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【WEB版】異世界に召喚されなかったから、現実世界にダンジョンを作ってやりたい放題  作者: 日富美信吾


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50/81

50:相棒をついに復活させてみた


 どれだけ熱して叩いても、ミスリルは塊のまま。


 決してその形が変わることはなかった。


「さすがは異世界金属だな」


 田助が呟いていれば、


「って感心してる場合じゃないっすよ!?」


 六巻(ろくまき)が叫んだ。


「どうするっすか!? このままだと今回の話はなかったことになって……ああああああああああああああ!」


 頭を抱えて絶叫する。


「お、おい、六巻、どうした!? 傷は深くて致命傷だが、しっかりしろ!」


「それだと自分、死ぬっすよね!?」


「お、それだけ元気よくツッコミを入れられるなら命に別状はないみたいだな。ふう、やれやれ、脅かすなよ」


「そもそも自分、最初から致命傷なんて負ってないっす!」


 言われてみれば確かに。


「なら、なんでいきなり叫びだしたんだよ。驚くだろ? 俺の心臓が危うく驚きすぎて止まるところだったんだからな?」


「そ、それは大変っす! こ、こういう時は……そうっす! 177っす!」


 六巻がスマホを取り出す。


「それ、気象庁が最新の気象情報をお届けする電話サービスな?」


「なら、118っす!」


「惜しい! それは海上保安庁への通報だ! 覚えておくと海上で事件や事故に巻き込まれた時に捗るぞ?」


「……山田さん、妙なことに詳しいっすね?」


「いやあ照れるな」


「別に褒めてないので照れることないっす。むしろ意味がわからないっす」


「おい。マジトーンやめろ。ちょっとしたジョークだよ。わかるだろ……!?」


「自分、そういうジョークに疎くて」


 こいつ、マジトーンのまま言いやがって……!


