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月がとっても


――今日は満月だから、少し外でも歩こうか。



 私ね、満月って好きなんだよね。なんか見てると落ち着くっていうかー。ラックス、そうラックス出来るんだよねー。…もー、細かいなー。ふつーはそーゆうの気にしないよ。気にしないのっ!…まったく、ムードが台なしだよ。ふつーは月を見ながら女の子と歩いてたら、もうっ、があーっとなっちゃうもんだけどねー。



………それにしても、何なんだろうね…。私さ、時々、自分のあいでんてぃてい…で合ってる?そう、あいでんてぃていってのが分からなくなっちゃうんだよね。そりゃ、やりたい事はいっぱいあるよ。けどさ…いくらやっても結局は死ぬでしょ?それを考えると何かダメなんだよね。ほら、ゲームとかでさ。ボス簡単に倒せるくらいレベル上げたり、装備揃えてみたり。そのうち飽きちゃってさ、やらなくなるじゃん?その時思っちゃうんだよね。あっ、この子はもうここで終わりなんだな、パラメーターがMAXだろうが、最強の装備を身につけてようがレベル1の子と同じなんだよ。終わったらそこまで(・・)じゃあないんだよね。ここまで、世界の果て、ビックバン、ピリオド。終わりに向こうなんて無いし、手前もない。終わりはそれだけで独立してるんだよ。行き〜はよいよい帰りは怖い〜、の最強版?行きも帰りも無い。もうぶつっ!って切れちゃうんだよね。

 別に死ぬのが怖いわけではないよ。いや、勿論恐怖は感じるけどね。そうじゃなくて、何て言うか…そう考えると、どっちでも同じじゃないかなって。レベル99まで上げてやらなくなるのも、レベル1でやらなくなるのも…。

 でもね、いつもそこまでいくと気持ち悪くなってくるんだ。脳みそが水のたっぷり入ったバケツの中に浸けられてるみたいになるの。このまま終わるのは嫌だ。やりたい事を諦めるのは嫌だ。ってバケツの中で騒ぎ出すの。だから、私はそんなの関係ないよ。例え、終わり無くしてしまったとしても。始まりを消してしまえるとしても…。


 ねぇ、――、貴方はどう思うの?終わっちゃった方が良いと思う?



 その問に僕は答えなかった。彼は聞いてもいなかった。彼女は答えを求めていなかった。

 そもそも、これに答えなんてない。結局は自分。彼の受け売りだ。



 その後は、だれも喋らなかった。というか、喋る言葉が無かった。もし、ありえないけど、誰かに喋れと言われたらこう答えよう。




 満月が好きだから。


 これで充分だろう。

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