非日常へようこそ~昨日までとは違う今日~
ようこそ、非日常へ!!
私は、自分が嫌いだ。
何をやってもうまくいかない自分が嫌い。
縄跳びをしてもすぐ縄にひっかかってしまうし、図画工作の時間で何かを作ってもできるものはいつもぼろぼろの変なものばかりだし、国語や算数の一斉テストもいい点をとれた記憶がないし、字も下手くそだし、お隣さんが飼っている犬にいつも吠えられるし。
これで明るい性格の人なんていないと思うけど、もちろん根暗で、人と話すのも苦手。初対面の人なんて尚更苦手だ。そんなこんなの理由で、小学五年生にして私、園田しおりは自分が嫌いだった。そんな自分が注目されたくなくて、人に見られたくなくて、前髪を目が隠れてしまうほど長くしていた。
しかし、それも昨日までのこと。
極端なまでに消極的で引っ込み思案な私に痺れを切らしたおかあさんが、しおりの長くて重たい前髪をちょきんと、ばっさりと、切ってしまったのだ。
だから今日は、今日からは、顔全体がはっきりと人に見えてしまうなんとも無防備な状態で過ごさなければいけなくなったのだ。
もう、生きていけないかもしれない。
*
「学校に行きたくない…」
そんなことをつぶやきながら、小学校へと続く道をトボトボと歩く。
誰にも会いたくなくて、同じ学年の男子達に弄られたくなくて、いつもより20分も早く家を出てきたので、幸い誰ともまだあっていない。
しおりは今が人生の中で1番最低なくらい落ち込んでいた。と、いっても
そんな瞬間はしおりからしてみればたくさんあるのだが…
「どうしたの?しおりちゃん」と、ふと後ろから声がする。
振り返ってみると、そこにいるのは夢子さんだった。
「夢子さん」というのは愛称で、本当の名前は逢咲夢御子。
ゆめみこという実に呼びにくい名前から、本人自ら夢子と呼んで欲しいと言ったらしく、周りがみんなそう呼ぶので、小さい子にまでその呼び方が定着している。
そして彼女は高校2年生、美人で綺麗で勉強ができて頭が良くて運動ができてつよくて明るくて社交的で………というふうに何でも出来てしまう凄い人なのだ。
「お、おはよう…夢子さん」
私のダサくて格好悪い前髪をみられたくなくて、下を向きながら控えめに挨拶する。
これでも頑張った方なのだ。
夢子さんはとても優しいから、毎朝挙動不審な私にも話しかけてくれる。
おかげで私もなんとか会話が成立するくらいの関係にはなれたのだ。
「あれ、いつにも増して元気がないね」
具合でも悪いの?とこんな私の些細な変化にも気づけるのが夢子さんなのだ。
この注意力は時には相手を傷つけることもある…
仕方がない、夢子さんには到底隠し通せそうにないので白状する。
「じ、じつは…前髪が…」
そう言っておどおどと夢子さんへと顔を向ける。すると、不思議そうな顔をしていた夢子さんの顔がぱぁあと明るくなり、
「可愛い!似合ってるよ、しおりちゃん」
とにこにこ顔で言ってくれた。それがお世辞か否かは別として、素直に嬉しくて照れてしまった…。
ひょこっ
ん?
今一瞬、何か変なモノが夢子さんの肩にのっているように見えた気が…
ひょこひょこっ
に、2匹いる…!?
その「変なモノ」は、むらさき色だけど黄色のところもあって、お饅頭くらいの大きさで、お芋みたいで美味しそ…じゃなくて!!
「ゆ、夢子さん…か、かかか肩になにか…」
昨日までとは違う。
はっきりくっきりとした視界にうつる
見慣れないモノに、私は頭を回して倒れてしまったのだった…
*
初投稿により、辛口感想等受付中です!
不定期更新になってしまいそうですが、温かい目で読んでくださると幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!!
スライディング土下座_|\○_級の感謝の気持ちでいっぱいです…
次話は夢子さんの秘密が明らかになっちゃいます。
良ければ次話も読んでくださいね(・・`)
2月15日