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第1話
魔王を倒し、世界に平和が訪れました。
魔王討伐のメンバーであった剣士は、同じくメンバーの魔術師であり、半精霊の王女と結婚して、国王となりました。
国民に慕われ、良く国を治め、ふたりは末長く幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
『めでたし』で終わった物語。
そう、これはその後の蛇足の話。
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キレイに収まった物語に続きがあるなんて、200年経ったいま、知る奴はほとんどいない。
己の命と引き換えに、宿った幼い命を産み落とした王女。
最期まで微笑んでいた彼女の、最期の一言が未だに耳に残っている。
「それで、旅に出るんか?いるのかわからない、元嫁のために?」
「あぁ、約束だからな」
呆れた様な、元親友。
「俺はあいつを探し出す。人間でも、それなりに時間はあるさ」
「不毛だと思わないのか。あっちがお前を覚えているのかわからない。覚えていても、以前と同じ思いを返されるとは限らない」
「構わないさ。別に、何かを返されたくてやるわけじゃねぇからな。…ただ、今度は幸せになって欲しいだけだ」
幸せになる、その姿が見れるのであれば、自分の気持ちなどどうでも良かった。