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50代から始める基礎戦闘術  作者: 岡村 としあき
第二章 『渡る世間はヴァンパイアばかり』
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念願のスマホを手に入れたぞ、丸山田 誠一郎

登場人物紹介


春川(はるかわ) 優人(ゆうと)


高校3年生。17歳。アイドルの様な容姿と軽いノリの少年。

学校での評判は良く、生徒会長も務めるほど人望もある。

が、それは全て演技で本質はかなりアホ。

アホではあるが、勉強はかなりできるらしく、国立大学へ進学予定。

ついでに誠一郎の娘、瑠奈の初の彼氏である。


藤内(ふじうち) 彩華(あやか)


20前後の物腰柔らかで、美しい女性。

とある事件をきっかけに、留子と知り合いヴァンパイアハンターとなった。

剣術の腕は確かで、抜剣の瞬間は一瞬ではあるが、笑顔が消える。

 午後5時をまわり、研修初日が終了した。


 オランウータンが木の枝に捕まるように、高々と両手を振り上げ誠一郎は伸びをする。


 留子と二人きりの講義室に誠一郎のあくびが静寂を切り裂いた。


「夜の実戦の前にこれをお前に渡しておく」


 オランウータンの右手に、留子から最新機種のスマートフォンが手渡される。


「業務用に使ってくれ、私、藤内、春川、あとこの店の電話番号はすでに登録しておいたから、確認してみろ」


 電話帳を開いてみる。


 『トメたそ』、『きょぬー』、『バカ』、『自店』の4件が登録されていた。


「解りやすい名前だろ?」 


 『きょぬー』が藤内で、『バカ』は春川なのだろう、『トメたそ』はあえてスルーした。後でちゃんと名前を変えておいたほうがいいかもしれない。


「あれ? この女の子の顔みたいなアプリは何なんです?」


 アプリケーション一覧に、ドット絵で書かれた、黒髪の女の子がウィンクしているアイコンがあった。よく見れば留子に似ている。アプリケーション名は『VHナビ』という名前だった。


「ヴァンパイアハンターナビ。略してVHナビだ。そいつを使えばGPSを通じて、ヴァンパイアの位置をお知らせしてくれる。便利な世の中になったもんだな」


 うんうん、と留子は感慨深そうに何度も(うなず)いた。


「ちなみにプログラミングしたの私だ。下請けなんかにやらせたら、ムダに金がかかってしょうがないからな、あまり使わないプログラミング言語だから、苦労したんだぞ」  


 留子はプログラムもできるらしい。


「ちゃんとアップデートしとけよ、バッググラウンドで使用しておけば、万一ヴァンパイアが出現した時に、アラーム音が鳴るようにしてあるんだ」


 なるほど、こいつでヴァンパイアの位置を確認し現場へ向かえということか。突然着信音が鳴り響き、驚いた誠一郎は、携帯を机の下に落としてしまった。


「壊したら初任給から……解ってるな?」


 留子のかわいらしい顔が恐ろしいオーラを発していた。


 肥えたブルドッグが犬小屋に入るように、誠一郎は机の下に潜りこんだ。頑張って前足(みぎて)を伸ばし、ようやく捕まえることができた。


「一体誰からだろう?」


 ディスプレイには着信中 きょぬーと表示されていた。


『オレオレオレ!!』


 電話に出ると若い男が早口で、いきなりオレを連呼しまくった。オレオレ詐欺だろうか?


「どちらさまでしょうか?」


『ちょっとちょっとちょっと! だからオレだって! 今事故っちゃってさあ』


 間違いない、典型的なオレオレ詐欺だ。


「お金ならありません、それに家には息子はおりませんので……切りますよ?」


『だから、オレだよ! 春川だよ!!』


 ――きょぬーは春川だった。

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