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水を読む器

作者:katari
最新エピソード掲載日:2026/01/20
時は11世紀末、平安時代後期。
主人公、北条博頼(ほうじょうのひろより)は、藤原氏の末端に連なる低位貴族でありながら、その類稀なる知性で中務省(なかつかさしょう)の内記(ないき、文書官)を務めている。出世欲は皆無で、雅な友人と酒を酌み交わし、庭の景色や古文書の行間を静かに「読む」日々を愛していた。
ある日、京の政界で暗躍する上司、藤原師時(ふじわらのもろとき) 中務少輔(なかつかさのしょう)からの突然の呼び出しにより、その穏やかな日常は破られる。博頼に命じられたのは、遥か都を離れた大宰府への出張であった。これは、弱体化しつつある藤原氏の威信を保つため、天皇家との緊張関係の中で仕組まれた、博頼にとっては迷惑極まりない政治的な任務であった。
大宰府での仕事は、筑紫南部にある四つの郷に出向き、それらの寺院に伝わる土地に根付く風習、「語り」の調査を行うことであった。
博頼は、自らの知恵を頼りに、土地の信仰、自然崇拝、そして過去の「記憶」を読み解いていく。
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