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無双と夢想編 その13、潜む闇

辺り構わず踏みつぶし、ただ歩き続ける巨人の目の前に高雅が立ち塞がった。

高雅は巨人の額に手を置いた。

それだけで、巨人が歩むのを止めた。

高「寝てろ、デカ物」

そのまま思いっきり押すと、巨体は後ろに傾き、多量の砂塵を浮かせて倒れた。

タネを言うと、静寂で止めて活性の力で思いっきり押したのだ。

レ「さすが、コウガ殿だ」

ロ「すげぇ。ありゃ、驚くぜ」

蓮「こうが兄ちゃん、力持ちだね」

高雅がやるから簡単に見えるが、巨人を倒すにはそれ相当の活性の力がいる。

多分、Aの全力でようやく倒せるのだが、高雅は顔色一つ変えずに片手で押し倒したのだ。

高「それにしても、ほんとアルテマに似てるな」

ア「そうだね。殺気とか一緒だよね」

高「兄弟か?」

ア「まっさか~」

グダグダと喋っていると、砂塵の中から黒い塊が高雅に向けて飛んで来た。

高雅は横に光速で移動して避けて塊を過ごしたが、塊は急停止して再び高雅に向かって飛んで来た。

高「ホーミング式か。うざいな」

ア「でも、なんら問題ないよね」

アリアの言う通り、高雅は塊に剣を刺し、粉々に粉砕した。

消失で無力化した後に破壊したのだ。

エ「お前は強いな。正直、ガーディアンにでもなって欲しいな」

高「生憎、俺はそんな面倒くさそうなのはゴメンだ」

エ「自由が生み出す最強の力ってか、おもしれえ」

高「それより、あいつの情報は何かねえのか?」

エ「さあな。天魔獣でけた破壊の力の所持者しか分からねえな」

高「そうかい。まあ、どうにかなるだろう」

ア「コウガ、敵が動き出したよ」

地面では既に砂塵が殆ど止み、巨人の姿があらわになりつつあった。

巨人は高雅を睨みつけ、殺気を放出していた。

高雅も負けずと殺気で迎え撃っている。

その光景は見るだけで迫力があった。

レ「両者に隙が無い。これは、下手に向かうと、かえって邪魔になるかもしれん」

ロ「サポート オンリーでいいんじゃね?」

レ「そうだな」

レオ達は戦いに出ず、高雅の援護に回った。

レオ達が後ろに回った瞬間、高雅はそれを見ていたかのように動きだし、巨人に斬りかかった。

巨人は散々レオ達が何をしても興味が無かったのに、高雅にだけは警戒していた。

高「そらぁ!!」

活性をフルに使った強斬り。

巨人は静寂状態にも関わらずに腕を動かし、それを受け止めた。

刃は数センチしか刻めず、ダメージは微小なものになった。

だが、高雅は離れずに刺した剣を蹴って奥に喰い込ませる。

巨人は高雅の謎の行動に察したのか腕を振って高雅を吹き飛ばそうとした。

しかし、その時には剣はかなり奥まで喰い込み、高雅はもう片方の剣を使って、繋がっている紐を伸縮させて着地した。

高雅は剣を通して刺さっている剣に力を送り込み始めた。

巨人に悟られないように慎重に。

高「て・ん・かっと」

そう呟いた途端、巨人の腕が大爆発を起こした。

アルテマ戦と同じ戦術である。

内部に爆破の力を溜め、中から破壊する方法である。

アルテマ戦の時よりも、高雅の中では一年間戦闘経験を積んでいる為、力の蓄積が早かった。

高「これで結構なダメージを与えただろう」

爆破の力で吹き飛んだ片方の剣を紐を縮小して手元に戻しつつ、巨人の様子をうかがった。

