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無双と夢想編 その19、最強の駒

扉の先に進む事数分。

豪華な宮殿とは裏腹に石で造られた、まるで遺跡の様な階段を高雅達は降りていた。

高「まだ、着かねえのかよ?」

サ「徐々に殺気が強くなっておるのを、お主も感じておるじゃろ?」

高「そりゃ、そうだけどよ」

ア「それじゃあさ、速度の力でサクッと行く?」

サ「罠があったら反応できるのか?」

ア「・・・難しいかも」

サ「なら、大人しく歩くのじゃ。この先に奴がおるのは確実じゃから、焦るでない」

結局、文句を言うも、サミダレによって丸く抑えられた。

大人しく階段を下りると、次第に殺気は強くなっていく。

それも、異常なまでに強大に。

高(あれ、セバスってこんなに殺気があったっけ?)

そんなことを思っている内に、遂に念願の終点が見えた。

周りを見渡すと、皆怯えた顔が窺えた。

サ「では・・・行くz「待った」?」

高「全員整列」

サ「?、何がしたいんじゃ」

高「黙って整列しろ」

サミダレは高雅の言う事が分からず、取りあえず言うとおりに整列した。

高「はい、吸って~」

サ「・・・一体何なのじゃ?」

高「いや、お前ら全員、震えてるからな。少しぐらい心を落ち着けたらどうだ?」

サ「・・・・・気付いておったのか?」

高「震度3ぐらいはあったぞ」

ア「さすがにそこまでは無かったよ・・・」

高「いいから吸え」

アリアは苦笑いで指摘した。

ちなみに、アリアも皆が震えている事に気付き、高雅とどうするか意思会話で相談していた。

さらに、アリア自身は震えてはいない。

高「吐いて~・・・はい、後300回」

レ「多過ぎるぞ!!」

フ「そんなにしてる暇などないです!!」

高「へー、意外に怖くないんだなぁ」

高雅は頭を掻きながら笑っていた。

それを見たレオたちは無性に怒りがこみ上げた。

レ「コウガ殿、流石に我も今の言葉は許せぬ」

フ「そんな言葉、よく抜け抜けと言えますね」

次第に強大な殺気を忘れ、レオ達の殺気の方が強くなってゆく

それを感じ取った高雅はニヤリと笑い、扉に手を掛けた。

高「では、レッツゥラゴー」

サ「なっ!?」

皆の震えが完全に消えたのを見計らって高雅は扉を勢いよく開けた。

中は体育館並みにかなり広く、そして薄暗かった。

その先には何をすることもなくセバスチャンが立っていた。

セ「・・・遂にここまで来ましたか」

高「ほんと、やっとだぜ」

高雅は適当な返事をして周りを見渡す。

特にこれと言って何かある訳でもなく、あって、ある物が入ったカプセルが二つ。

高「あれが、フィーラとエクスの心臓か」

セ「そうですよ。あなたが古文書を無くしてから、方法を失ったのですから、これも用済みですね」

高「とか何とか言いながら取っているってことは、実は方法を知っているんじゃねえか?」

セ「どうでしょうね」

セバスチャンは何の動揺もなく、平然と答える。

しかし、高雅は指を突き付けながらこう答えた。

高「お前の事ならあんな古文書を暗記するぐらいや、メモするぐらいはするはず。それが何よりの証拠!!」

ア「どこの探偵になったつもりよ・・・」

セ「・・・クスッ、それを考えていたのならば、どうして早く言わなかったのですか?」

高「早く言おうが遅く言おうが、お前は何か変わった事をする気だったか?」

セ「どうでしょうね」

全く変わらない様子で答え続けるセバスチャン。

これ以上、動揺を誘うのは無理だと思った高雅は剣を取り、単刀直入に言った。

高「んじゃ、その心臓を返せ。そして、お前は消えろ」

セ「随分、酷い事を仰いますね」

高「そうか?。色々巻き込んだ奴には妥当な言葉だと思うけど、な!!」

高雅は問答無用で速度の力を使い、セバスチャンに接近した。

最早、このまま話しあっても無駄だと思ったのだろう。

セバスチャンも腕を槍に変え、高雅を受けて立った。

セ「そう焦るのではありません。あなたの相手は決まっております」

高「?、まだ駒がいたか?」

セ「ええ、私よりも強い、最強の駒が」

セバスチャンがそう告げた途端、天井から殺気を感じ取った。

上を見上げると、こちらにまっすぐ落下している物体が見えた。

高「おっと」

高雅は一旦距離を取って避け、その物体を確認する。

それは地面擦れ擦れで速度を落とし、静かに着地した。

高「・・・?、セバスチャン?」

その姿はセバスチャンと全く同じ姿であった。

高「これが最強の駒?。創造の創り物が?」

フ「違うです!!。本物が持っている物を見るです!!」

高雅は体を横に曲げ、後ろにいる本物のセバスチャンを見た。

すると、その手には円い鏡の様なものを持っているのに気づいた。

フ「あれが『ホープミラー』です!!」

高「ってことは、偽アリアを作ったのは・・・」

セ「私ですよ。では、始めましょうか」

セバスチャンは心臓の入った二つのカプセルと取り、もう一人の自分に渡そうとした。

セ「さあ、これを喰らってさらに力を増幅し、彼らを殺しなさい」

すると、偽セバスチャンは振り返り、心臓を受け取ることもなく、ただ立ちつくした。

セ「・・?、どうしました?」

偽セ「・・・・ロ・・」

セ「はい?」

偽セ「クワセロ!!」


グシャッ!!


