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【コミカライズ連載スタート&1巻発売中】「門番やってろ」と言われ15年、突っ立ってる間に俺の魔力が9999(最強)に育ってました【Web版】  作者: まさキチ
第5章 バロルとの戦い

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099 魔眼のバロル8:指輪のヒビ

 バロルが左手を上げる。

 金の指輪が輝き、傷が癒えていく。

 すべての傷がふさがると、ピシリという音が響いた。

 よく見ると、指輪にヒビが入っている。


「あと一回で指輪は壊れるよ」

「思っていたより、余裕だな」


 バロルはその巨体ゆえ、腕を振るうだけで致死的な攻撃になる。

 だが、その身体を全然使いこなせてない。

 その動きは幼児さながら、ぎこちない。


 『紅の牙』やディズ並の戦闘センスがあれば、一方的にあしらえる。

 これならなんとかなるんじゃ――そう思ったのだが、そんなに甘くはなかった。


 バロルは首を左右に傾ける――。


 ゴキリゴキリと骨の鳴る音。

 大木がへし折られたような大音量。


 そして――ニッと嗤う。


 バロルの気配が変わった。


「なんか、ヤバそうだな」

「さっきとは違うのう」

「ええ」

「うむ」


 『紅の牙』の面々もそれを感じ取ったようだ。


「あと、ひと踏ん張り。そこまでやってくれたら、私とロイルでなんとかするよっ」

「おっけー、全力でかかるぞっ!」


 ヴォルクの掛け声に『紅の牙』は再度、バロルに挑む――。


「サンディ……だい、じょぶ?」

「はいっ、師匠が守ってくれたおかげですっ。でも、こっちは……」


 サンディは切り札の準備をしていた。

 強力な反面、時間がかかる準備だ。


 だが、それも、さっきバロルが倒れた振動で中断されてしまった。


「もう一回、最初からやり直しです」

「がん、ばって……今度は……ちゃんと…………守る」

「はいっ!」


『――【絶対不可侵オムニノ・ノモレスト・遷移空間(トランジ・ロゥクス)】』


 俺とサンディを包み込むように、強力な魔力障壁を張る。

 もう、アイツにはジャマさせない。


 サンディが集中に入ったのを確認し、俺は戦況を観察する。

 視認だけではなく、【世界を覆う見えざる手ムンドゥス・コゥヴェ・インヴィジ・マヌス】によって魔力の流れも感知する。


 やはり、バロルの魔力量は膨大だ。

 俺も規格外らしいが、俺の何十倍か、見当もつかないほどの濃密な魔力だ。

 そして、気配を変えたのと同じくして、全身をまとう魔力の流れがスムーズになった。


 その結果――。


 バロルが暴れ始めた。

 つたない幼子の動きではない。

 しっかりと身体の使い方を把握した動きだ。


 武術の達人とまではいかないが、先ほどまでとは別レベル。

 振るわれる拳に、蹴りつける足。

 『紅の牙』は押され始めた――。


 上体を沈め、標的に向かって正確に振りぬく一撃。


「ちッ!」


 ヴォルクはカウンターを諦め、咄嗟に横に跳ぶ。

 ギリギリで回避できたと思ったヴォルクだが、小指がわずかにかすったようだ。

 ヴォルクの【絶対不可侵オムニノ・ノモレスト・遷移空間(トランジ・ロゥクス)】がごそっと削られる。


 空中でバランスを崩したヴォルクに反対の拳が迫る――。

 ヴォルクは必死に身体をひねる。


『――必撃入魂ッ!!!』


 ナイスタイミングでオルソのモーニングスターがバロルのくるぶしを強打する。

 バロルはほぼ揺るがない。

 だが、それでも、ほんの僅か、拳の軌道がそれた。


 その結果――ヴォルクは回避に成功。


 無事に着地し、反動をつけてから、再び跳び上がる。

 そこにバロルが腕を払う。

 直撃はしなかったが、その風圧だけで、ヴォルクは飛ばされる。


 バロルの攻撃はさらに続く。

 後ろに回りこんだオルソたちに向かって、無造作に足が払われる。

 咄嗟にオルソが前に出て大盾を構えるが、巨大な足は物ともせず、盾ごとオルソを蹴り飛ばす。

 オルソにかけていた障壁は一撃で砕け散った。


『――【絶対不可侵オムニノ・ノモレスト・遷移空間(トランジ・ロゥクス)】』


 俺はすぐにオルソに障壁を張り直す。

 同時にラカルティが回復魔法をかける。

 オルソのおかげで後ろの三人は無傷だ。


 ディズ、ルナール、ラカルティがバロルの足を狙う。

 だが、今のバロルは小刻みにステップして、狙いを定めさせない。


「手数を増やすしかないわね」


 三人は連続攻撃に切り替えた。

 ルナールとラカルティーは連発できる魔法を絶え間なく放つ。

 命中率は上がるが、その分与えるダメージは少なくなる。


 ディズもヴォルクと連携して、前後から挟撃するが、なかなか、確定打を入れられない。

 オルソは魔法職二人を守るので精一杯だ。


 お互い、致命的な一撃は与えられない。

 だが、バロルの攻撃がかするたび、【絶対不可侵オムニノ・ノモレスト・遷移空間(トランジ・ロゥクス)】は削られ、そして、破られる。


 形勢はバロル有利。

 俺たちは消耗戦を強いられる。


 厳しい時間が始まった――。

次回――『魔眼のバロル9:獣化』


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