巨人の片腕は取れ、地面に転がっていた。

ロ「コウガっち、一つお得情報。俺っちがあいつの再生能力をストップさせたから、どんな小さなダメージでも永遠に残るぞ」

高「そいつは、ありがてぇな」

レ「コウガ殿、チャンスだ。一気に止めを!!」

高「早まるな。まだまだ相手はピンピンしてるさ」

レ「そ・・そうなのか!?」

エ「よく見ろよ。あいつ、笑ってんだぜ」

レ「何ッ!?」

エクスに言われ、レオは巨人の顔を窺った。

確かに、声を上げては無いが口がつり上がり、笑顔になっているのは確かだった。

高「不気味な奴だな」

ア「ただのドMだったり?」

高・エ「それはない」

ア「ですよね。ははは・・・」

すると、巨人は何事もなかったかのように起き上がり、高雅を睨みつけた。

高「あれ、静寂が切れたか?」

ア「そんな!?。かなり強かったはずだよ。普通は1週間は動けなくなる程なのに」

高「巨人だから効き目が弱かったんだろう。取りあえず、次で決めるぞ」

高雅は巨人の顔面前に光速移動し、剣を構えた。

だが、巨人は今までにない速度で後ろに少し跳んだ。

高「なっ!?。速くなった!?」

巨人はすぐにカウンターのパンチを繰り出してきた。

これも、目には見えない速さである。

だが、高雅は活性と消失の力で真っ向から受け止めた。

受ける衝撃をで消して無ければ、衝撃だけで骨が粒子に変わるぐらい砕けていただろう。

高「こいつ、変わった!?」

巨「変わった?。戻ったの間違いだ」

今まで口を開けなかった巨人が口を開け、普通に話しだした。

ア「しゃ・・喋った!?」

巨「普段は言葉を隠していたが、貴様の力に賞して本気で向かおうと思ったのだ」

高「あっそ。本気も何も、俺との力の差を見て勝てる見込みがあるのか?」

巨「ある。強力な魂を喰らったわしは本気を出せば先程の10倍はあるぞ」

高「強力な魂?・・・オリアの事か?」

巨「そうだ。あの小娘の魂を喰らうことによってわしは存在できる。それも、長時間な」

ア「アルテマと似ている。やっぱり、アルテマと関係が・・・」

巨「さっきから言っているアルテマとやらはわしの創りだした一部だ」

高「マジかよ、どおりで似ている訳だ。でも、似ていようが俺が勝つことに関係ないな」

巨「ならば、感じるがいい。わしの本当の殺気を」

巨人がそう告げた瞬間、辺り一帯がグラッと揺れた。

それも、殺気だけでだ。

高「ッ!?」

ア「ひっ!?」

レ「あぐっ!?」

ロ「うっ!?」

蓮「・・・?」

さすがの高雅も目を丸くして驚き、体が震えだしていた。

レオ達は感じ取っただけで気絶してしまった。

気絶していないのは高雅と蓮田とエクスだけだった。

高「おい・・おい、アリア!!」

蓮「えっ!?、どうしちゃったの、皆!?」

高雅が呼びかけるもアリアは返事をせず、蓮田は周りの人が倒れ、混乱していた。

エ「まずい。戦況が引っくり返ったな」

巨「どうした?。さっきまでの威勢はどこに行ったのだ?」

高「こいつ・・・やべぇ・・・」

巨「それなりに経験を積んでいたようだが、未熟すぎだな。それでも、戦うか?」

高「当たり前だ!!。やらなきゃ、どうせ死ぬんだしよ」

巨「そうか。なら、わしも容赦はしない」

巨人はすぐに腕を再生し、再び殺気を纏わせた。

ログナが気絶した為、再生を操れなくなったのである。

高(とは言ったものの、アリアが起きなきゃ力が使えないし、まずいな・・・)

