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未来宣告  作者: 海猫銀介
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第15話 変態だけどいい奴なんだ




俺を殺しに来た『黒柳 椿』が訪れてから、約一週間が経過した。

その間、俺は事件らしい事件に遭遇はしていない。

椿も相変わらず自覚がないのか、滅茶苦茶なことをしでかしてはいるが

逆にそういう行動がクラスの人気者になる理由へと繋がったようだ。


今では楽しそうに女子生徒同士で話している光景を目にするぐらい。

人懐っこい性格してて、あんなに友達を作れるのに学校へ行ったことがないなんてな。

奴の様子を見ていると、『お前それ本当かよ』って突っ込みたくなる。


さてと……

もうすぐ昼休みも終わるけれど、暇だしチャイムなるまで寝るか。

俺は机で突っ伏しようとした。


「やあ、邦彦。 ちょっといいかい?」


「鎖骨なら触らせないぞ」


いつも聞きなれている声が耳に入ると、俺は反射的にその言葉を口にしていた。

確認するまでもない、俺の親友『京』だ。

やはり本能的に、俺は京を危険視してしまっているな。


「君はどうも僕の事を勘違いしていないか?」


「だったら、毎朝挨拶のように『鎖骨触らせてくれないか?』とか言うんじゃねぇよ」


「スキンシップって奴じゃないか」


「で、どうした? 鎖骨じゃなかったら何だよ」


「ひどいねぇ、用がなければ話しかけるのも駄目というのかい?」


「わかったわかった、俺が悪かったからその手やめろ」


京はさり気無く俺の鎖骨に手を伸ばしていた事を察して、俺はがっしりと手首を掴んでやる。

というか、結局鎖骨目当てじゃねぇかよっ!


「まぁ、冗談はおいといて。 どうだい、久々に二人でお茶でも」


「おい、マジでそういうのやめろ。 寒気がするぞ」


「最近邦彦を椿ちゃんに取られちゃってるからなー親友として寂しいと思うのは駄目か?」


さり気に『ちゃん付け』なのな、いつの間にか京とも仲良くなっていたのかあいつ。

しかしまぁ、京の言うことも一理あるな。

認めたくはないが、事実だ。

ここ一週間、確かに俺は椿と行動していることが多い。

そのせいで京と話す機会も減っちまってたからな、友達として寂しく思うのも無理はない。


だけどよ、もっと誘い方ってもんがあるだろうがっ!

何でこいつはこんなキモイ言い回ししかできねぇんだ、畜生っ!


「わかったわかった、今日は部活を休んで久々にゲーセンにでもいくか?」


「ナイスアイデアだね、じゃあ早速鎖骨を」


「だからしつけぇよっ!」


「冗談だよ、こう見えても僕は紳士だしね」


「うそつけ」


このやり取りも何だか久々な気がする。

俺も最近は本ばっか読んでて頭が疲れちまっているからな。

このままだとあの推理小説を読んだときの二の舞を踏みかねん。

ここではゲーセンにでも遊びに行って、パーッと遊んじゃいますか。


『おうおう、クニヒコ。 部活サボッてゲーセンだとぉ?

このアルちゃん様を前にしていい度胸じゃねぇか、あん?』


……いや、もはや驚くまい。

何故か、俺の目の前には緑色のワニマスコットの『アル中』がそこにいた。

こいつ、本当に神出鬼没だな。

というか『ちゃん様』って何だよ、突っ込んでほしいのか?


『おいこら、モモコに言い付けんぞ、何とか言ったらどうだ?』


「この娘、誰だい?」


京は不思議そうな顔をして、しゃがんで人形を操っている『野月 美羽』を指差す。

そりゃ驚くよな、いきなりこんな奴が目の前に現れたら。

大体こいつ俺と同じクラスじゃないだろ、何しにきたんだ?


