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第六章:決勝へ

決勝戦を控え、選手控室のような部屋で、アレスはゼウス、テオスと共にいた。部屋には質素な椅子と机が置かれているだけだ。紅茶の湯気が静かに立ち上っている。


「おっおれ、強かっただろ!」


アレスは興奮冷めやらぬ様子でゼウスに言った。


「ここまで強いと思わなかったよ! ぼくのカンは冴えわたってるねぇー、流石! 全知全能の神!」


ゼウスは自画自賛している。


「何を言っているんだゼウス。神々の闘技で悪魔が決勝進出だぞ。今回はアジア地域の地方予選会だから大きな問題にならないかもしれないが、優勝でもして本予選、中央大会でも存在が認識されるようになると他の神々が黙ってないぞ」


テオスが厳しい表情でゼウスを咎める。


「なんだテオス。アレスがそこまで勝ち進むと思っているってことかーい。実力は認めてるんだ」


ゼウスはテオスをからかうように言った。


静寂の中、アレスがぽつりと呟いた。


「俺が優勝したら、資格をくれないか?」


その言葉に、ゼウスもテオスも、そして控室の隅にいた空士も驚いた。


「俺は、強さを証明する! なあゼウス! お前、全知全能の神だろ? 空士に与えたように俺に資格を与えてくれ!」


アレスは真剣な眼差しでゼウスに訴えかける。しかし、ゼウスの答えは明確だった。


「君に資格を与えることはできない」


「君は悪魔だ。それに僕には空士がいるからね! 資格を与えることが出来るのは、現役の神が次の世代に与える一つだけなんだ」


ゼウスが説明する。


「そ……そうなのか……」


アレスは落胆の色を隠せない。


「だけど、悪魔に神の資格が与えられるか、調べてあげることは出来る」


ゼウスが、突拍子もない提案をした。


「なっなにを!」テオスが困惑する。


「ゼウス様?」空士も驚いている。


「ほっ本当か!」


アレスの目に期待の色が宿る。


「ああ、僕も資格には興味があってね。なぜ資格は人間にだけ与えられるのか? 長い事、神をやっているとそんなことも知りたくなるんだよ」


ゼウスは思わせぶりに言った。


「おい! お前、悪魔に神の資格を与える事なんか出来るわけがないだろ!」


テオスが強く遮る。


「だ・か・ら・調べるんだ」


ゼウスは意に介さない。


「それに、調べたところで結局ダメでしたーてことの可能性の方がはるかに高いしね。資格を与えるわけじゃ無いんだから。ね」


ゼウスは大したことではない、とでも言いたげな表情だ。


「お、、おれは可能性を知れるだけでもいい! 頼む! ゼウス! 調べてほしい!」


アレスは真剣に頭を下げた。


「OK、分かったよ」


ゼウスは請け負った。


「ありがとう! 俺、決勝でも神をぶっ倒して絶対優勝する!」


アレスの全身に、再び闘志がみなぎった。


「やれやれ……」


テオスは頭を抱えるしかなかった。



『神々のリセット 女神と悪魔』、最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

貴谷一至です。

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