エ「アリアが起きるまで逃げるんだな。それしかない」

高「情けねえがそうだな」

巨「誰と話しておる?。恐怖で幻覚でも見えているのか?」

高「まっさか~。ちんちくりんな殺気を受けて余裕を出してるだけだ」

巨「ほお、体が震えておるのに粋がるか。なら、二度とそんな減らず口を叩けなくしてやるわ」

巨人は拳を作り、高雅に向けた放った。

高雅は横に飛んで避けたが、巨人はすぐさま次の拳を振るった。

力が使えない高雅はそれをもろに喰らってしまった。

高「いぎっ!?」

余りの痛さに奇声を発してしまう。

高雅は数十メートル吹き飛ばされ、地面に転がり、ピクリとも動かなくなった。

巨「所詮、この程度か・・・わしの力と打倒に渡り合える奴はおらんのか?」

蓮「こうが・・・兄ちゃん・・・」

巨「?・・そこの小僧」

蓮「ぼ・・僕?」

巨「そうだ。貴様はわしの殺気を受けて気絶しないとは、できる奴ではないのか?」

蓮「で・・出来るって何が?」

巨「惚けておるのか?。あんまり、わしを怒らせるt〈グラッ〉!?」

突然感じた新たな殺気。

それも、自分と同じぐらい強大なものだ。

巨「な・・何だ!?」

すぐにその殺気の方を見ると、殺気倒したはずの高雅が起き上がっていた。

周りには黒いオーラを放ちながら、さっきの自分と同じように笑っていた。

高「ヒヒヒヒ・・・ハハハハ・・・」

巨「貴様、致死量のダメージを与えたはずだぞ」

高「チシリョウ?。ナニソレ?。カンケイ ネーシ」

巨「何だと!?」

高「サテ、サッサト オキロ、アリア」

高雅が剣を強く握ると、突然、黒い電気が出てきた。

ア「きゃあああああああ!?」

高「オキタカ。サッサト チカラ ヲ カセ」

ア「え!?、コウガ?」

アリアはすぐに高雅の異様な雰囲気を感じ取った。

それに気付いた高雅はアリアを睨みつけ、また黒い電撃を出した。

ア「きゃあああああああ!?」

高「ダマッテ イウコト キケ」

ア「だ・・誰!?。あなたは・・・コウガじゃ・・ない!!」

高「オレ ハ コウガダ。ソレ イガイ ニ ダレダッテ イウンダ?」

ア「コウガな訳が無い。今すぐ鎮めてやる!!」

アリアは静寂の力を使って高雅を鎮めようとするが、全くいつもの高雅に戻らない。

それどころか、高雅はニヤリと笑い、余裕を見せていた。

ア「なっ、どうして!?」

高「ハナスダケ ムダダ。モウ、コノカラダ ハ オレ ノ モノダ」

巨「どういう訳が分からないが、まだ、わしと戦うつもりか?」

高「ア?」

高雅が首だけを動かして巨人を睨む。

巨「ッ!?」

巨人は一瞬だけ怯えて後ずさりをした。

その瞬間だった。


・・・スタン


巨「!?」

いつの間にか高雅が巨人の後ろにいた。

そして、その剣には血が付いていた。

巨「・・あれ?」

突然、視界が傾き始めた。

何が起こったのかは全く分からない。

ただ、理解できず崩れ落ちていく。

すると、右目と左目の視界が滅茶苦茶になっていた。

それでやっと理解した。


自分が細切れになっている事を。


高「ハイ、オシマイ」

高雅が指を鳴らした瞬間、巨人が崩れ落ちてた。

巨人は叫ぶ事が出来ず、そのままバラバラなり、絶命した。

高「ハン、ヨワイナ」

蓮「すごーい。全然見えなかったよ」

高「ナンダ、キサマ?。オレ ガ コワク ナイ ノカ?」

ア「待って、レンタ君に手を出さないで!!」

高「ハ?。ソンナノ オレ ノ カッテダシ」

ア「いいから止めて!!」

高「シラネエヨ」

高雅は蓮田に向けて黒い電撃を飛ばした。

とても蓮田には見切れない速さだ。