セ「グフッ!?」

高「なっ!?」

突然、偽物が本物の腹を素手で貫いた。

その光景に高雅達は唖然としていた。

しかし、手から滑り落ちたカプセルを方向の力でこっちに引き寄せるとちゃっかりしている所もあった。

セ「な・・何故・・・?。言う事を・・・」

偽セ「シャアアアアアアア!!」

偽セバスチャンアは本物の首に噛み付き、そのまま押し倒した。

そして、残酷な食事が始まった。

高「うわぁ、グロ」

フ「うぁ・・・」

ア「どういう・・こと?」

血は噴き出し、地面には大量の血溜まりができあがる。

その光景に目を放せず、唖然としている高雅達。

耐性はあったのか、吐くまではいかなかった。

喰い終わった偽物はすぐに次の獲物を睨みつけた。

高「食い足りねえってか?」

ア「そうみたい」

偽セバスチャンは速度の力を使わずに自分の足でこちらに走ってくる。

またそれが妙に恐ろしかった。

高「レオ、サミダレ、お前らは横から頼む」

レ「分かった」

サ「了解じゃ」

レオとサミダレは言われたとおり二手に分かれ、高雅は真っ向から受けて立った。

偽セバスチャンは腕を槍に変え、高雅に突き刺してきた。

高雅は軽く避けると、すかさず首に目掛けて剣を突き刺した。

高「っ!?、硬っ!?」

もちろん、活性を使った本気の突きである。

しかし、相手は全く力を使っていない雰囲気だった。

高「まさか、元々硬いのか?」

ア「そんな、セバスチャンは老いぼれだよ!!」

高「さらりと酷い事を言うな」

ア「そんなことよりも、次が来るよ!!」

偽セバスチャンは伸ばしてきた高雅の腕を掴み、引き寄せてから噛み付いて来た。

しかし、高雅は顔色一つ変えず、むしろ余裕の笑みを浮かべていた。

高「ったく、暴食野郎だこと」

高雅は噛まれている腕を自分で引き千切り、服の中に隠していた本物の腕を出した。

偽セバスチャンが喰らったのは創り物の腕だ。

高「それ、喰わない方がいいぜ」

そう言った途端、高雅は指を鳴らした。

すると、偽セバスチャンの口から黒い煙が立ち込めた。

その光景を見た高雅はまた驚いた。

高「おいおい、頑丈すぎだろ。かなり強い爆破の力なのに頭が吹っ飛ばないなんて」

ア「これがセイクリッドの力なの?」

高「あいつがそう思って作りだしたのならそうだろ。ただ、異常なまでに強過ぎて、理性が吹き飛んだんだろう」

ア「体が持たなかったんだ・・・」

高「酒と同じだ。飲んでも呑まれるな、だな」

ア「安い例えね」

高「るっせぇ」

高雅は再び接近してくる偽セバスチャンとの距離を取る為、バックステップをする。

高「そろそろ頃合いだろ」

そう思った意思が伝わったのか、後ろからレオとサミダレが接近していた。

偽セバスチャンは完全に高雅に目がいっている。

背中はがら空き状態である。

レ・サ「もらった(のじゃ)」

二人同時に背中を手刀で斬った。

互いにすれ違い、クロスするように。

しかし、背中に傷はついていなかった。

変わりに、二人の手から血が出ていた。

レ「くっ、なんて硬さだ」

サ「これは、凄まじいのぉ」

二人は膝を着き、手の痛さに耐えていた。

高雅は二人の心配をしたかったが、目の前の物体の所為で考えを遮断された。