「ごほんげほん」


「咳払いで誤魔化したっすね?」


 うるさい。


「話を戻すぞ。……六巻、どうしていきなり叫びだした? なんか理由があるんだろ?」


「……山田さんには関係ない話っす」


「うん、それもそうだな。じゃ、俺は帰るな」


 田助が立ち上がって、シュタッ!! と手を上げると、六巻が腰に抱きついてくる。


 固い。


 汗臭い。


 野郎に抱きつかれてもまったくうれしくない。


「というかイヤマジもう無理ってレベルでめちゃくちゃ汗(くせ)えじゃねえか!? 離れろ! はーなーれーろー!」


「ちょっと待って欲しいっす! そこは『そんなこと言うなよ!』って言うところっす!」


 とりあえず解放されたが、六巻の話は続いていた。


「そうは言うけど、マジで俺には関係ない話っぽいし、なら聞く必要もないかなーって」


「山田さん、ひどいっす! ちょっとした冗談じゃないっすか!」


「俺、そういう冗談に疎くて」


 田助がマジトーンで切り返せば、


「そう切り替えされるとは……! っす!」


 六巻が衝撃を受けていた。


 いや、衝撃を受ける理由がわからない。


「なんてな」


「なんだ、冗談っすか」


「いや、マジだよ?」


「ちょ、そこは冗談だって切り返すのがお約束っす!」


 そんなお約束は知りません。


「まったく。お前のせいで話がちっとも進まないじゃないか。ほら、さっさと話せよ」


「進まなくさせているのは山田さんっす!」


 そうとも言うかもしれない。


 だが、すべては六巻が素材をクンカクンカしたり、ぺろぺろしたりする変態だからいけないのだ。


「実は……」


 と、六巻が切り出したのは、六巻の身の上話だった。




「なんでこんなことになってるっすかぁぁあああ……!」


 六巻の叫び声が廃病院ダンジョンにこだまする。


「それを一から説明するとおよそ百年はかかるんだが……」


 と田助が腕を組んで言えば、


「そんなわけないっす! せいぜい10分ぐらいっす!」


 と六巻が言うので、せいぜい10分ぐらいでまとめると、こんな感じになる。


 六巻の身の上話は要約すると、こんな感じだった。


 六巻の家は代々続く刀鍛冶の家なのだが、みんながみんな趣味に生きているような人だった。


 そのため、ご先祖様が残してくれた財産を使い潰し、家計は赤字の火の車。


 このままだと仕事場である工房すら差し押さえられてしまうらしい。


 そんな時、田助から報酬に糸目は付けないと刀の修復を依頼され、ぼったくろうと思ったんだとか。


 ぼったくるとか言っちゃうあたり人がいいのか悪いのか。


 まあ、実際に断ち切り丸が修復できるのなら、いくらでも支払うつもりではあった。


 だが、断ち切り丸の修復が難しいとなると、いよいよ後がなくなってしまう。


 そこでダンジョンだ。


 ……いや、まあ、いきなりそんなことを言われても呆気にとられるだけだろう。


 実はミスリルを鍛えることができないんだがと、異世界のことに詳しいウェネフに聞いたのだ。


 そうしたら、


『鍛冶師のレベルが足りていないんだと思うの』


 という答えだった。


 何でも知人の鍛冶師に聞いた話では、ミスリルを武器や防具に加工するには最低でもレベル50に達しないといけないらしい。


 六巻を鑑定した結果がこれだ。


――――――――――――

名前:六巻伍郎

性別:男

年齢:24歳1ヶ月

職業:鍛冶師

レベル:1

HP 14

MP 9

力  12

体力 11

知力 15

俊敏 10

器用 13

運  10

スキル:武器作成

    防具作成

    鑑定(素材限定)

備 考:変態紳士

――――――――――――


 田助のレベル1の時より、能力値に恵まれている。


 あと地味に武器作成とかかっこいいじゃないかと田助は思った。


 だが、防具作成の文字だけが灰色に見えるのはなぜだろうか。


 スキルは神の恩寵だとウェネフが言っていた。


 なので田助がウェネフに聞こうとしたら、


『何でよ!? 私に聞きなさいよ! それはね、才能はあるけど、まだ開花してない状態を示しているのよ! わかった!?』


 とシャルハラートが勝手に教えてくれた。


 それに素材限定とはいえ、鑑定を持っているのもなかなか。


 素材好きが高じてクンカクンカしたり、ペロペロしたりすることで手に入れたのだろう。


 備考の変態紳士は見なかったことにした。


 さて話が盛大に逸れたが、現時点で六巻はレベル1。


 だが、レベル50になればミスリルを扱うことができるようになる。


 つまり、田助の依頼をちゃんとこなせるようになるのである。


「俺、あの時、聞いたよな? 仕事を受けるためにダンジョンでレベルアップするかって。で、六巻、お前、何て答えた?」


「や、やるって言ったっす」


 そうなのだ。


 だから今、六巻はここにいる。


「なら、なんでモンスターを倒さないんだよ?」


「簡単に言わないで欲しいっす! あんなの倒せるわけないっす! 何っすかあれは!?」


「スケルトンキングだが? ……というかだな。お前が血を見るのは恐いというから、相手にスケルトンを選んだんだぞ?」


「その配慮にはものすごーく感謝してるっす! でもなんで初っぱなからキングが相手になるっすか!?」


「俺がレベルを上げまくったせいで、このダンジョンのレベルも上がったんだ。最高だよな!」


 田助がハイタッチを求めて掲げた手を六巻がたたき落とす。


「最低っす!」


 どうやら田助と六巻は一生わかり合えない間柄であることが判明した瞬間だった。


「ほら、早く倒せよ。倒さないとレベル50にならないだろ?」


 ちなみに六巻には以前異世界ストアで購入した光属性の聖剣を渡してある。


 振る度に、ヴォォォン! となる、カッコイイあれだ。


 防具もいろいろ試す中で購入し、アイテムボックスに死蔵されていたものを提供済みである。


「わ、わかったっす! やってやるっすよ!」


 六巻が剣を振るう。


 会心の一撃!


 六巻の剣は空気に100のダメージを与えた。


 つまり当たらなかったのである。


 その後も何度も繰り返すものの、六巻の攻撃はいっこうに当たらない。


 どうやら致命的に攻撃のセンスがないようだ。


「山田さん、どうすればいいっすか!?」


「仕方ねえなぁ」


 田助はアイテムボックスから、ある武器を取り出して六巻に渡した。


「こ、これは……………………………………水鉄砲?」


 100均で購入したものだ。


「山田さん、さては自分をからかってるっすね!?」


「落ち着け、六巻。その水鉄砲の中身は手水舎の水だ」


 田助は手水舎の水がアンデッドモンスターにどれだけ有効であるかを、六巻に説いた。


 半信半疑で六巻がスケルトンキングを水鉄砲で撃てば、


「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA……!」


 スケルトンキングはあっさりと消滅した。


「こんなのがあるなら最初から渡して欲しかったっす!」


「バッカお前! それじゃあダンジョンを堪能できねえだろ!?」


「このダンジョン脳、最悪っす!」


 田助には最高の褒め言葉である。




 その後、手水舎の水の入った水鉄砲でアンデッドモンスターを倒し続けてレベル50になった六巻。


 無事にミスリルを鍛えることができるようになり、断ち切り丸を復活させた。


 田助は生まれ変わった断ち切り丸をアンファに見せて、


「た~!」


 ようやく以前と変わらない、とても愛らしい笑顔を取り戻すことができたのである。

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