スマホに機種変換だ、丸山田 誠一郎
「ゴミ掃除だよな、コレ。ちゃんと給料出るのかね」
少女はそういうとカバンから拳銃を二丁取り出し。
――撃った。
爆竹のような音が鳴り響き、男の一人がうめき声を上げて倒れる。
映画の撮影か何かだったのか?
だが、目の前の男達はいずれもカメラ映りするような顔ではなく、服装も作業服やら、学生服やら、ジャージなど地味でバラバラだった。
残りの二人の男が同時に少女に襲い掛かる。
危ないと思った瞬間、男達の肩を踏み台にし、3メートルくらいジャンプして、滑り台の上に着地した。
ワイヤーアクションというヤツだろうか?
間抜けな顔で夜空にワイヤーを探す誠一郎をよそに、二発の銃弾が誠一郎の顔面をかすれ、男達に命中した。
苦悶の表情を浮べどさりと倒れる。まさか、死んだのだろうか?
「救急車……えっと……警察?」
震えた指でケイタイを操作するが、白く細い腕につかまれ激痛が走った。
「余計な事するんじゃねーよ」
少女がまたまた恐ろしい握力で腕を掴んだ。誠一郎の手からケイタイを奪い取り、踏みつける。
「あ……ああ……なんて事を……」
せっかく仲良くなったキャバ嬢(新人のハルヒちゃん21歳)の電話番号が……。ちょっとエッチなメールマガジン(購読無料)が……。白く細い足の下敷きになり……消えた。
誠一郎は、我が半身を失ったかのような喪失感に包まれた。
「あ、そういやおっさん。噛まれてたっけ? 面倒な事してくれたなー」
げんなりした顔で少女は誠一郎を片手で突き飛ばし、トランポリンの様なお腹に飛び乗った。
「痛い、何をするんだ!」
起き上がろうとする誠一郎の額に銃口を押し付け、脅す。
「ヴァンパイアに噛まれたら人間捨てるか、ヴァンパイアになる前に死ぬかどっちかしかないんだぜ?」