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No name #24
夏の山の麓
真上に上った太陽が
頭の上から木の影を落とす
古びた旅館
玄関のガラス戸には古びたポスター
色あせてしまって
いつのものかもわからない
そびえたつ遥かな頂を
見上げる僕の後ろから
足早に登山者が追い越していく
あの頂を目指す彼は
どんな夢を見てそこを目指すのだろう
汗ばむ陽気のなか
小さな商店街の坂道を登れば
まるでタイムスリップしたように
追憶の中の景色が現実のものになる
売店で買うラムネも昔のままの形だ
僕もあの頂に上れば
見果てぬ夢を手に入れられるのか
憧れの人に何かを伝える力が湧くのか
夏の山の麓
真上に上った太陽が
頭の上から蝉時雨を降らせる
僕を追い越した登山者は
もう姿が見えない
僕だけがまるで時代に取り残されたようだ