高「フィーラ、二人の様子を頼む」

フ「了解です」

フィーラは偽セバスチャンの脇を通って後ろに向かおうとした。

だが、予期せぬ事が起こってしまった。


グジュジュ・・ブシャァ!!


フ「きゃうっ!?」

高「はぁ!?」

偽セバスチャンの背中を突き破って第三の腕が現れた。

その手はフィーラを捕まえると、すぐ体の中に戻っていった。

自分の腕で開けた穴は一瞬にして再生した。

それを見ていた高雅が唖然としていて、やっと口を開いた。

高「・・・・・何これ、新手の食事方法?」

ア「そんな呑気な事を言ってる場合じゃないって!!」

偽セ「ウメエエエエエエエエエエエエエエエ」

高「んな大声で感想を述べなくても」

大声を上げていた偽セバスチャンは再び高雅を睨みつけた。

まだ喰い足りてないようだ。

高「取りあえず、フィーラは魂だ。多分、問題は無いはずだ」

ア「でも、早く助けることに変わりないよ」

高雅は剣を強く握り、目を閉じて深呼吸を始めた。

そして、偽セバスチャンを睨みかえした。

闇を纏いながら。

高「最近、これに頼りっぱなしだな」

ア「飲んでも呑まれないでよ」

高「分かってるよ」

高雅は地面をけり、偽セバスチャンの横を通り過ぎていった。

もちろん、その際に何重にも斬りつけていたのだが・・・

高「・・・痛っ」

剣を持っている手が震えていた。

さらに、剣の刃が欠け、そこから血が流れていた。

高「ッ!?、アリア!?」

ア「大丈夫、ちょっと痺れるだけ」

少しばかりアリアの声も普通ではなかった。

結果的に斬るではなく、殴ったのだ。

純粋に斬れるだろうと思っていた二人は衝撃をどうこう考えていなかった為、もろに振動が伝わってきたのだ。

高雅の握力は今のでかなり弱くなってしまった。

偽セバスチャンは何事もなかったかのように振り返る。

高「ちっ、想像以上だな」

偽セバスチャンは隙を探せば無限に湧きでる。

だが、攻撃すればするほど逆にこちらがダメージを受けている。

高「次からは衝撃とかも考えてやるか」

そう思って偽セバスチャンの隙を窺う。

すると、再びあの音が・・・


グジュジュ・・・


何が来るかは想像できる。

そして、その想像通りになる。


ブシャァ!!


血を噴き出しながら有るはずもない腕を出し、それを伸ばす。

しかも、今回は一本ではなく二本も出て来た。

狙いは高雅ではなかった。

高「ッ!?、レオとサミダレか!?」

自分を中心に二手に分かれる所ですぐに判断で来た。

レオとサミダレも自分らに来る事を予想していたのか、すぐに回避に移った。

だが・・・


レ「ッ!?、コウガ殿!!」

レオが血相を変えて叫んだ。

高雅はレオ達を心配していて完全に隙だらけだった。

高「なっ!?」

いつの間にか真後ろについていた偽セバスチャンを見て高雅は絶句する。

いつの間にか、腹からは鋭く尖った骨が飛び出していたのだ。

そして、逃がさないように高雅の肩を掴み・・・


グシャッ!!


そのまま引き寄せた。

完全に、かゆ・・・うま・・・ですね

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