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【WEB版】異世界に召喚されなかったから、現実世界にダンジョンを作ってやりたい放題  作者: 日富美信吾


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48/81

48:相棒を復活させる算段を探してみた

本作を評価してくださった方が1000人を越えました。

評価してくださった皆様、ありがとうございます。


 粉々に砕け散った断ち切り丸は、欠片一つ残さず、すべて田助のアイテムボックスに収納された。


 相棒を失った喪失感は田助自身驚くほど大きかった。


 文字どおりダンジョンでの苦楽をともにしてきたからだろう。


 だが、ある意味、それ以上にショックを受けている者がいた。


 アンファである。




 廃病院ダンジョン、その住宅部分。


 田助はアンファを腕の中に抱きしめ、言った。


「アンファが気にすることじゃない。さっきから何度もそう言っているだろ?」


「たー……」


 いつもならこうやって抱きしめるだけで、アンファは真っ赤になった顔をぷにぷにの手で隠してもじもじ照れるのだ。


 だが、今は違う。


 田助がそうやっても、しょんぼりと落ち込んでしまっている。


 田助が断ち切り丸を失ったのは自分のせいだと、そう言って。


 タブレット端末を手に入れ、調子に乗ってダンジョンをバージョンアップしたりしなければ、こんなことにはならなかったと。


「タブレット端末を買ったのは俺だし、ダンジョンがバージョンアップして俺はうれしかった。だからアンファが気にすることじゃないんだ」


 何度も繰り返して言うことで、最後はようやくわかってくれたみたいな感じになった。


 だがそれも、田助がアンファのことを気にしているから、それを気にさせないようにしようという配慮からだった。


 アンファ、気配りができすぎる幼児である。




 これ以上、元気のないアンファを見たくなかった田助は新しい相棒を見つけることにした。


 とりあえず異世界ストアを検索して、強そうな武器――魔剣、聖剣などなどを片っ端から購入。


 実際に使ってみた。


 結果はどれも微妙。


 中には明らかに断ち切り丸より強いものもあった。


 たとえば光属性の聖剣とか。


 剣を振る度に光って、ヴォォォン! とかなる感じは、まるで星の戦いのライトなセイバーを彷彿とさせて、田助の中二心を激しくくすぐった。


「けど、しっくりこないっていうか、最終的にこれじゃない感を覚えるんだよなぁ……」


 ダンジョンの中でモンスター相手に試し切りをしていた田助が呟く。


「なら、断ち切り丸? だっけ。それを何とかすればいいじゃない」


 そう言ったのは同行していたウェネフである。


 衣子(きぬこ)とポチにはアンファと一緒にいてもらって、アンファを少しでも励ましてもらっている。


 シャルハラートも残っているが、まあ、役には立たないだろう。


 何せ駄女神だし。


 田助はウェネフの言葉に肩をすくめる。


「それができれば一番だけど、それができないから困ってるわけで」


「なんで? 鍛冶師に見せれば何とかなるかもしれないでしょ?」


「……………………今、何て?」


「だから鍛冶師に見せれば――」


 田助はウェネフに最後まで言わせなかった。


「それだ!」


 どうして今まで気づかなかったのだろう。


 相棒である武器が壊れて、新しい命を吹き込まれて復活するのはお約束ではないか。


「俺としたことがすっかり忘れてた! 思い出させてくれてありがとな、ウェネフ!」


 ウェネフの手を取り、ぶんぶんと大きく振る。


「ちょ、ちょっと、痛いんだけど?」


「あ、悪い」


「……き、気をつけて」


 そういうウェネフは田助が離した手にそっと自分の手を重ねて頬を赤くした。


 だが、断ち切り丸を復活させることで頭がいっぱいの田助は、そんなウェネフの様子にまったく気づいていなかった。




 ダンジョンから戻ってきた田助は、さっそくスマホで断ち切り丸を直せそうなところを調べてみた。


「刀……刀鍛冶?」


 というわけで、刀を作っているところに片っ端から連絡を入れていく。


 いろんな理由で断られる中、一軒だけ、会って話を聞いてくれるというところがあったので、次の日、訪れた。


 未だにアンファは落ち込んだままで、早く元気になって欲しい。


 で、翌日。


 田助は話を聞いてくれるという刀鍛冶の元へやってきた。


 田助よりも若い、20代後半のむさ苦しい男だった。


 頭にはタオルを巻いている。


 体格はごつく、一見したところゴリラに見えなくもない。


「どうもっす、六巻(ろくまき)伍郎っす」


「山田です」


 軽く自己紹介してから、さっそく田助は断ち切り丸を取り出した。


 もちろんアイテムボックスからではない。


 そんなことをしたら驚かれてしまう。


 あらかじめアイテムボックスから取り出して、バッグに入れておいたのだ。


「拝見するっす。……これは。確かにお電話で聞いたとおり、見事にバラバラっすね」


「何とかなりますか?」


「無理っすね」


「……やっぱり」


「でも、これの魂を受け継ぐというのは可能かもしれないっす」


「そんなことができるんですか!?」


「新しく作る際、材料にこれを混ぜるっす。そうすれば魂を受け継ぐということになると思うっすけど……どうっすか?」


 それはいい考えだった。


 田助の中二心も激しくくすぐられる。


「ぜひ! それでお願いします!」


「ただ一つだけ問題があるっす」


「問題?」


「山田さん、この刀……何の金属で作られてるっすか? ただの鋼でもないっすし」


 鑑定した結果、ミスリルと出た。


「あ、えっと」


 鑑定結果を六巻に伝えて、素直に信じてもらえるだろうか。


 どうやら相棒を復活させるのは、一筋縄ではいかないようだ。

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