秋祭り
3話です!
「あ、雲矢くん!!」
放課後、俺は学校から直で秋祭りに来た。
月は一度寮に戻り、着物に着替えてから来たそうだ。
俺が秋祭りに行くと月はもう来ていた。
「じゃあ、行こっか。」
月はてを繋ぎながら歩きたいと言ったが、さすがにそれは断った。
「ねぇ、着物、似合ってる?」
「お前が男だったらな」
俺はぶっきらぼうに言い捨てた。
月は寂しそうにそっか、と言った。そして、うーんと大きな伸びをし、声を張り上げた。
「まぁ、気を取り直して、ご飯でも食べるか!!」
俺らはやきそばを買って食べた。
月が、俺がやきそばを食べる様子をじーっと見ているのに気づいた。
「何?」
「恋人同士がする、あーんってやつ、やりたい」
「嫌だ。」
当たり前だ。
「お願いっ一回だけ!!ほら、あ~ん!!」
月なりに俺を惚れさせようと頑張っているようだが、全く俺はときめかない。むしろ嫌気が差してきた。
でも、また泣かれたら面倒くさいから食べてやった。
「お…おいしい?」
「まぁな」
「良かった…」
月がふんわりと笑顔になった。そうだった。俺は、月のこの笑顔が好きなんだった。
自分が作ったわけでもないのに、変なやつ…
なんだか、さっきまで月に冷たくしていたのがかわいそうになってきた。
次は俺から誘ってやった。
「8時から、花火やるって。見に行かね?」
月は一層明るい笑顔で、うんと言った。
…顔は好みなんだけどな。
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花火が始まった。
「綺麗だね…雲矢くん」
ありきたりの感想を言う月。だけどそれは無条件に綺麗だった。
「あぁ…綺麗だな」
なんだかロマンチックな気分になってきた。これが男の月だったら、今ごろ抱き締めてキスしてるのにな…
あ、そうだ。
「明日、日曜日だよな。どこか行かね?」
「え?いいの?」
「プールな。その代わり、上はパーカー、下は男物の水着。」
そんなひどい条件でも、月は喜んでうん!と言った。
今日一日楽しませてやったから、明日は俺が楽しんでもいいだろう。
「ねえ雲矢くん…」
花火はクライマックスに近づいていた。
「何だ」
「私ね、雲矢くんを始めて見たのは中学三年のとき。同じくこの夏祭りで。笑顔の雲矢くん見て、すぐ好きになっちゃった。でもね、男の子と手繋いでたじゃない?」
ああ、俺が去年遊びで付き合ってたあの不細工男か。あれきりだったけどな。
「だから、一旦は私、諦めたんだよ?でも、諦められなくて、雲矢くんの知り合いが私の中学にいたからどこの高校に行くのか聞いて、男子校だって聞いてまたあきらめて。でもやっぱり無理で…」
「…」
「それで、髪も切って、男子のふりをして月雲学院に通うことになったんだ。」
「…」
「私、それだけ雲矢くんが好きだったんだよ」
俺はまた、裕介の言葉を思い出した。
そんなに俺のことが…
俺は空を見上げた。
花火はクライマックスだ。
俺は月の手を気づかないうちに握っていたんだ。
ありがとうございました!