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No name #20
あなたにさよならを言ったのは
夏の日差しの中だった
アスファルトが焼ける匂いと
ひまわりの黄色を鮮明に覚えている
あなたにさよならを言ったのは
嫌いになったわけじゃなかった
ただ好きじゃなくなって
あなたのことが色あせたから
夏の日差しとひまわりと青い空は鮮明で
ほら あなたの顔ももう覚えていない
フルカラーの思い出の中
あなたのところだけがモノクロ
あなたのの顔も姿も
夏の日差しがつくる影に重なって
あなたがいたことしかわからない
あなたにさよならを言ったのは
あなたが海に誘った時だった
思い出作りと言い訳して
その時が来るのを先延ばしにしていた
あなたにさよならを言ったのは
勇気が出たからじゃなかった
あのまま無為に過ごすことに
無性に耐えられなくなったから
あれから時がたった今も青春時代は鮮やかで
ほら 蝉の声と葉擦れの音が響けば
フルカラーの思い出の中
きれいにあなたを消し去って
私の青春時代は鮮烈
あなたの声も唇も
蝉の声と葉擦れの音が重なって
何を話したのかも覚えていない
あなたにさよならを言ったのを
なぜだか今になって思い出す
あなたは私の中のどこにもいないのに
あなたの残滓だけがとげになって
私の青春に刺さって抜けない




