057 派遣隊
遅くなってしまいましたm(_ _)m
連載再開です。
魔動車は速く、快適だった。
通常の馬車の何倍もの速度なのに、全然揺れがない。
馬車だとサラクンまで三日間だが、ペルスの話では、昼前にはウルドの森に着くとのこと。
魔動車は前方が御者台のようになっていて、騎士がひとり見たこともない機械をいじりながら、魔動車を操っている。
魔動車には彼を含め8人。定員いっぱいだ。
騎士は物静かな男だった。
背中で語るとは、この男のためにある。
同じ無口であっても、まともにしゃべれない俺とは違い、必要なことばしか述べず、そのことばには重みがともなっている。
そういう男だ。
渋くて、カッコいい。
俺も彼みたいな騎士になりたかったんだよな……。
男の背中に過去を思い出し、少し感傷的になる。
残りの7人の内訳は俺とディズ、そして、魔術師のサンディ。
後は、『紅の牙』の4人だ。
『紅の牙』は全員が獣人の血を継いでいる。
「にしても、お前たち二人が来たとたんに、レアなイベントがふたつも続くとはなあ。偶然にしては出来過ぎだぜ」
リーダーのヴォルクは狼人。
赤毛を風になびかせながら、誰に聞かせるでもなく言葉を吐く。
これから大仕事が控えているとは思えないほど落ち着いている。
「あながち偶然ではないかもしれないわ」
ヴォルクの言葉に反応したのは、『紅の牙』の紅一点、狐人の女性ルナールだ。
くすんだ灰色のローブを着ていても、その美貌は隠し切れない。
フードはかぶっていないので、頭の上の狐耳が風の流れを楽しむようにピコピコと動いている。
「ん? どういうことだ」
「ふふふっ」
ヴォルクの問いかけに、当のルナールは俺を見て微笑む。
彼女の視線につられ、皆の視線が俺に集まる。
「ロイルがなんか関係してるのか?」
「さあ、ただの女の勘よ」
「また、いつもの女の勘かよ」
「だが、ルナールの勘はいつも当たるからのう」
二人のやり取りに口を挟んできたのは、熊人の男性オルソ。
『紅の牙』の守備の要、盾職の男だ。
巨体を震わせるようにガハハと大笑する。
昨日、顔合わせしたときにどこかで見たことがある顔だと思ったら、ギルド解体場で働くウルスと双子だった。
顔立ちといい、その巨体といい、瓜ふたつだ。
「それに、ロイル殿のことは俺も気になっておる。実際のところ、どうなんだ?」
「うっ……」
どう答えよう……。
俺が言い淀んでいると――。
「詮索はやめるべきだ」
助け舟を出してくれたのは、リザードマンの男ラサルティ。
カラフルな民族衣装をまとい、顔にはもつれあった傷痕。
今まで会話に加わらず、外に視線を向けたままの彼が、短く低い声を発した。
「まあ、そうだな。ラサルティの言う通りだな」
「ロイル殿、すまなかった」
「ロイルくん、ごめんね」
三人はそれ以上追求してこなかった。
ちらりとこちらに視線を向けたラサルティに感謝の気持を込めて頭を下げる。
彼は小さく頷くと、また、外の風景に視線を戻し、沈黙を再開した。
次回――『サンディ(上)』




