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50代から始める基礎戦闘術  作者: 岡村 としあき
第四章 『丸山田中年の事件簿』
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最良の選択、丸山田 誠一郎

「その暑苦しいヒゲ面も今日で見納めだ」


 右手に拳銃。左手に刃を起こした拳銃を装備し、留子は小泉に向けて拳銃の引き金を引いた。


 小泉は右の黒魔刃を盾にして、銃弾を弾くと留子に向けて左の黒魔刃を放つ。


 留子は左のブレードでそれを側面から突き刺し、受け止める。留子の眉間のわずか数ミリ前で止まった黒魔刃をすり抜け、留子は小泉の眼前に迫った。


 再び迫った右の黒魔刃を乗り越え、小泉の両肩に着地すると、留子は右の拳銃を小泉の口内に押し込め、鉛のフルコースを見舞う。全弾を撃ちつくし、後退間際にデザート代わりの手榴弾を小泉の口に放り込んだ。


「食通のお前でも味わったことが無いだろう? 鉛弾のフルコースは」


 留子のセリフと共に爆砕。周囲は煙が一杯に立ち込め、視界は0になった。


「さっすがトメちゃん。引き付けるどころか、一人で平らげちまったぜ」


 春川は煙を右手をうちわの様にしてあおぎ、払いつつ留子の元に歩いた。


「近寄るな!」


 留子の激しい口調に押され、春川はその場で固まる。直後に留子の体を黒い刃が貫いた。


「トメちゃん!」


 煙の中から小泉が姿を現し、もう片方の黒魔刃を留子に突き刺す。


「油断したな、最強のヴァンパイアハンター田中 留子」


「ああ、油断したよ……」


 留子を貫いた黒魔刃は、右胸と左足にふかぶかと突き刺さり、留子のドレスを赤く染める。


「その程度のチャチな火力ではワシを殺すことはかなわんぞ?」


「わかってるさ。私の銃器では、印藤や春川の様な瞬間的な火力は出せない。しかし、印藤や春川にはお前の黒魔刃を見切る程の技量はまだ持ち合わせていない。だから」


 留子は自分を貫いていた黒魔刃をそれそれがっしりと掴み、離すまいとする。


「こうしてやればいい」


 両手から溢れる熱い雫を地面にたぎらせ、小泉を睨みつけ叫ぶ。


「今のうちに思い切りやれ、印藤、春川!」


 呆然と立ち尽くしていた春川を印藤が怒鳴り散らし、行動に移る。


「前と後ろから挟むぞ、春川!!」


「お、おうよ! トメちゃん、少しガマンしててくれよ! 後でもっと気持ちイイ事してやるからな!」


 留子は薄れ行く意識の中で、春川のセリフに『セクハラだ、バカ者』と返したが、それは言葉にならず、口から空気を少量放出しただけに過ぎなかった。


 吉村が、留子の手からほころびかけた黒魔刃を、留子の目の前で握り締めた。


「勘違いしないでください。チャンスを逃したくないだけです。あなたの命などどうでもいい事ですが、彼らには100%の力で小泉を屠ってもらわねばなりませんからね」


 留子は吉村の凶悪な顔を見て、少々唇を吊り上げた。

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