無双と夢想編 その18、第三者
サミダレの後ろをついて行く高雅達。
そのペースはかなり遅く、ただ歩いているだけだ。
早くセバスチャンを見つけたい高雅にとってはつまらなかった。
高「おい、早く行こうぜ。こんなゆっくりしてたら夜が明ける」
サ「なに、もうすぐじゃ」
実はさっきから同じ質問をしているのだが、サミダレはこう答えるだけである。
流石に高雅も納得がいかず、肩を掴んで目を見ていった。
高「いい加減にしろ!!。さっきからそれしか言ってねえぞ!!」
サ「焦るでないぞ。ほれ、もう着いておる」
高「はぁ!?」
高雅は辺りを見るも、壁しか見えない。
高「なぁ、本気で怒るぞ」
サ「待っておれ。今、道を開けてやろう」
サミダレは壁に手を置き、瞑想をし始めた。
すると、壁に魔法陣の様なものが浮き出てきた。
高「ん?」
浮き出たと思いきや、すぐに消え、代わりに壁に亀裂が入った。
サミダレは目を開け、壁を軽く押すと、扉のように開いた。
その先は奥の見えない階段が下に下がっていた。
サ「ほれ、この先が奴がいる場所じゃ」
高「そりゃ、見つからねえわ」
高雅はどこのからくり屋敷だよと、呆れてため息を零した。
フ「・・・?、コウガ様、向こうから何か来るです」
高「ん?」
高雅は向こうがどっちか分からなかったが、不審な音が聞こえていた為、見当はついた。
その方に顔を向けると、全速力でレオがこちらに向かっていた。
高「レオじゃねえか」
レ「こ・・コウガ殿!!」
高「どうした、そんなに焦って?。それに蓮田は?」
レ「蓮田殿は目を離したすきに逸れてしまった。それと、後ろから敵g〈ガキンッ!!〉ッ!?」
金属が打ち合う音が聞こえ、レオは反射的に首を後ろに回すと、エクスの斬撃を高雅が受け止めていた。
高「背後からいきなりとはな。まぁ、敵に背を向けて敗走した奴には当然の攻撃か」
エ「・・・・・・」
高雅は力んでエクスを軽く飛ばして距離を作る。
高「レオ、お前は休んでろ。もうバテバテだろ?」
レ「す・・すまない」
レオは後ろに下がり、高雅はエクス(敵)を睨みつける。
高「既に本人から了承は来ている。殺しても文句は言わないってな」
エ「・・・・・・・」
軽く脅して動揺させるつもりだったが、眉ひとつ動かさない。
高「ほんと、とんだポーカーフェイスだな」
エクスは高雅の話に飽きたのか、剣をその場で振り上げた。
高雅はその行動がどういう意味か分からなかったが、レオは一瞬で理解した。
レ「まずい!!。コウガ殿、地震が来るぞ!!」
高「地震?」
高雅が理解するよりも早く、エクスは剣を振り下ろした。
その瞬間、高雅は倒れ、立つことができなくなった。
高「うわああ!?、何だこの揺れは!?」
ア「と・・止められない!?」
アリアは静寂を使って止めようとするも、揺れは一向に治まらない。
その隙にエクスは一瞬で距離を詰める。
高「なっ!?、こんな揺れの中で立てるのかよ!?」
ア「危ない、攻撃が来るよ!!」
エクスは容赦なく剣を突いて来た。
高雅は揺れの中、何とか横に転がり、回避した。
しかし、エクスは突き刺さった剣をそのまま横に切り上げた。
高「いっ!?」
腹を斬られ、声を殺して耐える。
アリアがすぐさま再生するも、やはり何らかの力が込められていたのか、完治はしなかった。
ア「コウガ、大丈夫!?」
高「あ・・ああ」
平気そうに答えるも、顔色はかなり青かった。
少し前にも巨人に殴られたのだが、何故かそれよりも痛みが強かった。
高雅は斬られた腹を擦りながら、そう思う。
しかし、そんなことを思っている場合ではないと気付き、考えるのを止める。
高(っと、それより、この揺れをどうにかしねえとな)
エクスは既に次の攻撃に移っていた。
高雅は方向の力を使い、空中に浮き上がった。
