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いよいよ VSウェザリア王国 スタートです!

「ハヤテ、これからゴミ山に行くんだけど一緒に来る?」


あの授業から2週間、九条に外界の様子を調べてもらってゴミ処理が行われるのはそろそろじゃないかと結論が出た。


1階のドアを開け、大声で問いかけると優雅にお茶していたハヤテはにっこりとうなずいた。


「わーい! 友達とお出掛け、ワクワクしちゃうね~!」


ゴミ処理を想定してのものだとわかっているだろうに、明るさの衣を脱ぎ捨てる気はないらしい。

ゴミ山に向かって通りを歩きながら、ハヤテが会話を導いていく。


「じゃ、行こっか! あれ、キラちゃん怪我してるね。 大丈夫?」


「ダイジョブ」


キラの怪我は雷帝につけられたものだが、話を聞くに向こうは本気でなかったんだろう。

もしもの時のために手は打っていたとはいえ、雷帝は短気なきらいがあるので、もうこんな無茶はやめてほしい。


キラのことは信頼しているが、予想出来ない部分も多いため、できる限り多くの策を講じておかなければ。


「ゴミ山って曇天街来たときに横目でちらっと確認しただけなんだけど、曇天街の住人はちょこちょこ行くものなの?」

「私は、外れに住んで、たから、たまに行ってたヨ。ルイは、外れ行くのこの前が初めてだって……」

「うん。実はゴミ山に行ったことないんだよね」

「へ~! ルイ君は絶対その目で確認してると思ってたのに」


確かに確認すべきではあった。

ただ、俺を疎んでいる人間は多く、中心部を離れるリスクを考えれば、ゴミ山に行くことは得策ではなかったのだ。それに、ゴミ処理は気づいた時には終わっていて、リアルタイムでの情報獲得は難しかった。九条に頼めば可能だったろうが、知ったところでどうにもできないとわかっていたからあえて頼まなかった。


「まあいろいろと、事情があってね。ところで、キラはゴミ処理を見たことある?」

「あるヨ。でも、2年前のときはねえ様が、家を出るなって言った、から、見てないヨ」


ほお。……となると、悪い予感がするな。

これから先の展開を想像し、口角が自然とあがる。


「ハハッ! 楽しそうだね、ルイ君!」

「いや、なに。楽しいゲームだと思ってさ」

「ゲームって、なに、が?」

「ふふ、それはあとのお楽しみだよ」


不確定要素の洗いだしと事態へ介入する存在の推察。

それらを頭の中で展開しながら、未来に起こる出来事を組み立ててゆく。


(うん、鍵はロエお姉さまだな)


ある程度まで未来を絞り込むためには、ロエお姉さまに接触する必要があると、そんな確信を抱いた。


(まったく、あの人の影響力は大きすぎる)



**********************



ニマニマと楽しそうに思案しているルイを横目に、ハヤテが話しかけてくる。


「ゴミ処理っていつもどのくらいの被害が出るの?」


そういえばハヤテはルイに『ウェザリアの国民はゴミ処理が行われていることを知らない』と話していた。となると、どういう風にゴミ処理が行われ、どれだけの被害が出るのか、なにひとつわかっていないってことだ。


ちなみに、この前の授業内容は私の耳にも届いていた。

難しい会話も多かったけれど、ルイが怒っていることだけははっきりとわかった。声に怒りが滲み出ていたから。


曇天街が贄とか、王家の力がどうのとか、私にはよくわからなかったけれど、ルイが怒るなら私も怒る。


「ゴミ山は一部の住人に、とって、生命線だから。ゴミ山で、食料とか漁ってる人、たちが、たくさん巻き込まれる、の」


「それって人ごと処理されちゃうってこと?」


「大きな車で、ガッてやるから、人とゴミの区別は、されてない、みたい」


「ふーん」


曇天街と外界の狭間にある門は大型の車が通れるほど大きい。

そこから何台も車が入ってきて、ゴミ山のゴミを一気にさらっていくのだ。


ナイフや剣で重機に敵うわけもなく、巻き込まれた者はみな為す術なく死んでいく。


ルイはそんな状況を憂いているようだが、いくらルイが強いとはいえ、あの重機相手にどう立ち回るつもりなんだろう。


不安に思っているうち、ルイから声がかかった。


「キラ、ロエお姉さまに接触したいんだけどいいかな?」


なるほど、ルイはねえ様の協力を仰ぐつもりなのか。

ねえ様は外れに味方も多いし、なんなら門番とも仲がいいから確かに力になってくれるかもしれない。


「いい、よ」


ねえ様のことはいまだに苦手だし、怖いとも感じている。

でも、ルイが側にいてくれるなら安心できるし、ねえ様が私のことを好きでいてくれていることもわかってる。


第一、ルイがねえ様を必要としているなら反対できるわけがない。


私が賛成の意を示せば、ルイは微笑みながら頭を撫でてくれた。

そこにハヤテから不満そうな声があがる。


「ロエお姉さまってだあれ?」


私がルイに頭を撫でられたことに嫉妬しているのか、それとも自分の知らない話が進んでいくのか面白くなかったのか。


「私の、ねえ様」

「へぇ! キラちゃんってお姉さんいるんだ!」

「……うん」

「ははあん、つまり、ルイ君と同棲するためにお姉さんから離れたわけだねぇ?」


……いや、違うけど。ってゆーか同居だけど。

そういえば、ねえ様も私達のこと同棲だって決めつけてたね。


「ハヤテ、ロエお姉さまはなかなかの曲者だから、覚悟しときなよ」

「えっ、なにそれ怖い~」


否定も肯定もせず、ルイはハヤテをからかうのだった。ねえ様もそうだけど、こういう人は否定しても信じないからね。ルイはそういうとこよくわかってる。



***********************



ハヤテは「怖い」と言いながらも欠片として怖いと思っていないのがわかる。


図太すぎて恐ろしいほどだ。


でも、キラが懐いているのだから、悪い人間じゃないことは確かなんだろう。

それに、まあ、授業は丁寧でわかりやすかったし、、そもそも友達だし信じてはみたい。


ふう、キラは信じると決めたら何があっても疑わない人なので、その性質が羨ましく思える。


「……ルイ、どした、の?」

「いや、キラは眩しいなと思ってね」

「えっと?」

「ハハッ! 僕からしたら2人とも眩しいから大丈夫だよ!」


ハヤテがニマニマ笑い、キラは首をかしげる。

毒気を抜かれるとはこのことだ。


そんなこんなでロエお姉さまの拠点に到着した。


「よし、着いた。2人とも準備はいいかい?」

「うん」

「いいよ~」


ふっと息を吐き、ドアをノックする。


カチャリ


「あら! 妹ちゃん久しぶり! どうぞ入って~」


相変わらず天真爛漫な明るさで、ロエお姉さまが迎え入れてくれた。


さあ、ゲームの始まりだ。


王国を相手どるためには、まず準備!

そのための鍵は


キラの姉であり、

四天王たるクラウドのボスの協力者であり、

ルイと同じく情報に重きを置く頭脳派、


ロエお姉さま☆

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