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フィール先生との邂逅がもたらすものとは!?

フィール先生は私の頬から手を離し、そのまま腰にあてる。


そして、ルイに向かって

「今回は治療してないしお金はいいわ」

くすぐったそうに笑った。


「でも、絆創膏…」

「いいのよ、在庫消費できてむしろありがたいくらいだし」

「でも、わざわざ来てもらっちゃいましたし」

「それはまあ、サービスってことで」


フィール先生はどうあってもお金を受け取る気がないらしい。

ルイの方が折れる。


「…じゃあお言葉に甘えますね」

「ええ」


フィール先生はどこか嬉しそうだ。


それから私の方を向いて、さっきルイが使っていた赤い玉を2つ渡してきた。


「キラちゃん、これからよろしく」

「…ハイ」


くれるのはありがたいのだが私はそれを入れる場所を持たないので、手で持っておく。

するとめざとくルイに気づかれた。


「そっか。キラはポーチとか持ってないんだったね」

「ウン」

「明日、くま商店に買いにいこうか」

「…ソウだね」


いらないとは言わず、素直にルイに従っておく。


それからルイはフィール先生の方を向き、いつもの穏やかな調子で

「じゃ、フィール先生、()()よろしくお願いします」

そう言った。


(…?)


これまでルイは、私と明日くま商店に行く、という話をしていたはずだ。

それなのになぜフィール先生の名前が出てくるのか、私にはわからなかった。


しかし、フィール先生の方を見れば呆れたように笑っている。

ルイの言った意味が理解できているらしい。


「では、その死体の処理も任せますね」

「ええ、任せて」


ルイはその言葉に満足そうにうなずいた。


(…死体の処理?)

私はこれまで死体など放置したことしかないので処理というのもわからない。もうさっきから疑問しかない。

しかし、うかがうようにルイを見ても、なにも教えてくれなかった。ただ、なにか企んでいることだけはわかる。


気にはなるが、ルイに教える気がないのならどうしようもない。

そのうちわかるときもくるだろう。

私は考えるのを放棄した。




―次の日。

私達はくま商店に向かって歩いていた。


「ルイ、ひとつ聞いてもいい?」

「いいよ。何?」

「…フィール先生って弱いよね」


そう、昨日からずっと不思議だったことだ。

フィール先生は見るからに弱そうだった。だけど、救急箱のなかには消毒液や絆創膏、薬までありとあらゆるもの貴重なものが揃っていて、それはこの曇天街において「どうぞ襲ってください」と言っているようなものだ。

だから、あの状況でなぜ無事でいられるのか甚だ疑問だった。


「ふふ、さすがキラ」

ルイは楽しそうに笑う。

「?」

「キラの見立て通り、フィール先生は弱いよ」

「だよね…」


「うん。だから…誰かが守ってあげないとね♪」

「…?」


(誰かが守る…?)


「…えっと、ルイがまもって、るの?」

「ああなるほど。そうとったか」


どうやら違うらしい。


「…じゃあ守るって?」


素直に聞いてみたが、ルイは答える気がないらしい。

そのままくま商店に着いてしまった。



**************************



フィール先生が弱いのになぜ曇天街で生きていられるのか。キラの疑問はもっともだ。

答えてもよかったが、しかし、放っておいてもすぐにわかることなので、あえて教えないでおく。


(さて、どのタイミングでくるかな。ポーチが無事買えるといいけど)



くま商店に入ると

「おう!小僧に嬢ちゃん。いらっしゃい!」

いつも通り快活な声に迎えられた。

キラのことは()()()()と呼ぶことにしたらしい。

隣のキラをうかがっても嫌そうにしていないのでそのままスルーする。


「今日はキラのためのポーチを買いにきたんだ。いいのあるかな?」


俺が問うとクマは怪訝そうな顔をする。


「珍しいな。いつもはテキトーに店内物色するだろう」


確かにいつもは掘り出し物に出会える可能性を考慮して、何か欲しいものが決まっていても、とりあえず店内を一周している。


「うーん、今日はちょっと急いでるから」

「そうなのか?」

「ああ」

「ならちょっと待っとけ。嬢ちゃんに合いそうなポーチ持ってくる」


急いでるならと納得してくれたらしい。

くま商店は日々、売ってる品物も配置も変わるので、クマが持ってきてくれるのは素直にありがたい。


キラは急いでいるという俺の言葉に驚いたらしく、こちらを凝視していた。その視線には気づかないふりをする。



程なくしてクマが戻ってきた。

手にはいくつかポーチを抱えている。

女の子らしさを重視してくれたらしいピンクやら水玉模様やらのものもあれば、茶色や白の落ち着いたものもある。


「うん、どれもかわいい。キラ、好きなの選んだら」

さすがは商人たるクマの見立て。どれを選んでもキラに似合いそうだったので、選択はキラに任せることにした。




キラが選んでいると、ぞろぞろと機嫌の悪そうな集団が店に入ってきた。全員が紫の服を着ている。雷帝の子分達だ。

(全部で7人か…)


猛烈な敵意を向けてきているため、呼応するようにキラも敵意全開だ。

だが、さすがにクマの店で戦うわけにはいかない。



「キラ、ポーチ選んでて」

俺は努めて穏やかにそう告げた。

それはクマへの誠意でもあった。

クマは店にいる客には優しく、客に手を出す者を許さない。だから、あくまでも俺達は客であると示しておくことで、もしものときに味方してもらえるはずだ。


キラも警戒はしたままだが、受け入れてはくれたらしい。ポーチ選びに戻る。

クマはとりあえず傍観の姿勢をとるようだ。ありがたい。



俺は雷帝の子分達に向き合い、嘲るように笑う。


「てめぇ、シロサギ!」

その挑発に1人がのってナイフを向けてくるが、1人がそれを止める。

「やめろ!敵わねぇよ」


どうやらこの止めた1人が集団のまとめ役らしい。

とりあえず話しは通じそうな相手だ。


そのまとめ役が切り出す。

「シロサギ、雷帝が呼んでる。一緒に来てくれ」


(やっぱりきたか)

曇天街最強たる雷帝のお誘いに、俺はほくそ笑んだ。


ついに来ちゃいました、、

曇天街最強に喧嘩を売ったそのツケが((( ;゜Д゜)))

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