「文芸部の新人だ、ちなみに俺のほうが先輩だからこいつは下っ端」


『記事一つまともにかけねぇ奴が調子に乗るんじゃねぇよ、オレと相方が力を合わせればお前なんてイチコロさ』


「凄いね、この娘最高あるんじゃないか?」


「どうみても才能の無駄遣いだけどな」


我ながら上手いことを言った。

しかし、あの日からこいつが定期的に出現するのは

もはや『日常化』しており、俺は別に驚きもしなくなった。


あの日以来、このアル中こと野月は、椿と滅茶苦茶仲が良い関係になっている。

だから椿目当てで教室を訪れて、たまに俺をからかいに来るっていうパターンが出来上がっちまっているわけ。


だが、問題はそこではない。

こいつに俺がサボることが伝わってしまった以上、非常に面倒くさいことになる。

つまり、憧れの先輩に『俺がサボる』という事実が知れ渡ってしまう事を意味していた。

友人を取るか青春を取るか……。


クッ、許してくれ京。

俺は今お前の友情と俺の青春を天秤にかけちまっている。

でもわかってくれ、俺もそろそろ彼女がほしいんだ。

それも飛びっきり優しくて巨乳な美人が、だっ!

先輩は彼氏いるかどうかなんてまだ知らないけどさ、夢ならいくらでも見れるだろ?


「ねぇねぇ、邦彦っ! ゲームセンターいくのっ!?」


更に文芸部員下っ端2号(椿)が、俺らの話に割り込んで顔を覗かせてきた。

妙に大人しいからいないと思ったら、ちゃっかり教室にいたのな。

段々と話がややこしい方向へと転がり始めたぞ。


どうする、京?

