CG回収率100%、丸山田 誠一郎
「暴力はイケナイなあ、マルちゃん。相手の子だって、きっとマルちゃんの娘の事、大事に思ってるぜ? マルちゃんに負けないくらいさ!」
その言葉で誠一郎の顔が般若の様に豹変した。
「ほう、実の父親である僕よりも大事に? あの年頃の男なんてのは体のことしか考えていないんだ。一夜限りの快楽の為に色々なウソを平気で付くんだよ!」
今の誠一郎は印藤の可愛らしい瞳と同等かそれ以上にやばかった。『ああ、マルちゃんってこんな顔もするんだな、レアCG回収しちゃったよ、オレ』と春川は自分のセリフに後悔した。
「丸山田、それくらいにしとけ。春川を問い詰めたところで何も出てきやしない。それよりも今夜の事なんだが、たまにはこちらから撃って出ようかと思う」
未だ興奮の収まらない誠一郎だったが、留子に見つめられ次第に覇気をなくしていった。
「師匠、どういう事ですか?」
「小泉家当主、小泉 浩之が近くの別荘で各界の著名人を招いてパーティーを開くらしい。小泉は我々同様、日本有数の優良企業の経営者だ」
「パーティー会場で浮かれてるトコを叩くわけ? さっすが留子! いい事いうねえ」
気が付けば、いつの間にか印藤が店長室に上がってきており、留子に抱きついていた。
「ちょ、離せ印藤!」
「いーじゃん、減るもんじゃねーし。留子ってちっこくてカワイイから、こうやって抱きしめてると幸せになれるんだよなあ」
留子は嫌そうにジタバタと手を振るが、印藤はそれにお構い無しに留子の腰に手を回し、首筋に舌を這わせた。
「やめろ、バカ! 気持ち悪い!」
まるで猫の様に俊敏に体をひねり、印藤から抜け出すと誠一郎の背中に隠れ、印藤をキッと睨みつける。
「だからお前は苦手なんだ! そっちのバカとじゃれあってろ!」
春川を指差し、留子はそっぽを向く。
「春川ってデカ~イ口たたく割には、あっちのほうは意外とお粗末なんだよなあ。股間満足度100%? ギャハハ! 俺は全然満足できませんでしたけどー?」
「ちょ、インコちゃん! 何言っちゃってんの!? それを言ったらインコちゃんだって――」
「うるせーな。誰が男にしてやったと思ってんだよ?」
「きゃあああああああああ! その時の話は絶対ダメえ! もう、黙ってて!」
春川は耳を押さえて地下に逃げて行った。
「あーちょっと、イジメすぎちゃったかな?」
印藤は階段を見つめて、イタズラがみつかった時の子供の様にばつの悪そうな表情をした。
「おい、お前達。仲良くしろよ。今日はこの4人で小泉の首を取るんだからな。20時までにそれぞれ準備を整えて、上の駐車場に集合。私が用意しておいた変装用の衣装に着替えておくように、以上! 一旦解散!」
留子は印藤に捕まらないように、さっさと店長室から出て行ってしまった。