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50代から始める基礎戦闘術  作者: 岡村 としあき
第三章 『その男、空腹につき』
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立ち上がれ、丸山田 誠一郎

登場人物紹介


藤内(ふじうち) 彩華(あやか)


30年前に起こった事件で夫はヴァンパイアになり、また

同時に自身はヴァンパイアハンターとなった。

マルちゃんと名付けたのは彼女であるが、他の最終候補の

肥満戦士ピッグマンとデブを考案したのも彼女であった。


吉村(よしむら)


誠一郎のご近所さんで、体格のいいスポーツマンタイプのイケメン。

藤内の夫であったが、30年前にヴァンパイアとなった。

誠一郎の妻、美雪を見つめる視線がアツイ。

やがて……?


丸山田(まるやまだ) 美雪(みゆき)


誠一郎の妻。

美雪はスタイルもいい上に、料理の腕もプロ級。

ただし、生活費のほとんどを誠一郎の食費に裂かれている為。

丸山田家の家計を支える為パートに出ている。

 留子はあきれ返っていた。


 誠一郎に剣術の訓練を課したのだが、的であるカカシを斬り付けるどころか、逆に斬撃の瞬間に、剣をヘシ折ってしまったのだ。


 銃を持たせてみても、練習用の的ではなく、何故か留子の心臓めがけて弾が飛んでくるし、ステークを持たせれば、接近する前に疲れ果てて、その場で座り込んでしまう。


 体術にしても、上段蹴りをやらせてみればギックリ腰になり、一時間は訓練を中止せざるを得なかった。もっとも、一時間でギックリ腰を回復してしまう誠一郎の回復力には驚かされるが。


 薬品生成はまだやらせてはいないが、このままだと生成に失敗して、支部が丸ごと吹き飛ばされかねない。


「一億年に一人の逸材だよ、お前は」


 留子は皮肉のつもりでそう言ったのだが、医務室のベッドで横たわる誠一郎は、それをお褒めの言葉と受け取り、『薬品生成頑張りますよ!』と大はしゃぎでベッドから飛び出した。


 薬品生成で頑張られたら、間違えて反物質でも生成されて、この三合市が壊滅しかねない。


「丸山田、ちょっとおさらいも兼ねて、座学にしよう」


 留子は苦笑いで、キラキラと少年の様に目を輝かせる誠一郎を、ベッドの上に落ち着かせた。


「そういえば師匠、昨日、吉村さんが春川くんの事を杭打ち士(ペネトレイター)って呼んでいたんですけど、それってなんですか?」


「ああ、ステークを持って前線で戦う者をそう言うんだ。他にも、藤内の様な剣を扱う者は剣術士(スラッシャー)。私の様な、銃器を扱う者は銃士(ガンナー)。体術をメインとする者を体術士(グラップラー)

薬品生成を主に扱う者を学士(ドクター)


「じゃあ、私は何が向いていますかね!?」


 キレイな目で留子を見つめる誠一郎は、多少後退した生え際からの反射光もあるとはいえ、お日様の様に眩しかった。


 誠一郎に向いているといえば……大食い王(フードファイター)とか、肥満体型(メタボリックシンドローム)くらいしか、思い浮かばない。後は動く的(ノロマ)くらいだろうか。


「お前の未来を決めるのはお前自身だ。自分に自信を持って前に突き進め。そうすれば、必ず道は見えてくる」


「はい! はい!! 師匠!!」


 留子の言葉に感動したのか誠一郎の目はキレイを通り越して、黒く濁っていた。


「って、もう12時か。昼飯の時間だな……ちょうど株主優待券もあるし、ここに連れて行ってやるよ」


 留子が差し出したのは、最近有名なハンバーガーのチェーン店『デスバーガー』のチケットだった。『死ぬほどウマイ』のキャッチコピーで一躍有名になり、連日満員で誠一郎もその味を未だ堪能していない。


「たまには私がおごってやる。死ぬほど食っていいぞ」


 留子は知らなかった。その言葉が破滅への引き金となる事を……。

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