だが、それだけでこの揺れが回避できる訳ではなかった。
高「げっ!?、視界が揺れてる!?」
自分が揺れるのは回避できたが、まだ周りが激しく揺れている為、視界が激しく揺れる。
見てるだけで吐き気に襲われるが、そんな中でもエクスは高雅に攻撃をしていた。
高雅は何とかエクスの攻撃を防ぐも、揺れる視界で目が回り始めていた。
高「あ゛~、そろそろ限界が」
ア「コウガ!!、しっかりして!!」
倒れかけた高雅にすかさず攻撃を繰り出すエクス。
高雅は殆ど感覚だけで攻撃を防いでいた。
ア「意識が半分飛んでいるのに攻撃を防ぐなんて・・・」
高「あ゛~~~~~~~・・・」
高雅の目はグルグル回る視界しか見えてない。
体を動かしているのは無意識の世界である。
フ「・・・いい加減に気付いてほしいです」
フィーラがそう言うと、高雅に夢幻を掛け、揺れていない幻覚を見せた。
高「お?、揺れがとま・・・う・・o《★自主規制★》」
ア「きゃあああああああああああ、汚いよ!!」
高「すんません・・・」
フ「と言うか、自分でも夢幻ができるのですから、自分でやって欲しいです」
高「そうですね、何で気付かなかったんだろうなぁ~・・・うう、また吐き気が」
あはは、と笑いながらも必死に嘔吐を耐える高雅。
ちなみに、その間にエクスは何もしていなかった訳ではない。
距離を取って大剣にエネルギーを溜めていたのだ。
だが、そんなのお構いなしに高雅は深呼吸をして落ち着いていた。
高「スーハー・・・スーハー・・・」
ア「大丈夫?」
高「うい・・・落ち着きました」
ア「じゃあ、次はあれをどうにかしよ」
高「そうですね、今にも飛んできs〈ドォォオオオオオオオ〉キタアアアアア!?」
エクスは廊下いっぱいのレーザーを放った。
高「・・・とっ、焦ってる暇などないか」
エ「気をつけな。あれ、虚無も含まれてるぞ」
高「マジ?」
ひょっこりと現れたエクス(味方)の助言を聞き、少し動揺する。
エ「こうなったら、完全に力比べだ。お前の虚無か、俺の虚無のどっちかが勝つだけだ」
高「なら、こっちは盾で対抗してやる」
高雅は即席で盾を作って真っ向から受け止める。
静寂や消失、破壊、もちろん虚無も含んだ自称最強の盾である。
これも廊下いっぱいの大きさでエクス(敵)の姿さえ見えなくなった。
そして、互いの全力がぶつかり合った。
高「んがっ、重てぇ」
ア「さすがに・・・溜めてただけはあるね」
踏ん張って懸命に持ちこたえる高雅とアリア。
様々な力を込めているが、全く消せる雰囲気が無かった。
エ「お前が止めなきゃ誰がやるんだぁ!!!」
高「ネタ、パクるな!!」
そんな指摘をしながらもちゃんとレーザーを抑えていた。
しかし、さっきの事もあってか、もう体力が限界に近付いていた。
高「くそっ・・・こうなったら」
このままでは負けてしまうのを悟った高雅は目を瞑り、呼吸を整え出した。
そして、次に目を開けた時は闇を纏っていた。
高「うぉぉらああああああああああ!!」
闇の力も加わった盾は黒く染まり始めていた。
ア「コウガ、それ以上は!!」
高「分かってる。だがな、突破されると後ろの奴らも巻き込んでしまうんだよ!!」
高雅は限界まで闇に染まる。
そして、遂にエクスのレーザーを消した。
ア「やったぁ!!」
高「ふぅ・・・あぐっ!?」
突然、高雅が頭を抱えて蹲りだした。
アリアはすぐに静寂を掛けて落ち着かせるが、そんな大胆な隙をエクス(敵)が逃す訳ない。
フ「コウガ様!!、来てるです来てるです!!」
高「くそっ・・・」
高雅はまだ落ち着いてない。
エクスは一寸の狂いもなく高雅の首に剣を振り下ろす。
高雅は覚悟を決めて目を瞑るがいつまでたっても首が切れえる感じが無かった。
一応、首を斬られる経験ならしている為、感覚は知っていた。
