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雷帝の怒り爆発!ルイはどうする?
雷帝は仲間を殺された怒りに全身を帯電させ、座っていた椅子から立ち上がる。
(冷静であってくれよ)
そう願うが、この電気の量からしてすでに怒りは最高潮だ。
「シロサギィ!!それはさすがに許せねぇぞっ!」
光が増し、雷帝の姿が認識できなくなる。
その眩しさに薄目を開ければ、光の塊が猛烈なスピードでこちらに迫ってくる。
バチバチっ
(んっ!)
だが、その光は俺の目の前で止まり、バチっという音と共に離散した。
「おい、何してやがるぅ」
それは、俺の前にフィール先生が現れたからだった。
手を広げ俺をかばうように立つ。
「落ち着いてよ、雷帝。シロサギはあんたの仲間を殺してないから」
「今、目の前で殺したろうがぁ」
「だから違うんだってば」
「何が違うんだ、あぁ?」
フィール先生は少し震える声で、雷帝と対峙する。
「今、シロサギは心臓の脇を狙って刺したの。だからすぐ処置すれば全員助かるわ」
「…助かるの、か?」
「そうよ、だから収めて」
フィール先生の説得に雷帝は怒りを静め、浮き上がっていた髪も落ち着く。
それにホッとしてすぐさま、フィール先生は俺が刺したやつらの治療を始めた。
俺は至近距離で雷帝と向き合う。
雷帝は一瞬、こちらに目を合わせ、すぐにフィール先生の方を視線で追った。
「雷帝、俺は確かにこの前あんたの仲間を殺した。その事実は変わらない。…だが、俺は間違ったことをしたとは思わない。俺の思う曇天街のためだった」
雷帝はフィール先生の治療を覗いていたが、その言葉に俺の目を見る。
「そうか、、」
ポツリと呟くと雷帝は踵を返した。
そして、数歩歩いてからこちらを振り返り、
「治療費はお前の負担な、それでチャラだ」
いつもの嘲るような態度ではなく、はっきりと四天王らしい威厳をもって告げた。
「わかった」
俺はそれに安心し、軽く頭を下げた。
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雷帝がルイに迫ったとき、私はなにも反応できなかった。
その威圧に身体が固まった。
拳を握りしめ歯を食い縛る。
(悔しい、悔しい、悔しい)
そして今、雷帝に頭を下げるルイを見て、その想いは強くなった。まるでルイが情けをかけられたみたいな構図だ。
雷帝が元いた椅子に座り、場の緊張がわずかにほどける。
ルイは、フィール先生に話しかける。
「フィール先生、ありがとうございます」
フィール先生は治療の手を緩めないまま会話に応じる。
「昨日頼まれたから来ただけよ」
「ふふ、でも俺をかばってくれたでしょう?かっこよかったですよ」
「あんたはお得意様だから、サービスしただけ」
「それは、、ありがとうございます」
そういえば昨日フィール先生に「明日お願いします」と言っていたが、まさかここまで予想していたということなのか。
「曇天街にフィール先生がいてくれて本当によかった。相変わらず、治療の正確さは流石ですね」
「あんたも、相変わらずきれいに刺すわね。こんな芸当あんたにしかできないでしょうよ」
「なんとなくですよ」
「それなら私もなんとなくよ」
「そんな馬鹿な」
「その台詞、そっくりそのままあんたに返すわ」
ルイはふっと笑って肩をすくめた。
フィール先生は消毒液をジャバジャバかけ、傷口を縫合していく。内臓が傷ついてないなら表面の傷を縫合するだけで事足りるということなのだろう。さっきのフィール先生の言葉から察するにルイは心臓をきれいに避けて刺したらしい。
まもなく、フィール先生の処置が終わる。
「よし、これで大丈夫なはずよ。安静にしてればじきよくなるわ」
まとめ役の男が礼を言っている。
「フィール先生、治療費です」
ルイは金貨を20枚も手渡した。
フィール先生は受け取った体勢のまま動かず、ルイをじっと見つめる。
「今回危険なことをさせた詫びもかねて」
ルイが付け足すと
「なら遠慮なくもらっておくわ」
フィール先生はほくほくと笑った。
それから、金貨をポーチにしまうと腰に手をあて、真面目な顔でルイをいさめる。
「それにしても、こういう無茶はもうやめてよね」
「無茶でしたか?」
「そりゃ、もしシロサギに何かあったら均衡が崩れちゃうし」
「ふふ。無事に事を収められる計算があってのことですよ」
「だけど…」
「俺の武器は計算を含めこの頭脳ですから、ね?」
「はいはい、わかりましたよ。でも、だったら四天王同士の争いに私を巻き込まない計算をしてほしかったわ」
(!!)
私は一瞬驚いて、でもすぐに納得する。ルイが強者であることはわかっていたことで、四天王でなきゃおかしいのだ。だってルイは四天王のことを『他の追随を許さない4人の強者』と言ったのだから。
「ルイ、四天王だったんだ、ね」
「うん、そうだよ。…キラ、、ごめんね。守りきれなかった。四天王同士ではあるけどやっぱり雷帝は最強なんだ」
ルイは私が雷帝の殺気に、威圧にあてられたことを自分のせいだと考えているようだ。
「ルイ、私はルイに守られたいわけじゃない。私がルイを守りたいんだヨ」
ルイの目を見て告げれば、少し目を見開かれるのがわかった。
「でも、私なにもできなかっ、た。くやし、い」
口をすぼめて不満をあらわにすれば、ルイはふっと笑って私の髪をすいてきた。
「キラ、俺はキラのその想いだけで十分だ。キラが隣にいてくれるなら俺はなんだって出来るよ」
あんまり愛しげに見つめてくるものだから、私は思わず目をそらした。
白鷺類は四天王の一角!ということが明らかになりました~
そりゃ強いわけだわ




