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7つの大陸に7人の魔王がいる世界の話。

私のご主人様は、吸血鬼で甘々です。

作者: 島田莉音


なんとなーく書いた作品です。

よろしくどうぞ‼︎







皆さん、初めまして。

私の名前はロゼ。

吸血鬼の真祖ディラン・ブラッドレイ様にお仕えしている人間メイドです。


なんで人間がお仕えしてるんだとか思われるかもしれませんが……まぁ、理由は簡単ですね。

私が目を覚ました時、記憶喪失だったからです。

いや、そう言われても意味が分からない?

ちゃんとご説明させて頂きますのでご安心を‼︎




私がとして目を覚ましたのは今から三年ほど前。

私はとある・・・棺桶の中に上半身を突っ伏した状態で目覚めました。

どうやら、記憶が失くなる前の私は棺桶の蓋を開けて手首を思いっきり切っていたみたいなのです。

いや、まぁ驚きますよね。

で、驚きついでに……棺桶の中にいた銀髪赤眼美青年さんが私の手首を舐めていたのです。

人間、驚き過ぎると逆に冷静になる場合があるじゃないですか。

私の場合、手首を舐める美青年さんをスンッ。とした目で見てしまいました。

……まぁ後々、それが治癒能力を使った治療ついでに、溢れる血を貰ってたらしいと知ったのですけどね。



あ、ここまでお話しすれば皆さんもご察しかもしれませんが……その美青年さんが吸血鬼の真祖ディラン様でした。



どうやら棺桶の中で世捨て人のように眠りこけること数千年。

このまま目覚めることなく世界の終わりまで眠りこけてようと思ったらしいんですけど、私が起こしてしまったらしく。

でも、なんで私が復活させおこしたかと聞かれても覚えてないじゃないですか。

だから、ディラン様は「これからどうするかなぁ……」とそこまで考えて、そっから先が面倒になったらしいです。

で、ディラン様が出した結論。



「ちょっと考えるの面倒だから、テキトーにほのぼのと暮らさない?」



なんて軽っいディラン様のノリで共に暮らすことになりました。

いや、マジで適当吸血鬼様ですね‼︎

でも、血を吸われて死ぬとかにならなくてよかったです‼︎

まぁ、そんなこんなで?