高「あれ?」
恐る恐る目を開けると、レオが白刃取りして受け止めていた。
レ「コウガ殿、大丈夫か?」
高「ああ。時間稼ぎ、ありがとな!!」
高雅はレオの脇を通り抜けてエクスの首を掴んだ。
エ「・・・・!?」
高「そのまま寝てろ!!」
高雅はエクスをそのまま地面に叩きつけた。
さらに動けないように静寂を込める。
しかし、その中でもエクスは普通にあがいていた。
高「この、大人しくしやがれ!!」
最早、活性を使って力ずくで止めていた。
エ「おい、俺を本体に入れろ!!」
高「はぁ!?。それで、お前はどうなんだよ!?」
エ「さぁな。だが、意識が戻れば止める事が出来るんじゃねえか?」
高「ちょっと待て。こいつは心臓を抜かれた、言わば人形みたいなもんだぞ。どうやって意識を持つ気か!?」
エ「知らねえよ。まぁ、自分の体は自分でどうにかするって。それに、後でお前が心臓を持ってきてくれればいだろ?」
高「・・・・ったく、死んだりするなよ」
エ「やばくなったら、また魂になっとく」
高「んじゃ、行って来い!!」
高雅はエクス(味方)を掴むと、そのまま本体に押し込んだ。
すると、今まで暴れていたのが嘘のように収まり、そのまま意識が無くなった。
高「どうなるか分からねえが、信じてやるよ」
ア「エクスはどうするの?」
高「このままにしておこう。もう、相手に手駒は無いんだ。心配はないだろう」
ア「そうだね」
高雅は回れ右をして皆と向き合うと、レオが不思議そうな顔をしていた。
高「?、どした、レオ?」
レ「いや・・今、エクスと言わなかったか?」
高「ああ、言ったけど・・・あっ、お前、エクスの顔知らなかったのか?」
レ「何か見覚えがあったと思っておったが、まさかエクスだったとは・・・」
高「今さら復讐心が湧いたか?」
レ「・・・今さら湧きはしない。それに、湧いたとしても、コウガ殿達が止めるであろう」
高「そりゃな」
高雅は軽く笑って言った。
それを見たレオは鼻で笑い、最早、何も語るまいと話を止めた。
高「それじゃ、そろそろ大ボスの部屋に行きますか」
それを聞いた途端、皆の目付きが変わった。
皆の緊張した顔を見た高雅は自分もシャキッとしなければと頬を軽く叩いて目を覚まさせた。
そして、階段を下りて行った。
変わって、宮殿内のどこか。
そこには、ある二人組が話し合いをしていた。
?「・・・スハァー、全く、どこに居るんだ?」
煙草を吹かしながらもう一つの影に問う。
?「こんなことになってるなんて、天国はどうなってるの?」
?「さあな。ずっとセイクリッドに居たんだ。天国を見る暇なんて無かっただろう」
?「まぁ、そうだったけど・・・」
すると、その二人に近寄るもう一つの影が現れた。
その背中には、蓮田を背負っていた。
?「おっ、戻ったか。で、そいつはどうした?」
?「廊下の片隅で寝てたんだ。ほっとくのも何だと思ったから連れてきた」
?「そうかい。それで、収集は?」
?「これだけ」
?「・・・ハァー、使えない息子だ」
?「っんだと!?」
?「お?、やんのか?」
?「上等だ!!。親父をぶっ殺してやる」
?「あらあら、私の目の前で喧嘩をするなんて・・・」
すると、一つの影から物凄い殺気を纏ったオーラが放たれた。
それを見た二つの影は一瞬で冷や汗をかき始めた。
?「ま・・待て。ジョークだよジョーク。なっ?」
?「そ・・そうだよ母さん。ちょっとしたコミュニケーションだって」
?「そう。なら、次やったら・・・・分かるわよね?」
?・?「sir,yes,sir!!!」
?「よろしい。じゃ、早く探すわよ」
?・?「sir,yes,sir!!!」
三つの影はどこかへと歩き出した。
今回、使用させてもらったネタは龍玉でございます。
後は自分で元ネタを探してくださいませ。