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情報屋


情報屋!?

って何…?


なんか凄い人なのかな…?



「なんだその顔は」


「いや、なんですか?その…情報屋?って」


首をかしげるとドリスは呆れた眼差しを向けてくる。


「お前の()()とやらは、いったい何を教えてきたんだ?それともお前の知識がなさすぎるだけか?」


なんて嫌な言い方。

知識がないのはそうだが。



「そんなにいじめないであげてくださいよ。エミルの出身はカンドですし、成人したのも最近です。これから色々教えて知識をつけていくんですから」


言い返せずに口をとがらせていると背後でロイドが窘めた。

助かった。と思ったのも束の間——


「なるほどなるほど…出身はカンド…最近成人…ってことは今15か…」


なにやら、ドリスが持っていたメモ帳に何か書き始めた。

小声でブツブツ言いながら、ペンを握った手を動かす。


様子を伺っていると

「しまったぁ…」

ドリスの後ろに立っていたロイドが額に手を当てて、小声で漏らした。


やらかしてしまったらしい。


「何がですか?」


僕が尋ねるのと同じタイミングで、メモ帳と睨めっこしていたドリスが「これで良しっ!」と顔をあげた。

さっぱりとして活力に満ちた表情のドリスは僕とロイドを交互に見やると、「はは~ん」といたずらっぽく笑う。


「なぁなぁ、エミル」


ニヤニヤしながら手招きするドリス。


「なんですか?」


「私が教えてやろうか?」


「えー、、…お願いします」


何か裏がありそうだけど気になるし。

ロイド先生が何か言いかけてたけど、まあいっか。


「お前、果物売ってるお店は何て言う?」


「えーっと、果物屋?」


カンドにある果物屋の店主の優しそうな笑顔が浮かぶ。


「そう。果物を扱ってるから果物屋。私は——」


「情報を扱ってるってことですか?」


そう返すと、ドリスはニマっと笑って頷いた。


「そういうことだ。で、今、後ろの馬鹿がお前のことペラペラ喋っただろ?」


そう言うと、ドリスはさっき何かを書き込んでいたメモ帳を開いて見せてきた。

「ここだ」とペンで同じページを何度も叩いているが、僕には何も書かれていないように見える。


目を凝らしたりしても、文字は見えない。

とりあえず、問いの返事だけする。


「はい…」


「要は、無料(タダ)でお前の情報を渡したってことになる。この私にな」


なるほど。

書いてませんでしたけど。


「だから、しまった…って言ったんですね」


少し首を傾けて、気まずそうな表情のロイドに視線を送ると


「すみません…不注意でした」

ロイドはそう言って首の後ろを掻いた。





「さて」

ドリスが手を叩く。


「今の話、情報屋が何なのかとおまけでロイドのやらかしについて色々話した分の代金だが——」


ロイドがまずい…!と手で顔を覆う。


あ、そっか。

お金いるのか。

果物屋、辺りで気づくべきだった。


僕、お金持ってないです。

一応、ロイドに視線を送ってみる。

目は合わない。



「チャラでいいぞ」


「「え」」


二人して思わず顔をあげる。


「今回は特別な。エミルのこと聞いたし」


いや、書いてなかったし。

大体僕の情報なんてそんなに価値ないでしょ。


「それに——」


言葉を切ったドリスが悪魔みたいな笑みを浮かべる。


「『先生』についても詳しく話してもらうからな。これでプラスよ」


グフフグフフと外見からは想像できないような笑声を漏らす。



そんなドリスの様子を見て、簡単に人のことを話してはいけないという教訓を得た二人であった。









————————————


「さて、本題に戻るか」


斜め前に座るドリスが机に肘を立てて口元を隠す。


雰囲気が変わった。

それもそのはず、もとを辿ればお説教の最中だ。


「まあ、ロイド先生の情報も聞けたことだし、お前も座っていいぞ」


ドリスが言うと

ロイドは僕の隣の椅子を選んだ。


「それで?」


ドリスが促すと、ロイドは持ち手の黒い小さなランタンを机に置いた。

今は明かりが灯っていないそれは所々に傷が目立つ。


「これは…」


ドリスがランタンに顔を近づける。


「元の持ち主はすでに…」


言葉を切って静かに首を振るロイド。



ジーっとランタンを見ていたドリスがしばらくして顔をあげた。


「わかった。この件はギルドの方に報告しておくよ。ありがとう」


ドリスは淡々とした口調で言うと、そっとランタンを手に取り奥の部屋へと向かっていった。



さっきとは違った重さの空気が流れる。


「すみませんね…」

何かを察してかロイドが声をかけてきた。


「これも勉強です」


目を見てそう返すと

「それはちょっと違うかもしれませんね…」

と苦笑いを浮かべ、ロイドは目を逸らした。


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