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50代から始める基礎戦闘術  作者: 岡村 としあき
第三章 『その男、空腹につき』
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廃人なんかに負けるな、丸山田 誠一郎

 昆虫の触覚の様な左右に伸びた長い髪と、瑠奈や春川と同じ、近所の県立高校の制服に身を包んだ少女が、留子や渡辺が言っていた印藤のようだ。


 白い半袖のブラウスは、だらしなくスカートの上にはみ出ており、ボタンも上から3つほど外していて、胸元がちらほら見え隠れしている。スカートにしても、丈は30CMくらいで、非常に嬉しい(けしからん)状態だった。


 瑠奈と同じ高校1年生というが、もしかしたら、瑠奈の友達なのかもしれない。


 ギロリと鋭い視線を向けられて、誠一郎はチビりかけた。切れ長の瞳はその視線だけで、生物に何らかの精神的ダメージを与えることが出来るだろう。


 実際、印藤に睨まれた誠一郎は、蛇に睨まれた蛙ならぬ、蛇に睨まれた豚だった。食物連鎖を無視して、豚すらも丸呑みしかねない。


「やっべえ、このおっさんの腹、マジ蹴り甲斐(がい)ありすぎ! サンドバッグみてえ、後でもう一回蹴らせろよな」


 それにしても、この口の悪さはどうだろうか。せめて、『サンドバッグみたいに蹴り甲斐のあるお腹ですね、後でもう一度蹴らせもらってもいいですか? キャハ』くらいは言えないのだろうか?


 蹴られるのは一向に構わないのだが、と誠一郎は若者の年長者に対する扱いに鼻息を荒くした。


「うるさいガキね、そのおもちゃは私の物よ、横取りするっていうのなら、その長い髪の毛全部引っこ抜いて、ホウキにしてプレゼントしてあげるわ。まあ、ジャパニーズDOGEZAで許してやってもいいけど?」


 エリーは印藤を見上げ、紅い瞳で睨みつけた。


「わは! この幼女Bランクなのかよ~。てことは、見た目+40歳だから50くらいのババア? マジ引くわあ」


 VHナビを見た印藤が驚きの声を上げるが、その言葉に反応したエリーの額に、血管が浮いて出てきたのが、遠目からでも誠一郎には解った。


「このガキ……乳臭い分際で……」


 印藤はウサギのストラップの付いた学生カバンから、ボールの様な物を取り出し、エリーの足元に放り投げた。


 ――瞬間、エリーの足元でボールが弾け、中から液体状の物がエリーの全身を濡らした。


学士(ドクター)ってネトゲでいうと、バッファーとデバッファーを兼ねてんだよね。それの中身、聖水の濃度を倍にしたヤツなんだけど、聖水爆弾てとこ?」


 聖水爆弾をまともに浴び、エリーは少し弱ったように見える。


「彩華ぁ~予備の剣一応持ってるから、貸したげる」


 印藤は藤内に向けて剣を放り投げると、藤内はそれを受け取り、銀の刃を引き抜いた。


「今日、ネトゲのイベント初日なんだよね、さっさと終わらせちゃってくれる? 廃人ニート共に先こされたら、ヤダし」


「もちろんです」


 と、藤内は笑顔で答え、『レア武器一個が交換条件ですけどね』と、付け加えた。

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