私の薔薇色の髪と瞳から〝ロゼ〟という名前を頂き、ディラン様にお仕えすることになりました。



ちなみに……ディラン様が眠っていらしたのは古城になります。

だから、宝石とか貴金属とかがあって……それを売ったお金で養ってもらってます。

でも養ってもらうだけじゃアレなんでお仕えしてるって感じですね。

まぁ古城なんで大きいんですよ。

めっちゃ掃除大変なんですけど……なんかディラン様もお手伝いしてくれてるんですよね……。

というか、私が仕えているはずなのに一緒に働いているし。

駄目ですと言っても聞いてもらえないし。


「でも、こんなにデカイのに一人じゃキツくない?」

「ですね‼︎ありがとうございます‼︎」

「うん」


まぁ、私も深く考えない系なので良しとしましょう‼︎








ディラン様は私に部屋まで下さいました。

ちっさい部屋かと思ってたんですけど、可愛らしくて薄桃色の小花をあしらった白を基調とした……かなーり大きなお部屋です。

ディラン様は何かあった時のために、わざわざご自分の部屋の隣に私の部屋を用意して下さったんですよ⁉︎

とってもいいご主人様ですよね‼︎


でも、寝る時はディラン様のお部屋で寝るように言われたのです。

なんでもディラン様が目覚めたから魔族(?)なる人がやって来るかもしれなくて……寝てる時に襲われたら大変だからと言うことです。


「え、襲われるんですか?」

「うん。人間嫌いとか人間をエサとしか思ってない奴とか……色々いるから。君が大切だから、ロゼ一人で寝かせたら不安なんだ。だから……守るためにも俺と一緒に寝て?」


ただのメイドにそこまで温情をかけて下さるなんて……っ‼︎

メイドとしてはご主人様と一緒に寝るのはアウトだと思うのですが……デット・オア・アライブならアライブを取りますよね。



かくして、夜はディラン様の温かい腕の中で眠るようになりました。

最初はそのお綺麗な顔と、男性らしいお身体に包まれて心臓破裂しそうだったのですが……睡眠欲と慣れは凄いですね。




今じゃディラン様の腕の中じゃなきゃ眠れない気がします。






*****





以前おっしゃられたように、ディラン様がお目覚めになったからか……時々、魔族の方達が訪れるようになりました。



謁見の大広間の玉座に座ったディラン様はまさに真祖という言葉通りに威厳あるお姿で。

何故か私も彼の後ろに控えるように言われましたが……まぁ、現在お仕えしている者が私だけだから仕方ないのかもしれないですね。



やって来た彼らはディラン様に人間滅亡やら世界滅亡(?)を唆しているらしいですが、ディラン様本人が面倒だからと一蹴しているようです。

で、私を見ると……私が原因か‼︎と勘違いも甚だしい感じで襲ってこようとします。

いや、何もしてないです‼︎って反論するけど火に油注いでいるみたいで……。

結論。



「何、俺のロゼ・・・・に手を出そうとしてるの?殺すよ?」



ディラン様がブチキレて、叩きのめしてます。

いやぁ……大人しく去る方はいいんですけど、大体の方は凄まじくズタボロになって帰られますね。


「ロゼ。怪我は?」

「ないですよ‼︎ディラン様は?」

「ある訳ないじゃん。俺、真祖だよ?最近の若造どもより強いよ」

「流石です‼︎」

「ん」


ディラン様は蕩けるような優しい笑顔を見せて下さって。

私の心臓が死ぬかと思っちゃいます。


「ロゼ。疲れちゃったから……ぎゅうってさせて?」

「はい‼︎」


ディラン様は子供のように私を抱っこするのが好きみたいです。

蕩けるような笑顔で私を抱っこしたり、横抱きでお膝に座らせたり、私に触れたりします。

まるでお人形遊びをしているみたいで、私よりもずーっと歳上だと分かっていても可愛いらしいと思ってしまいます。


「ロゼ………ずっと俺の側にいてね」

「はい‼︎ロゼはディラン様のお側にいますよ‼︎」


記憶喪失の私がこうして暮らせているのはディラン様のおかげなのです。

だから、そのご恩を返すためにも私はディラン様のメイドとして側にいます。


「本当?ずっとずぅっと……隣にいてくれる?」

「勿論です‼︎」


笑顔で答えればディラン様も蕩けるような笑顔を見せてくれて。

私の心臓がドキドキで死にそうになりました。





あ、ちなみにご友人らしき方もいらっしゃいましたよ‼︎

三日三晩はなし合いされてました‼︎





*****





暫くして魔族の皆さんはアプローチを変えたのか……この古城にナイスバディなお姉さん達を送り込むようになりました。

お胸がドレスから零れ落ちそうなフェロモン系です‼︎


「ディラン様ぁ……わたくしをお雇い下さいませ」

「そんな貧相な娘よりも楽しませてみせますわ」

「ディラン様がお望みなら身の回りの世話から夜伽まで……なんでも致します」


色気ムンムンお姉さん達はクネクネと動きながらディラン様に近づいていこうとしますが……当の本人はとっっっても面倒そうで。


「ロゼ」

「はい、なんですか?」

コレ・・、いる?」

「おぉう、私に聞きますか」


ディラン様は非常に冷たい目でお姉さん達を見てから、指差しながら聞いてくる。

ほらぁ〜…私なんかに聞くからお姉さん達が睨んじゃってますよ?


「ディラン様が必要だと思われるなら雇われれば良いかと。私はどっちでもいいですよ‼︎」


人手が足りないのはまぁ確かです。

この古城、大きいですし……ご主人様を働かせているのですから、問題だと思いますし。

人員補充はとっても嬉しいですね‼︎

まぁ、雇ったら雇ったで秘密裏にお姉さん達に殺されちゃいそうですけど‼︎

でも、お姉さん達が言う通りに私は平凡な体型ですし夜伽もしてないですから……。

そーいう担当の人が増えた方がいいのでしょうか?


