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女・・・?

1話です。

あれは俺が高校生になったばかりの春。


晴れて俺は月雲男子学院に入学した。


なぜ男子校を選んだか?

そんなの勿論、女子がウザいからに決まってるだろ。

物心着いた時からずっと同姓にしか興味がなくて、女子なんてただうるさいだけの存在だった。


だから、その頃からずっと女子のいる空間に嫌悪を感じはじめていて、今になってやっと男子だけの世界に来ることが出来たんだ。


「あぁ…これから楽しい男子校ライフが待っているのか…」


しみじみと思いながら一人うなずく。


そして、あれはいつ頃のことだっただろう。


今時、靴箱にラブレターなんてどうかとおもうが、俺の場合はそうだったんだ。

送り主は光川月。


確か同じクラスにいた気がする。まだ高校に入ったばかりだったから顔も名前も覚えていなかった。


呼び出されたのは校舎裏。女子かってのって思うだろ?まぁ、本当に女子だったんだから笑い話じゃないよな…。


月を見た瞬間、俺の心臓は跳ね上がった。


物凄く好みの少年がそこにはいたからだ。


大きな目に小さめの口、華奢な体つきに細い指。


まさに俺が今まで出会いを求めていた同姓だったのだ。


あのときは本当に運命を感じたよ。


「好きです…」


そう言った彼、いや彼女か。の声は鈴のように透き通っていた。


「実は、昔から好きでした。君に会うためこの学校に来たの…。男同士なんて変だと思うかもしれないけど、付き合ってくれないかな?」


俺は意識せずに頷いていたようだ。


月の顔がぱっと明るくなったからだ。


「本当に…良かった。」


しかし、付き合うことには条件がある、と言われた。自分から小鹿のような瞳をしてコクってきた癖に生意気だよな、本当に。


「1こめは、学校のみんなには付き合ってることは内緒。2こめは、絶対に体の関係には発展しないこと。」


1こめは納得したが2こめはないだろうと思った。


でも、お互いが付き合ってて、さすがにそれは無理だろう。


お互い、気持ちが高ぶれば自然とそうなることになっているのだ。


だから、その時が来たらその条件は自然となくなるであろうと思っていた。


しかし、いつまで経っても月は体の関係を持とうとしなかった。


俺と月は男子寮に入っていて、なんと二人部屋で部屋は同じなのだ。


寝るのも一緒だが、残念なことに絶対にそういうことにはならない。


少しその月の華奢な胸板を触ろうとするだけで物凄い勢いで拒否される。


それで俺は我慢の限界なって、半年経った今日、月を強引に誘ったのだ。


それなのに…


月は男子じゃなくて、男装してたんだ…。



「こんな最悪なことってあるかよ…。俺が女子を死ぬほど苦手だって知ってるよな?」


走馬灯のような回想にふけっていたが、現実に戻り、嘆く。


「とにかくごめん、理由は今度話す。でも、雲矢くんが好きなのは本当。」


俺は、月がまだ同姓だと思っていた頃は月が何をしてもかわいく思えたが、今だけは例外だった。


「理由なんて聞きたくない。今すぐ俺の前から消えてくれよ…」


少し言い過ぎかと思ったがこれくらいは言って良いだろう。


「本当にごめんっ、お願い、理由だけは聞いて!!」


「嫌だ。」


何がなんでも、拒否する。

「じゃあっ!!あと一週間だけ時間をちょうだい。その間だけ、私と付き合って、それで別れるか決めて。それでもし、雲矢くんが私のことを女として好きになれなかったら、私退学してもう二度と雲矢くんには近づかない。」


最高で最悪の条件を出してきた。最高は、今まで女と付き合っていたという屈辱から逃れられること。最悪は、一週間女と付き合わなくてはならないこと。


けど俺は、絶対に女と分かった月を、好きにならないと確信した。


「…分かった。一週間だぞ?それが過ぎたらもう俺に一切近づかないんだな」


「うん、約束するよ」


こうして俺は一週間、女と分かっているヤツと付き合うことになったのだった。


ありがとうございました!

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