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50代から始める基礎戦闘術  作者: 岡村 としあき
第二章 『渡る世間はヴァンパイアばかり』
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資格は大事、丸山田 誠一郎

登場人物紹介


丸山田(まるやまだ) 誠一郎(せいいちろう)


主人公。52歳。ふと夜の公園に出向いた為にトンデモナイ事態に

まきこまれる事になった。丸々太った体系とメガネが特徴の

優しそうなお父さん。

一人娘に彼氏ができた事に、まだ気付いていない。


田中(たなか) 留子(とめこ)


見た目は十代前半の中学生くらいの女の子に見えるが、実年齢は113歳。

最強のヴァンパイアハンターにして、誠一郎の師匠。

『高城 らら』という偽名で丸山田家に同居する。

 誠一郎が住む三合市(さんごうし)には、スーパーフジタニ三合店がある。三合店は昨日藤内達と出会った店舗で、研修もここで行うとの事だった。


 誠一郎が店長室に顔を出すと、藤内がすでに出勤していた。


「おはようございます、丸山田さん。今日からよろしくお願いしますね」


 笑顔で一礼。誠一郎も頭をさげると、やはり目線の先にはナイスなお山が二つあった。朝一番でエネルギーをもらった誠一郎は、転職してよかったなと心底思う。だが誠一郎は、その気持ちが数分後に180度方向転換するとは、夢にも思わなかった。


 店長室からヴァンパイアハンター協会事務所へは、隠し階段でつながっている。


 藤内が備え付けのIP電話に『1、1、0、9、3』と入力すると、店長机が横にスライドし、その下に地下へと続く階段が現れた。


「……田中さんの趣味でこうなったんです」


 そう言って藤内は困った笑顔を浮かべ、階段を下っていく。


 誠一郎もそれに続く。


 5分ほど階段を下りた所に広大な空間が広がっていた。そこには射撃場や会議室、講義室や演習場に医務室。さらには食堂にゲームセンター(主に90年代後半の格ゲー)など、それも全て支部長権限で留子が口を出したらしい。  


 講義室に案内されると中では、留子が昨日の夜の様に、ふんぞり返っていた。


 昨日の夜とは違い、今はスカートを穿いているので、年頃の女の子がはしたないマネをするべきではないと、注意しようと思ったが、中身は113歳なのでそのへんはどうなのかと迷った挙句、春川みたいにズボンに穴を空けられるのも嫌だったので、結局黙って席に着いた。 


「ようやく来たか……時間も押してるしさっさと説明始めるぞ。まずはこれを受け取れ」


 目の前に広げられたテキスト類に唖然とする。『よくわかるヴァンパイアハンターのお仕事』、『はじめよう!(くい)打ち検定5級』、『誰でもできる聖水精製講座』、『ヴァンパイアハンター史Ⅰ』、『楽しく学べるヴァンパイアの生態』……どのテキストの表紙にも田中 留子著と記載されている。


「テキスト代はもちろんお前の初任給から差っ引いとくから、そのつもりで」


 冊子の裏を見た誠一郎はさらに唖然とした……定価:本体5250円(税込)。


 そして研修1日目が始まったのだった。


 1日目は座学のみのようで、明日からは実技もあるとのことだ。まず最初に教えられたのが、ヴァンパイアハンターの資格制度について。


 剣術、銃火器、体術、杭打ち、薬品生成の5種の検定があり、その全ての5級を取得すれば研修は終了するらしい。


 試験は筆記と実技の2つで、等級は漢字検定や英語検定と同じで、5級、4級、3級、準2級、2級、準1級、1級にわけられているらしい。


 取得している検定の等級が上がれば、それだけ高ランクのヴァンパイア討伐任務を優先的に回されるのだ。


 やはり、世の中資格がものを言うようだ。だが残念な事に、直接給料には影響しないらしい。


「私は剣術検定2級を所持していますので、わからない事があったら遠慮なく聞いてくださいね」


 笑顔と共に一礼。藤内にスリーサイズを聞いたら、あの笑顔はどうなるのだろう? 後で春川にでも聞いてみよう。


 誠一郎はテキストに目を戻すと、空腹感をこらえた。


 時刻は午前10時をまわったところだった。

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