俺は目線で奴の意見を求めようとする。

京はすぐに気づいた。

流石は俺が認める親友。

意思相通はできているな。


と思っていたら、何故かウインクを返された。

何でだよ、というかキモイからやめろ。

……ま、男二人ってのも寂しいもんがあるしな。


「わかった、俺に任せろ」


俺はある事を思いついて、力強くそう言った。

その時、タイミングよく昼休みの終了を告げるチャイムが響き渡った。










放課後、俺は部室へ向かわず駐輪場へと向かう。

勿論、京の奴も一緒ではあるのだが


「ゲーセンだってゲーセンっ! 絶対楽しいよ、アルちゃんっ!」


『久々にオレのスーパーテクを見せ付けることができるな、ツバキにもたっぷり教え込んでやるぜ』


と、余計な二人までついてきているが気にしない。

まぁ、ついてくるのはこいつらだけじゃないんだけどな。


京のせっかくの誘いを断る訳にもいかんし、かといって先輩に俺がサボったことが知られたら下手すると失望されかねん。

そこで俺は一番手っ取り早い解決法を見つけ出した。

せっかく文芸部が廃部を免れたことだし、今日は全員でお祝いをしましょうって事を先輩に提案したんだ。


正直急すぎるし、しかも皆でゲーセンいきましょうって内容だから、怒られるんじゃないかとヒヤヒヤした。

だけど、そんな俺の不安をいい意味で裏切って先輩は許可してくれた。

もの凄く嬉しそうな顔を見ると、先輩実は何かしらの形でやりたかったんじゃないか?って思えるほどだ。

俺の選択は正しかったな、いやぁよかったよかった。


ちなみに京は俺の親友なので、特別ゲストって事にしてる。

こいつはスポーツ万能で頭も良い癖に部活は何もしてないな、そういや。

もしかすると先輩が文芸部に勧誘するかもしれん。


「さて、今日は遊馬くんの提案で親睦会を開くことになりました。

急遽活動を中止して、皆でゲームセンターで遊びましょうねー」


全員が集まったところで、天使のような笑顔で先輩は開催を告げる。

だけど、俺はちょっとだけ嫌な予感はしてる。

もう慣れたといえば慣れたが、やっぱり椿が関っていることが気掛かりだ。

クロックスの上層部が適当な監視しかしてねーからな、俺が現代人を代表してこいつを監視しなきゃならん。


……何で俺がこんなこと気にしなければならないんだろうな、とため息をついた。


「どうしたんだ、ため息なんてついちゃって」


「ああ、京……きっと俺の悲しみを共有できる奴なんていないのさ、気にするな」


「椿ちゃんがそんなに心配かい?」


流石親友だ、見事に俺の悩みを的確に当てて見せた。

だけど、お前が想像しているような悩みとはおそらく違うだろうな。

俺はいかにしてあいつを暴走させないかってのを、頭でフル回転させてるわけだし。


「まぁな、あいつも大分学校生活には慣れてきているけど」


「しかし、君に彼女のような幼馴染がいたなんて聞いたことがなかったよ。

もしかして昔、公園で逢ったとか言っていた子かい?」


「公園? 何のことだ?」


「君の記憶力のなさには驚かされるね……昔、同じぐらいの年の女の子が公園で泣いてたとかそんな話だよ」


俺は京の言葉を頼りに、記憶を辿ってみる。

公園……女の子。

確かに、そんな事があったような。

うろ覚えだけど、俺は確かに京にそんなことを話していた。


実際椿は、俺を殺すために訪れた未来人なんだけどな……。

そんな事喋るわけにもいかんし、喋っても信じちゃくれないだろうけど。

まぁ俺の身近にいそうな女の子なんて、そいつぐらいだし……そりゃそこに繋げたくもなるわ。

あの子今どうしているんだろうなぁ、ほんの数日で全く見なくなっちまったけれど。


「ま、色々複雑な事情があるんだよ」


「君の顔を見れば、その複雑さが嫌でも伝わってくるさ。 本当に大丈夫かい?」


京はいつもと違って、やたらと俺のことを気遣ってくれていた。

何処か悲しげな青い瞳と目を合わせると、昔のことを思い出す。

あれは確か小学生ぐらいのときだっけか。

俺が親が大事にしていた花瓶を割っちまって途方にくれていた時、京は今と同じような目で


『何かあったのかい?』


とか声をかけられた時があった。

あの時は母さんに怒られるのが嫌で、俺は半家出気味で京の家に逃げてたからな。


最初は黙っていようと思ったけど、あいつの語る一言一言が何だか俺を落ち着かせてくれた。

いざ相談してみれば、あいつは俺の苦しみをよく理解してくれたし、一緒に母さんに謝ってくれたりもした。

そういうことがあって俺はあいつを親友って認めれたと思う。

思えば滅茶苦茶迷惑をかけちまってたなぁ。


「俺の心配するぐらいなら、椿のことを心配しろよな。

あいつ、俺より大変だからさ」


「うーん、どうやら邦彦にとって彼女はよほど特別みたいだね。

正直に言うと本当に付き合ったりしてないかい?」


「それはない、有り得ない。 俺は先輩一筋だ」


「ははっ、それでこそ邦彦だ」


ハッとつい口を滑らせて俺は辺りを見渡す。

今の言葉、先輩に聞かれてないよな?

いや、それ以外の奴らに聞かれても大問題だが。

丁度駐輪場で、3人がワイワイをやっている姿を見ると、俺がホッとする。


『何二人でこそこそ話してんだ、置いていくぞコラ』


「あーわかった、すぐ行く」


例のアル中ワニが呼んでいる。

てか、やっぱりあの人形つけたままなのな。

椿に聞いても、『美羽ってだれ?』って言うぐらいだし、あの人形を手放すことはあるまい。

しかも奴はワニが生きていると本気で勘違いしてそうだ。


未来だと案外普通だったりするのか、あれ?

俺の想像する未来がよくわからないことになってきているぞ、あいつのせいで。


ま、今日は久々にゲーセンでも楽しむぞ。

俺達はウキウキな気分で、近所のゲーセンへ向かうのだった。


某所で公開してみたけれど、色々と為になるアドバイスをたくさん貰えた。

それを踏まえて直そうか迷ったけれど、かなり大幅な直しになる。

完結しない恐れもあるのでひとまずは書き続けようと思う。


ここからはアドバイスを意識したりと試行錯誤の繰り返しが始まりそうだけど、今回は楽しく書いていこうと決めました。


ここまで読んでくれてる方には感謝してます。

これからもよろしくお願いします。

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