表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50代から始める基礎戦闘術  作者: 岡村 としあき
第二章 『渡る世間はヴァンパイアばかり』
20/104

迷コンビ誕生、丸山田 誠一郎

 到着した春川と共にゲームセンターにいる留子の元に向かい、今日これからのスケジュールを聞くことにした。


「お茶買ってきてくれ。プリンに緑茶は合うんだ」


 留子はプラスチックのスプーンを口にくわえたまま、ガマ口から100円玉と50円玉を取り出し、誠一郎の口に差し込もうとした。


「ああ、悪い悪い、貯金箱と間違えたよ、紛らわしいなお前」


 留子は、金槌で叩いてお金を取り出すアレと勘違いしたようだった。ニヤケながら弁解するあたり、わざとであろうが……。


 誠一郎が留子から言い渡されたのは、100円玉と50円玉を持って、店の搬入口の自販機で『おいしいお茶』500mlを買って来いというものだった。要するに、パシリだ。


「釣りはいらないぞ」


 ちなみに、『おいしいお茶』の価格は150円なので、お釣りは発生しない。


 誠一郎は店の搬入口までたどり着くと、自販機に150円を投入し、目的の物を手に入れた。


 突然、携帯からけたたましくピコピコと電子音がした。お茶のペットボトルを脇に抱え、両手でスマートフォンを操作する。


 正直、オジサンにスマートフォンはキツイ。まったく操作に慣れる事ができず、片手ですいすいと自在に操る春川が少し(うらや)ましかった。


 苦戦した末、VHナビを立ち上げて確認する。反応は近所のようで、Eのマーク1つに、Nのマークが3つ。


 急いで事務所に戻ると、すでに春川が槍のようなものを肩に担ぎ、スタンバイしていた。


「行くぜマルちゃん。実戦は初めてなんだから、ちくわでもくわえてオレの活躍を見てな。華麗に戦うオレの姿にホレるなよ?」


 間違ってもそれはないだろう。


 春川から、ちくわを一袋もらうと、誠一郎は早速口に一本くわえた。……これはなかなかうまい。


「マルちゃん。聖水を忘れずに持って行って下さいね」


 藤内から『お茶のペットボトルに詰められた聖水』を受け取る。


「丸山田。実戦では春川の指示に従え、こいつはバカだが我が日本支部のエースだ。今日の実戦はいい勉強になるだろう、気を付けてな」


 留子は誠一郎から『おいしいお茶』を受け取り、再び私設ゲームセンターに消えた。


「お二人とも、気を付けて行ってきてくださいね」


 笑顔と共に一礼。藤内にメイド服を着せれば似合うかもしれない。


「アヤちゃん、メイド服似合いそうだよね。オレ、今度作ってくるから着てみてよ!」


 春川も同じ思考だったらしい。というか、裁縫も出来るのかコイツは。


 スーパーフジタニを出ると、ナビに従い二人は走り出した。


「マルちゃん、ナビで案内よろしく!」


 春川に言われ、VHナビを再度立ち上げる。


 画面には『アップデート中……もうちょっと待ってネ』とかわいらしい文字が表示されていた。


 ちゃんとアップデートしていなかったせいか、間の悪いことに今自動アップデートが始まったようだ。


「んもう、バカマルコちゃん! いいよ、オレが自分で見るから」


 立ち止まって、ナビを確認する。


「ターゲットはどうやら……三合ハム園みたいだな」


「ハム園?」


 ハム園とは一体どんな所なのだろう、生い茂った木々の枝に、大きなハムが実っているイメージが誠一郎の食欲を刺激した。だが春川の携帯の画面を見て、すぐに謎は解けた。


「三合公園だね……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