しかし、その電撃は蓮田に当たらず、後ろに倒れているログナに当たった。

ロ「うぎゃあああああああああああああ!?」

ア・蓮「ログナッ!?」

ログナは一瞬で黒焦げになり、また気絶した。

ア「よくもログナを!!」

高「ハン、カンケイ ナイナ。オレ ガ カンケイ スル ノハ 『コロシ』 ダケダ」

ア「もう、許さない!!」

アリアは剣から人間の姿になり、腕を剣に変えて高雅に向けた。

ア「気絶させて元のコウガに戻す!!」

高「ムリダナ。モト ノ オレ ハ ゼツダイ ナ ダメージ ヲ ニナッテイル。ソレニ、オレヘ ノ コウゲキ ハ スベテ モト ノ オレ ガ ウケル」

ア「そんな・・・嘘だよ」

高「ゲン ニ ホネ ガ クダケ チッテイル ノニ タッテ イル ジャネエカ」

ア「え・・・嘘」

高「ホントウダ。オレハ 『コロシ』 シカ カンケイナイ カラナ」

ア「じゃあ、今、元に戻ったら・・・」

高「コイツ ハ シヌ」

アリアは絶句し、剣を下ろした。

そして、すぐに高雅の骨を再生しようとした。

しかし、高雅の骨が再生した感じがしなかった。

ア「どうして!?。どうして再生しないの!?」

高「ザンネン。コレ ノ オカゲデ チカラ ハ キキマセン ヨー」

そう言って首にぶら下げているネックレスを見せびらかす。

楽園の賜物である選別の飾りである。

ア「そんな」

高「モット アソンデ カラ モドシテ ヤルヨ。ソレマd・・ウグッ!?」

突然、高雅が頭を抱えてうずくまった。

ア「コウガ!?」

高「クッソ・・・コイツ、モウ・・・ダガッ!!」

高雅はまた黒いオーラを放ち始めた。

完全に隙だらけの高雅を見て、アリアは動き出した。

ア「もらい」

高「!?、シマッタ!!」

アリアは高雅が持っていた選別の飾りを奪い取った。

そして、すぐに静寂と再生の力を掛けた。

高「クソッ!!」

ア「コウガ!!、戻ってきてコウガ!!」

アリアは高雅の肩を掴んで必死に呼びかける。

高雅はアリアを振り払えず、必死にもがいていた。

ア「コウガ、コウガ!!」

アリアは必死で高雅を呼び続ける。

次第に高雅の動きが鈍くなり、遂に動きが止まった

そのまま高雅は倒れていき、アリアの胸の中に落ちた。

ア「ひゃっ!?、コウガ!?///」

死んだように倒れていったが、高雅はすやすやと寝息を立てて眠っていた。

蓮「こうが兄ちゃん、大丈夫?」

ア「うん。寝てるみたいだから、そっとしておこうね」

蓮「わかった」

そう言うと、アリアは持っていた選別の飾りを高雅につけ直した。

レ「ん・・・んぐ・・何が起きたのだ?」

ア「あっ、レオ君起きたみたいだね」

レ「アリア殿・・・?、コウガ殿はどうしたのだ?」

ア「ちょっと色々とね」

高「・・・んん・・・?、柔らかい?・・って!?///」

目を覚ました高雅は一瞬で状況を理解し、アリアから飛び退いた。

ア「あっ、起きたみたい」

高「テメッ、何やってたんだよ!?///」

ア「?・・あっ、まさか私の胸を枕に寝てた事?」

高「ッ!?・・・・この野郎。こっちは必死で意識を取り戻そうとしてたのに、やましい事をしてたのか?」

ア「ち・・違うよ!!。ただ支えてただけだよ!!」

高「言い訳するな!!。一発殴らせろ!!」

ア「嫌だよ!!」

アリアは速度の力を使って高雅から離れた。

高「この野郎!!、逃げるんじゃねえ!!」

高雅は勝ち目が無いと分かっていてもアリアを追い続けた。

この騒動が落ち着くまで時間が掛かったのは言うまでもなかった。

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