・・私もプリン」
高「はい、かしこまりました」
高雅は一礼して、再び裏へと去っていく。
が、話す間もなく、僅か10秒で戻って来た。
高「お待たせしました」
ア「待つほどの時間じゃなかったけど」
高「取りあえず、さっさと帰れよ。バカみたいに注目浴びてるから」
客達はジッと見ている者もいれば、チラ見している者もいた。
ア「もう慣れたよ、それぐらい。ハムッ・・・」
アリアは周りの視線を無視するようにプリンを一口。
その瞬間、高雅がニヤリと怪しく笑った。
ア「・・ッ!?・・・ぶほぅ!!??」
フ「うわっ!?」
突然、アリアは思いっきり吹き出し、水を一気に飲み干した。
ア「ゲホッ!!、ゴホッ!!、~~~~~~っっっっ!!!!???」
フ「あ・・・アリアお姉様?」
アリアは目尻に涙を含みながら鼻を思いっきり摘まんでいた。
その不可解な行動にフィーラは頭に?を浮かべていた。
ア「うう・・げほっ・・・」
高「ざまぁ」
そう言いながら、最初から用意していた布巾でアリアが吹き出した物を拭きとる。
エ「やり過ぎではないかい?」
高「もう半年も一緒なんだ。こいつだって、こんなことはなるだろうと覚悟していたはずだ」
ア「げほっ・・ごほっ・・・ぅげほっ!!」
サ「こ・・・コウg「ゴホンッ」て・・店員よ。アリアの咳が止まらぬぞ」
高「そりゃ、無味のゼリー5%、着色料2%、ワサビ93%で作ったプリンだからな」
ちなみに、感触、見た目は完璧にプリンです。
口に入れて始めて分かる再現率である。
ア「げほっ・・ごほっごほっ・・・げほっ・・」
レ「アリア、大丈夫か?」
高「ん?、ワサビが少し多過ぎたか?」
フ「少しじゃないです!!。多すぎです!!。ワサビと知らずにスプーン一口はやばいです!!」
ア「げほっ・・ひ・・ひょぉか~・・」
アリアは高雅とは他人の関係にすると言う事を忘れ、助けを求めるように名前を呼ぶ。
とは言っても、呂律が全然回ってないが。
高「こっちみんな」
ア「あひゅけえ~(たすけて~)・・ごほっ」
高「ダメだ」
ア「おねあ、ごほっげほっ・・おねあい~」
レ「いい加減にしたらどうだ?」
高「・・・はぁ、わーったよ」
高雅は一旦裏へと向かい、またすぐに戻って来る。
手にはぬるめのお茶とマヨネーズを握っていた。
高「はい。マヨネーズを食えば鼻ツンは抑えられるぞ。それが嫌ならお茶を使え」
アリアは迷うことなくお茶に手を出した。
ちなみに、今の知識は伊藤さんの家の裏ワザであったものである。
伊藤さん、涙目ですねwww。
ア「・・・・・・・・ぷはぁ、くぅ~~~・・・まだ鼻が痛いよ」
高「分かったから、さっさと帰れ」
高雅は何の悪気もなく、さっきとあまり変わらない言葉を言う。
その態度に、アリアも遂に怒りだす。
ア「コウガ!!。いくらなんでもこれは酷いよ!!」
高「名前で呼ぶな」
ア「今さらだよ!!。もうっ!!」
アリアはそっぽを向き、お茶を啜る。
フ「コウガ兄様、これは本物ですか?」
高「アリア以外のは全部本物だ。安心しろ」
ア「何で・・・私だけ・・」
高「テメーが連れてきたんだろ。なら、全責任はお前にある」
ア「う~」
高「火の粉が降り掛かることぐらい、分かっただろ。それでも、来たってことは、覚悟を決めてたって訳だろ」
ア「本当にしてくるなんて思ってなかったよ。最近のコウガは優しかったし・・・」
高「俺が優しかったら、人間界も天界も楽園も木っ端みじんになくなる」
エ「なら、僕達はどこに住んでいるのだろうか」
高「どういう意味だ?」
高雅がエクスに睨みつけるも、エクスは意味深に笑うだけだった。
高「・・・まぁ、いい。食ったら帰れよ」
高雅はこれ以上長居する訳にはいかないので、伝票を置いて裏へと帰った。
ア「はぁ、偉い目にあったよ」
フ「アリアお姉様、あれはコウガお兄様の照れ隠しです」
レ「あの殺意に満ちた目はそうは感じ取れn〈ガンッ〉いだ!?」
レオが余計な事を言おうとしたところを、フィーラが黙って脛を蹴った。
レオは痛みで一瞬跳ね上がり、目尻に涙を溜めながら蹲りだした。
フ「だから、アリア姉様はコウガ兄様にとって特別に扱ってるです」
ア「その特別がもっと理想的なものが良かったなぁ」
サ「では、ベタベタなコウガはどうじゃ?」
ア「・・・・何かやだ」
エ「クールなコウガ君は?」
ア「それも、や」
フ「熱血なコウガお兄様は?」
ア「やだ」
フ「結局です・・・」
ア「うぐっ・・・」
アリアは何も言い返せず、口ごもってしまう。
その間に、フィーラ達は出されたモノを頂いてゆく。
だが、フィーラ達が食べ(飲み)終えるまでアリアは何も喋る事はなかった。
フ「結局、アリア姉様は今のコウガ兄様が好きってことです」
フィーラが結論を言い渡し、この話題は幕を閉じた。
それと同時に席を立ち、伝票をレジに持っていって勘定を済ませる。
ちなみに、お金は事前に高雅から5千円もらっていた。
アリアが次に向かう所を相談しようとした瞬間、ある生徒が割って入って来た。
X「そこの方々、ぜひ俺様の喫茶店へ」
Xがアリア達に話しかけていた。
ア「?、さっきそこの喫茶店に行ってたのに?」
アリアは高雅のクラスの喫茶店を指差しながら言う。
しかし、Xは甘いなと人差し指を振る。
X「この喫茶店と俺様の喫茶店を比べてみてください。味も見た目も一目瞭然ですから。通りかかったら出いいですから」
そう言って、チラシを渡して別の人へ同じように勧誘する。
ア「んー、どうする?」
フ「行くあてなんて無いですから、軽く覗きにいくです」
ア「そうだね。皆もそれでいい?」
レ「大丈夫だ、問題ない」
エ「僕もいいぞ」
サ「俺様という態度が気に障るが、別に構わぬ」
全員から了承を得り、4人はチラシの場所へと向かい始めた。
チラシに書いてある『執事喫茶』という店へ。