彼女の過去6
私は、流行の感染病にかかった。
かなり感染対策には気を遣っていたので相当ショックだった。
職場から感染者が出ていたが、その人とは二言ほどマスクをして換気した部屋で話した程度。
感染程度は不明だった。
陽性になった後、彼に連絡をいれた。
保健所からの連絡を待っても来なかったので自宅療養開始した。
部屋も別々換気もした。
療養途中胸の痛みが強くなり呼吸苦も強く受け入れてくれる病院を電話で探したが、見つからず救急車を呼んだ。
それ以降は、保健所に直接電話しホテル療養をすることになった。
私の症状はこんな感じだった。
37'8度以下の熱
咳
鼻水
のどの痛み
だるさ
呼吸苦
胸の痛さ
この中で、呼吸苦と胸の痛さは服用していた薬が原因かなと思っている。主治医は何も言わなかったけど、主治医の意見でこの薬を留めたら症状が徐々に落ち着いた。
その代わり、この薬は生理痛を和らげる薬だったので情緒面が悪化、睡眠もとれず、急に来る不安感や絶望感に泣くことが増えた。
死にたいと思うことも増えた。
ご飯はほぼ食べれなくなっていた。
無理して食べると吐き気がひどかった。
白髪も心なしか増え、頬もこけてきた。
ホテルの窓からは隣接する建物の壁しか見えず、外の景色が恋しく感じた。
無料の心の電話サービスをしたこともあったがほとんどつながらなかった。
思考力は徐々に落ちていった。
そして、療育終了し家に戻った。
家の片付けをしようとしたが、すぐ疲れてしまった。
「もう疲れた」
ぽつりと言葉が漏れ涙が止まらなくなった。
職場にはこの状態で行くと利用者のけがや事故につながる可能性を考えて正直に今の状態を伝えて当分の休みをもらった。
彼は、帰ってきた私を変わらず愛してくれた。
優しい言葉をたくさんかけてくれた。
以前は心が温かくなり嬉しかった。
でも今は、ほとんど心が動かなくなり、”好き”という感情はあるのにそうなってしまったことに絶望を感じていた。
「ごめんね」が気がつくと口癖になっていた。
鏡を見て表情がない自分の顔にショックで涙が溢れた。
寝付きは悪くなる一方で、心の状態も悪くなっている感じがした。
行きつけのクリニックに行くと心療内科を進められた。
心療内科は、どこもいっぱいで予約はすぐには取れずはやくて取れたのが2週間後だった。