「ふぅん……ロゼは余計な奴が増えてもいいんだ」

「へ?」

「なんか、それはムカつく」

「んん?」


ディラン様はムスッとしながら、私を手招きする。

なんだろうと思って近づけば、勢いよく私の身体が地面から離れた。


「ふぇっ⁉︎」


何をされたかと言いますと、ディラン様のお膝の上にお座りしました。

横抱きにされてるんです‼︎

ディラン様の端正なお顔が近いです‼︎

顔が熱くなります‼︎


「ロゼは俺との暮らしがヤダ?」

「えぇっ⁉︎ヤなんて一言も言ってないですよ⁉︎」

「なら、いらなくない?」

「……えっと…でも、よろしいのですか?」

「何が?」


………緊張して、胸がズキズキと痛みます。

本当はこんなこと言いたくないですけど、私はディラン様のメイドなので。

ご主人様のために、言わなくてはなりません。



「ディラン様は昔、ナイスバディなお姉さん達のハーレムを作っておられたんですよね?それに絶倫だって聞きました。今はハーレムなんてありませんし。夜、ご一緒に寝てますけど、夜伽の仕事を任されていません。だから、性欲の発散ができていないのでは?そう考えると、お姉さん達を雇えばプチハーレムになると思いますよ?」



バキンッッッ‼︎



「「「「…………………」」」」

「あぁ……力入れすぎて肘掛けが砕けちゃった」


ディラン様はニコニコしています。

もう一度言います、ニコニコしています。

でも目が笑っていませんっっっ‼︎


「………で?誰にそんなことを聞いたのかなぁ……?」

「えっと……」


………なんでしょう…ディラン様から仄暗いオーラが放たれている気がします……。

ディラン様はやさぁぁしく笑いながら、私に聞きました。


「怒らないから素直に言ってごらん……?」

「ディラン様のご友人の魔女姫様ですっ‼︎」


ごめんなさい、私はこの怖いディラン様に勝てません。


「そっかぁ………」


あ、このパターンななんとなく察しましたよ。

ディラン様は私を玉座に座らせると、額にチュッ……と優しいキスをします。

それだけで、私の身体は熱くなってしまいました。


「ちょっとはなしてくるね。俺の加護を与えたから、魔族達は手を出せないと思うけど……気をつけてね?」

「………はぃ…」


ディラン様は親指を噛み切り、ご自身の血を縄のようにして、お姉さん達をまとめて拘束します。

犬のリードの如くお姉さん達を引きずりながらお出かけになりました。



その数分後、上空で大爆発が起きていました。

多分、ディラン様だろうなぁ……となんとなく思いました。







*****





夜空さえも明るく染めていた爆発音は、一週間ほど続きました。

帰ってきたディラン様の手には、髪を引っ張られて引きづられる薄水色の髪の魔女姫様。

ディラン様はお怪我をなさっていないみたいですが、魔女姫様は全身ズタボロでガクガクと震えておりました。


「わぉ。すっごい怯えてますね‼︎」

「ただいま、ロゼ」

「お帰りなさいませ、ディラン様」

「ほら、お前が吹き込んだ嘘をちゃんと訂正しろ」


どうやら魔女姫様を連れて来たのは、彼女に教えてもらったこと……嘘を訂正させるためだったらしいです。

どうやら昔、魔女姫様はディラン様に恋慕を抱いていたのですが、振られてしまったらしく……。

友人関係に落ち着いていたのだとか。

でも、私がディラン様のお側にいたことで振られたことに対する怒りが再燃し……その腹いせに私にハーレムを作っていたとか絶倫とか嘘を言って、ディラン様の株を下げようとなさったのだとか。


「だから、俺はハーレム作ってたとかしたことないんだよ?分かった?」

「はい‼︎」

「…………誤解が解けてよかった……」

「でも、ディラン様の奥方はどうされたんです?」

「は?」


私は固まったディラン様のお顔を見ながら首を傾げます。


「こんなに顔がよろしくてイケメンなんですから、奥方様がいらっしゃったでしょう?それに、真祖様ならお子がいないとおかしいじゃないですか‼︎あ、もしかしてディラン様と同じようにお眠りになられてるなら私の血をお使いになりますか?」

