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50代から始める基礎戦闘術  作者: 岡村 としあき
第一章 『白く細い足との出会い』
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男なら吼えろ、丸山田 誠一郎

「あひゃあああん」


 少女の冷たい声に、誠一郎は情けない声を出した。


 砂を踏みしめる音がゆっくりと近づいてくる。やがて白くて細い足が目の前に現れ、誠一郎は覚悟した。


 若くてカワイイ女の子に()られるなら、いいか。


 違う覚悟を決めた誠一郎だったが、願いが叶う事はなかった。先ほどの男達が起き上がり、再び少女に迫ろうとしていたのだ。


 頼りない公園の照明で男達の顔が照らされる。だが、いずれも顔に生気がなく、死んだ魚の様な目をしている。彼らは舌を出し、よだれを垂らしながら少女に一歩一歩近づいていく。何かの薬物でもヤっているのか、とても正気とは思えない行動だった。


 このままでは本当に少女が危ない。


「食べるなら私の方がうまいぞ!」


 勇気を振り絞って、意味不明な挑発を力の限り叫んだ。振り絞るなら脂肪も一緒に振り絞りたいところだが。


 挑発が効いたのだろうか、四人の男達は皆一斉にこちらに向かってくる。


「あ、やっぱり食べるならもうちょっと待ってくれないかなー。まだ旬の時期じゃないんで……」


 春先はおせちや鍋やお雑煮などで、一番肥えている時期らしい。今は6月になったばかり、待てというほうが無理だろう。


 旬を待ちきれず、男の一人が誠一郎の首筋に()み付いた。


「ちょ、ちょっとやめてくださいよ! 私にはカミさんと娘がいるんです。そんな趣味は……」


 噛み付いていた男を引き()がすと、ポイっと放り投げた。


「こいつらもうダメだからさ。話しかけてもムダだよ」


 さっきの少女が隣に立っていた。


「え、ダメって?」


「おっさん、今から私がする事、誰にも言うなよ。言ったら殺すから、社会的に」


 少女の迫力に押され、何も言葉が出てこなかった。

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