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50代から始める基礎戦闘術  作者: 岡村 としあき
第四章 『丸山田中年の事件簿』
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御馳走お持ち帰り作戦開始、丸山田 誠一郎

 留子と別れた3人は、入り口で招待状の確認を受ける為、列に並んだ。


「あれ、てかさ。トメちゃん別に中に入らないなら、ドレスなんか着なくていいんじゃないの?」


 春川の疑問に誠一郎も同意する。


「そういえば……そうだね。あんな動きにくそうな格好、別にしなくても」


「お前らわかってねーな。女はいくつになっても乙女なんだよ。留子の奴、お前らが着替えてる間に一人で子供みたいにはしゃいでたんだぜ。口止めされてっけど、俺が口を滑らしたとかぬかしたら、お前ら解ってるだろうな?」


 誠一郎と春川は同時にコクコクと懸命に頷いた。


「お客様、招待状を確認させていただきます」


 その言葉を受け、誠一郎は偽造された招待状を受付に差し出した。


「これはこれは。フランスからおいでのマリーダ様ご一家ですね。遠路はるばるようこそいらっしゃいました。今宵はどうぞ心行くまでお楽しみくださいませ」


 どうやら、誠一郎達はフランスから来たマリーダ母娘という身分らしい。


「ディス イズ ア ペン!」


 誠一郎は受付を指差してそう言った。一応、フランス語の発音で言ったつもりらしい。春川は『何言ってんだ、マルちゃんは……』とあきれ返っていた。


「ザット イズ ア ペン!」


 春川は受付を指差してそう言った。一応、フランス語の発音で言ったつもりらしい。印藤は『こいつらアホか』とあきれ返っていた。


Merci(ありがとう)


 印藤は普段見せたことの無い、愛らしい笑顔で優雅に振舞った。


 その様子に誠一郎と春川は『なんでイット イズ ア ペン!』じゃないんだと首を傾げまくる。


「お前らアホだろ」


 と印藤が二人を睨みつけるが、すでに彼らの姿はそこにはなく、テーブルの上に盛り付けられた御馳走の前でタッパーのフタを開け、戦闘態勢に移っていた。


「すげーすげー! こっちは北京ダックだぜ、あっちは大トロの寿司じゃねーか。こっちはうまそうなローストビーフ! 和洋中そろってんのか!」


「春川くん、まずは順当にお寿司からいこう。ほら、タッパー開けて、流れ作業で行くよ!」


 印藤は、二人の息の合った御馳走お持ち帰り作戦を見て、『ありゃ良い姑と婿になるな』と呟き、ブレイカーの場所へと移動した。


「おい、マルちゃん。たいへんだ。中華がすでにない! 黒いドレスの女がすごい勢いで重箱でかっさらっていったらしい!」


「ええ!? 誰だい、それは?」


「ほら、あそこ!」


 春川の指で差された先には、パエリアを重箱に収めた美雪と吉村の姿があった。


「何やってるんだ……」

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