「………………ロゼ」

「はい?」

「俺は独身だし、結婚したことないよ。後、真祖は俺以外にもいたから……今いる吸血鬼達は殆ど他の奴らの子孫だから。俺は子供がいたこともないよ……」


ディラン様は呆れたような顔になり、両手で顔を覆ってしまいます。

何かブツブツと呟いているみたいなのですが……ちょっと耳を澄ませて……。


「………あんなにスキンシップ取ってるのに気づかないとか鈍感なの……いや、鈍感なのか……もういっそ既成事実作った方が早いか……?」


ディラン様?

なんか、ちょっと怖い単語が出てますよ?


「ロゼ」

「ふぁ、ふぁいっ‼︎」

「どうやら遠回りなアプローチは駄目だって分かったから言うけど、俺はロゼが欲しい」

「…………はい?」


ポカン……としてしまったら、いつの間にか目の前に来ていたディラン様が私の腰に右腕を回して、反対の手で私の頬を撫でていました。

………えっ……えっ⁉︎


「俺は好きでもない女と一緒に寝ないよ」

「でも、魔族が襲ってくるかもしれないからって……」

「大切だって言ったでしょ。それに君と一緒にいたいから仕事の手伝いもしたじゃん。積極的に触れるようにしてたし」

「えぇぇっ⁉︎」


確かにスキンシップ過多だと思っていましたが……まさか……。


「ロゼじゃなきゃそんなことしないって」

「ど、うして……」

「………何が?」

「だって……どうして、ディラン様が私を欲しいなんて……あ、メイドだからですか?夜伽的な?」

「お前、マジでいい加減にしろよ。俺はロゼを伴侶にしたいって言ってるの。つーか一目惚れだ、悪りぃかコラ」

「ディラン様の口が悪いっっ⁉︎」


ディラン様は大っきな溜息を吐いて、私の両頬をガシッと掴む。

そして……。


「んぐっ⁉︎」



ディープなキスをブチ噛ましてきましたよっ⁉︎



「ンンンッ〜〜⁉︎」

「……はっ…」


くちゅくちゅとなまめかしい音をたてながら、ディラン様は私の口腔内を蹂躙する。

あぁ……ヤバイです……腰抜け……。

ゆっくりと離れた互いの唇からは、唾液が糸を引いていて。

蕩けたディラン様の瞳は、どこか獣じみている。

………これがっ‼︎男の色気ってヤツですかっっ⁉︎


「ロゼは俺が嫌い?」

「………嫌いじゃ、ないです……」

「なら好き?」


…………こんな適当な性格してるから、深く考えたことはなかったですけど……私は記憶喪失で。

でも、こうして暮らせているのは全てディラン様のおかげで。

ディラン様は私を抱き締めてくれる。

甘やかしてくれる。

ずっと一緒にいてくれる。

…………深く考えたことがなかったんじゃないんです。

ディラン様がいてくれたから、考える必要がなかったんです。

彼の態度が……ずっと私と一緒にいてくれると教えてくれるから。

不安に思うことは何一つないんだと実感できたから。

ディラン様と一緒にいると心臓が煩くて……でも幸せで。

胸が、暖かくなる。

……だから、きっと…私はディラン様がいなくちゃ生きていけないんです。

この感情は……きっと……。


「ロゼ」

「………好き、です……」


貴方が私の名前を呼んでくれるたび、私はここにいていいんだと実感できます。


「………好きです、大好きです。ディラン様……ずっと…一緒にいて下さい」


だから、震える手で彼の服を掴む。

声が震えるけれど、ちゃんと伝えられましたか?


「…………うん」


…………その蕩ける笑顔が、答えですね。




「《第Iの魔王》ディラン・ブラットレイの名において、ロゼ。君を俺の花嫁にするよ」




……………え?

ディラン様、魔王様なんですか?



「逃がさないから、覚悟してね?」






その後、ディラン様に美味しく頂かれちゃった私は……ディラン様の眷属である吸血鬼になってしまったりするんですけど、その話はまた機会があった時にでも。





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